ダンジョン改装2
理想の階層をダンジョンコアに説明してから、1日待たずにその時は訪れた。
『告、階層が全て完成しました。補、使用したチートポイントは全体の68%です』
当初の予定よりも5%ほど多くなっていたが、そんなことは些細な違いである。
今は自分の階層がどこまで理想体に近づいているのかを見てみたいのだ。
ラムなど今にも飛び出してしまいそうな雰囲気だ。
「それじゃあ俺たちを1階層まで転移させてくれ」
『解、1階層に転移します』
転移した先にはダンジョンの最初に相応しい自然の洞窟があった。
実際は自然にできた洞窟ではないのだがそう見えるというか、言われても信じれないレベルだ。
今はここには魔物どころか生物はいないが、ここには硬い魔物全般が入ることになるのだろう。
皆各々で階層を自由に視察している。
カナデに関してはマストに背負われてだが、まあカナデがマストを操作しているので自由に視察していると言えるだろう。
ふとそれぞれを眺めているとポチが明確な意志を持ってある場所に向かっている。
俺は何か面白いことでもあるのか?と思いポチをつけた。
するとポチは周りを確認する様に見渡してから、自ら仕込んであったと思われるトラップに突っ込んだ。
「く〜、この感覚久しぶりだぜ〜。HPから体力を奪われる感覚!普通のダメージとは一味違うぜ!ていうかやっぱりゲームよりも断然こっちの世界の方が気持ちいいな!」
声のボリュームこそ小さいがその熱意はだいぶ大きい。
俺がついうわー、と口から漏れたのかポチが俺の方を見た。
錆だらけのロボットが振り向くようなぎこちなさでこちらを見た。
ポチと俺の目があった。
俺はサッと目を背けてみんなのところに帰ろうと足を進めた。
「おい、ゴース。今見たことは誰にもいうんじゃねえぞ」
ポチが低めの声でそう言った。
まあ恥ずかしさからかそこまで圧力は感じない。
「大丈夫お前が変態なのはみんな知ってるから」
「それでも俺の信頼というか信用というかそういうものがなくなる気が」
「大丈夫だって信頼も信用もその程度ではなくならねえよ。お前を見る目が冷たくなるだけで」
「それが問題なんだよ!」
「そこに関してはもう手遅れだって、諦めろ」
「ハア、せめてゴースが美少女かロリだったらよかったのに」
「うわー」
「そうそれだよ。その目だよ。仲間に向ける目じゃないだろ!」
「いやだな、信頼してるに決まってるじゃないですがポチさん」
「おいなぜ急にさん付けになった」
「あ、じゃあ僕はこの辺で」
「おいおい、待て待て、何がこの辺でだ。まだ話は終わってないぞ」
「話(笑)なんて」
「おいなぜ鼻で今笑った。だから立ち去ろうとするなって!」
「まあ冗談はこれぐらいにして、別に言いふらしたりしないって、たぶん」
「最後のたぶんが気になるが頼むぞ」
「ていうか早く戻ろうぜ」
「そうだな」
小走り程度の速度で俺たちはみんなのいる場所に戻った。
「おそいわねゴース、ポチ。何をしてたのかしら?」
「トラップの確認だよ」
「その結果は?」
「正常に起動してたぜ」
「そう、じゃあ行きましょう」
「ああ2階層に行ってくれ」
俺がダンジョンコアに命令している最中にポチがサンキューと小声で言ってきた。
俺はその言葉を気に止めずダンジョンコアに命令した。
そうそう、1階層の特殊ギミックは戦技や魔法に反応して経験値を手に入れるというものだ。
時間のかかりいろんなプレイヤーが集まっても死んでくれないために効率が悪いが導入したギミックだ。
このギミックが無かったら俺たちは常に1位を保てていなかっただろう。
2階層に転移すると大きな部屋に出た。
正面には大きな階段があり左右には幾つもの扉が連なっている。
「ようこそ、我が城へ。戦友たちよ我が直々にこの城を案内しよう」
ラムがノリノリで俺たちに説明をしようと俺らの前に出た。
「ねえ、面倒になりそうだから、わたくしが代わりに説明したほうがいいかしら?」
メンバー内では実は常識枠なプリセスが耳元で聞いてきたが俺は首を横に振って答えた。
「いや、せっかく楽しそうなんだから聞いてやろぜ」
「わかったわ」
そうして俺たちの体感速度が長いラムの階層が始まったのだ。
「まずここは愚かなる侵入者達が来る場所だ」
侵入者がダンジョン階層転移後に来る場所だ。
「正面にある階段を登るのが我へと続く道だが、横の部屋には死への引導を渡す者や我が眷属、侵略者への褒美がある!さあ我らは正面の正規ルートを行くぞ!」
ラムが歩き出した。
まあ簡単に説明すると正面が正規のルートで横の部屋にはモンスターや宝箱を設置する予定ってことだ。
階段を登ると長い廊下に出た。
いや正面には廊下横には別の場所に続くだろう道がある。
幅は5メートルほどで遠くの方に扉が見える。
横には人1人入れるぐらいの窪みが無数に等間隔で空いている。
「この廊下自体に仕掛けはないだが!この横には我が眷属達を待機させる!そして侵略者が廊下の中央に差し掛かった辺りで一斉攻撃を仕掛ける!そしてこの廊下以外の横の道を進むとそこには!さっきと同じような感じで眷属と褒美が用意されてるぞ」
ためた割に内容普通だし、テンションも若干下がりやがった。
脇道の説明がだいぶ雑だが、まあメインルートの説明をしっかりしてくれたらいいか。
ていうかそこまで翻訳もいらんだろ。
なんとなく意味はわかるはずだ。
そしてまた俺たちは進む。
長い廊下の先には豪華な扉が聳え立っていた。
その扉を開けると大きな広間に出た。
広間は幾つもの道に広がっている。
ああ、ここはゲーム時代にもあったな一つ一つの道には対応した武器を使った敵がいてそいつらを全員倒したらラムと戦うんだったな。
「さあこの道を一つずつ説明してやろう」
は?この道を一つずつ説明するのか?
長くね?
俺の記憶だとこの一本一本の道って相当長かったはずなんだけど?
俺がラムを止めるか止めないかを考えてる最中にラムは道のうちの一本に向かおうとしている。
「・・・」
サッとフクロウがラムの前に立ち塞がった。
「フクロウよ、そこをどいてくれ。我が城をお前達に紹介できないじゃないか」
「・・・次の、階層に行く・・・」
「いやだがまだ説明が終わっていないぞ」
「・・・」
「ふ、フクロウ我が深淵さえも見透かすようなその目で我に光の力を与えるのをやめてくれ」
「・・・」
「・・」
フクロウがラムに無言の圧力をかけている。
ある意味プリセスのマジギレよりも怖いフクロウの圧力だ。
ラムのメンタルが勝てるはずがない。
「次に行くか、ラム」
「あ、ああ」
俺が助け舟をラムに出すと渋々と言った感じだが乗ってきた。
いや内心は涙目だろう。
俺はフクロウにグッジョブと伝えながら次の階層へと飛んだ。
「3階層に行ってくれ」
3階層はやはり迷宮だった。
上からは暴風が吹いておりこの迷宮を上からクリアするのを防ぐ。
「ストーム説明するか?」
「めんどいしプリセスお願い〜」
「ハア、わかったわ」
プリセスが俺たちの前に出て説明を始めた。
「まあこの階層もほとんどゲーム時代と変わってないわ。ゲーム時代との変更点は正直なところ迷宮の作りぐらいね」
「以上?」
「以上」
「まあそうか、そこまで説明することもないしな」
補足しておくとこの階層は石レンガで作られた迷宮なのだが、まあダンジョンの壁なのでまあ破壊は普通不可能だ。
まあ壁破壊のスキルばっかのやつなら別だが、普通に無理だ。
俺みたいな物理影響を受けない体でも風は受ける。
風が魔風という特殊な風だからだ。
そして風速は1秒100メートルくらいだ。
「さあどんどん行くか、四階層に行ってくれ」
四階層に飛ぶとそこは草原の中に立ったあまりに不格好で原始人が作ったようなそんな岩の神殿にいた。
いや神殿と呼ぶのは少し違う世界遺産のストーンエッジのような場所だ。
そよ風が俺たちの体を吹き抜けた。
そこで俺たちはハッとし今の状況を思い出した。
ハイルだけはドヤ顔だったが他は見惚れていた。
それに浮かぶ個性豊かな浮島がゆっくりと動き時節みせるその島の動きを。
火山の島の噴火や嵐の島の雷、雪のしまから雪が落ちてくる。
自然の恐ろしさと美しさがそこにある。
そして時折見えるそこにある人口物が美しさを際立たせる。
「ようこそ私の世界へ!」
「なんて残念なやつなんだ」
マストがそうセリフを零した。
本当にこの景色を堪能してた側としては残念な行動だ。
もう少し景色を堪能させてほしかった。
「ハア、でこの階層はゲーム時代と何が変わったんだ?」
「よくぞ聞いてくれた。変わったのはクリスタルのある浮島の数と最奥の部屋だ!」
「へえ、どんな風に変わったんだ」
「まず前からあった地の怒りが吹き荒れ、すべてを溶かす赤によって地が埋め尽くされている島だ」
何言ってんだと思うかもしれないが言っていることは、火山が噴火し続ける島で溶岩が地面を覆っているてことだ。
「二つ目はこれも前からあったが透き通る水の島にを覆う前すら見えない白き風が拭く島だ」
約は、水が地面の島で濃霧が漂っている島ってことだな。
「三つ目の島も前からあったが天まで届くほど高い山それを中心として荒れ狂う竜巻の島だ」
おお、これは別に訳さなくてもわかるやつだな。
流石のハイルもボキャブラが切れてきたか?
「四つ目の島も以前からあった島で白き閃光が天から降り注ぎ命を嘲笑うかのように奪う島だ」
雷が降り注いでる島ってことだな。
やっぱりハイルの厨二は健在だ。
「五つ目の島も以前からあったが、黒き波動に覆われた、光の届かぬ暗黒の島だ」
これは実は厨二ではなく実際に黒い波動に覆われて光がない島なのだ。
まあそれでも言い方が厨二っぽいが。
「六つ目の島も以前からある島だ。魔を浄化し心を癒す光が降り注ぐ竜の神殿だ」
これはリラックス効果のある光が当たる、神殿だな。
さあゲーム時代の神殿の数は6つだったがここからどう増やされているのか期待だな。
「7つ目の島は、活性化した緑に囲まれ自然の力を思い知る島だ」
ここからは推測になるのだが、木とかがクソデカくなっている島だと思う。
「8つ目の島は、息をするだけで芯が凍り、歩くことにも意識を向けなければいけない島だ」
無茶苦茶寒い氷の島で地面が氷だからこけないように注意するってことだろう。
「そして王間は前よりも古代遺跡感を強く出した」
「それで終わりか」
「ああ」
ハイルは満足したと言わんばかりの顔でそう言った。
「よしじゃあ次に行くか。5階層に転移してくれ。あと5階層のギミックは一旦解除してくれ」
『解、了解しました』
転移した先は暗い森の中だった。
だがその森は命を一切感じず死んでいるような静けさがあった。
「この階層をこうやってみるのも初めてかもしれないな」
「そうですね、こうやって落ち着いてみる機会なんてありませんからね」
「でここはどう変わったんだ」
「基本的には一緒ですが変わったところを強いて挙げるのならずっと三日月なことぐらいですね」
「へ~、月は前はちゃんと変わってたんだよな」
「三日月の時が一番殺せる確率高いんですよね」
「はは、どんだけキルしたいんだよ」
「そりゃね」
シャドーは暗い顔でもわかるほど破顔した。
恐ろし笑みを浮かべたのだ。
「さあ僕の階層なんてこんなもんで次いきましょうよ」
「そ、そうだな。6階層に転移して」
「ちょっと待って!」
「?」
俺が行こうとしたらカナデが待ったを入れた。
「どうしたんだ?」
「ねえマストあの階層ってもう雨降ってる?」
「ああ降ってるぞ」
ああそういうことね。
俺はいや俺たちは言いたいことを理解した。
「マスト、変わったことってお前の階層にあるか?」
「ふむ・・無いな」
「よし7階層に行くか。マスト問題ないか?」
「ああ異論は無い」
「よし、7階層に転移してくれ」
転移した先は水の中だった。
透き通った水の中には魔物はいない。
だが、魚はいる。
そこは地球のどこよりも美しい海だった。
「は~、きれいだな~」
「でしょでしょ、やっぱり自然の海ってきれいだよね」
「ああきれいだぜ」
ポチの漏れた言葉にカナデが嬉しそうに答えた。
実際この海はきれいだった。
ハイルの階層の自然と人工の融合ではなく、自然そのままの美しさだ。
「まあでもこの階層は変わったことはあんまりないんだけどね」
「あんまりってことは少しぐらいあるのでしょう?」
「うん!地面にね吸電そしきの素材を所々に設置したの」
もうほんとに俺たちからしたらドン引きだ。
この階層のクリアにはほとんどのプレイヤーが、雷系統の魔法を使っていたのにそれを使えないとなると攻略はさらに困難になる。
これがあれば大戦争もこの階層で終わっていた可能性がある。
それほど劇的な違いだ。
「えっ、みんなどうしたの!?」
「いえ、さすがカナデだと思っただけよ」
「はは、本当にカナデらしい変化だよ。さあ!次に行くぞ。8階層に転移してくれ」
そこには人の体のようなものが入ったカプセルや、謎の機械、ぼこぼこと空気を時節だす液体まさにマッドサイエンティストの研究所だ。
ゲーム時代はもうちょっとまともな研究所だったのにどうしてこうなったのだろう。
「おいおいこれえぐいだろ」
「・・・自信作・・」
「まあうん、お前が満足なら別にいいよ」
「・・・改良は無い、最初から隙は無い・・」
「今さらっと改良したやつ全員煽ったな」
「・・気のせい・・」
「まあいっか次の階層に行くぞ」
「おけ」
「9階層に転移してくれ」
転移した先には無機質な白い壁があった。
「ここは本当にデザイン性がないわね」
「俺にデザインを求めるのはやめてくれ」
「まあそうね」
プリセスのセリフはごもっともだがまあそうねは地味に心に来る。
それを悟ったのかフクロウが追い打ちをかけてきた。
「・・ゴースの絵は、ある意味神秘的・・」
「おい、やめろ。絵でいじるな。そこだけはデリケートな部分だ」
そう俺は壊滅的に絵が描けない。
アイデア自体は問題ないのだがそれを移すことができないのだ。
まあ人間欠点の1つや2つあるものだと思う。
「まあ、それを含めてゴースだぜ」
ポチが変なフォローを入れたがなんかそれが悲しいわ。
「まあいいじゃねえか。次はお楽しみの時間だろ」
「そうね」
「ああ」
「そうだな」
「あ~」
「うむ」
「はい」
「ああ」
「うん」
「・・ふふ・・」
「一旦戻るぞ。10階層に転移してくれ」
転移の光の中俺たちのダンジョンの未来を創造した。
それは各々が違う形で同じ場所を考えるのだ。




