ある国のある軍のある小隊
時は少し遡り場所はダンジョンから少し離れた国となる。
場所はゴースたちが訪れた国の東に位置する。
そうそう、実はゴースたちが訪れた国は世界でも珍しい国家なんだ~・・・厳格な感じで行こうと思ったのにすぐに素が出ちゃった。
・・僕には無理だなうん諦めよう。
いつも通り行こうっと。
それでね、ゴース達が訪れた国っていうのはね、珍しい国で武力以外の力で生き残った国なんだ。
この世界は亜人を全滅させるる為に行われた大戦争の後、ずーっとながーい間人同士で戦争し合っていたんだ。
潰し潰され今の国々に成っているんだ。
殆どの国は武力で生き残ってきたんだけど、王を魅了し庇護下に入ったり、国を欺き隣国どうしで戦争させたり、その国にしかない需要をつくったりして生き残った国があるんだ。
そのうちの一つがゴース達が訪れた、トリッカーという国なんだ。
・・・話が大きく脱線してたね、何だったけ・・そうそう、トリッカーの東の国の話をしようと思っていたんだ!
その国の名、アレイオス、戦いの神の国だよ。
城壁破壊の天武の才能を活かして、防壁で何とか守ろうとしていた国を血祭りにあげたんだって。
残忍で戦いを楽しむ者が多くいろんな国から疎まれ、恐れられてる国なんだ。
その国のある人たちについての話をするんだ。
「なあなあハーグ、知ってるか。最近狼ランクの冒険者が倒されたらしいぜ」
「ハァ、カリム狼ランクが倒されるのはよくあることではないが、そこまで珍しくないだろ」
ハーグと呼ばれた灰色色の髪をした好青年がため息を吐きながら答えた。
カリムと呼ばれた赤髪のチャラ男は何が楽しいのかニマニマと笑っている。
「それがよ、一体の狼人にやられたらしいんだよ」
ハーグがピクリと反応し、一瞬獣のように目をぎらつかせた。
「へえ、てことは僕たちの仕事が回ってくるってことだね」
「そういうこと」
彼らはアレイオスの亜人科の一小隊だ。
亜人科とは亜人にを殺すために作られた科で、基本的には他の科と同じように町の警備とかをするん科だが、亜人が目撃されたとき率先して動く科なのだ。
この部隊に所属する殆どの人が、亜人に恨みを持っている。
「チワーッス」
「お邪魔します」
二人はアレイオスの普通よりも少し大きめの家に入った。
「やはり来たか、来る頃だと思っていたぞ。用件は狼人のことだろう」
「そうっすよ隊長。もう情報来てるんでしょ?」
「ああ、来てるぞ、今回はしかも当たりだ。一集落を発見した」
「人数は?」
「200だ」
「大当たりじゃないですか隊長、腕がなりますね」
「ふふ、そうだな」
隊長と呼ばれた男は中年のオッサンみたいな人だ。
3人は嬉しそうに喋っている。
それほどまでに彼らにとっては、亜人を殺すという行為が楽しいのだろう。
「よし、召集を掛けるか」
「「はい」」
隊長と呼ばれた男はゆっくりと外に出た、カリムは走った、ハーグは早歩きだ。
それぞれ違う方向に行きったが、きっと思ってることは変わらないのだろう。
会議室のような場所で先程隊長と呼ばれた男とあと3人の男と1人の女性が座っていた。
机は五角形の形をしており、それぞれに角に人が座っている。
「手元の資料にあるように亜人の集落が発見されました」
上の場所に座っている男が話を始めた。
「久しぶりの任務が大当たりですな」
「そうだよな、しかも今回発見に到った要因でもある、狼人は冒険者のランク狼のチームを単独で撃退したらしいじゃねえか」
「そうらしいのよね。冒険者の狼の質にばらつきはあるとしても、ある程度の実力とみて良さそうよね」
「本当に今回は当たりですね」
先程隊長と呼ばれた男以外にも上に座っている男は眼鏡をかけていて冷静そうだ、次に口を開いた男は少しチャラいが従順そうな見た目だ、最後の男は頭は丸刈りでムキムキだ、雄一の女性は美女というわけではないが色気をムンムンと出している。
「皆さんもお分かりでしょうけど、今回の配分もアレで決めます」
「分かってますって」
「そうだぜ」
「分かってるに決まってるわ」
「早く始めよう」
鋭い空気が部屋に走る。
きっとこの場に部外者がいたならば、一体今から何をするのかヒヤヒヤするだろう。
「・・・最初はグー、ジャンケンッポン」
それは大人たちの本気のジャンケンだった。
そして勝ったのは先程隊長と呼ばれていた男だ。
決まり手はグーで他はみんなチョキだった。
「よしっ」
「負けちゃった」
「また負けかよ」
「連勝とはいかないわよね」
他の3人は負けて悔しそうにしている。
メガネの男は少し考えこんでまた皆の方を向いた。
「まあメイルさんの部隊は強力ですから、今回のメインとしてはちょうどいいかもしれないですね」
「まあそうっすけど」
「ああ、頭の中ではケーテの所がいいんだろうと思ったが」
「実際になると嫌よね」
ケーテ・メイルかメイル・ケーテかはわからないがメイルと呼ばれた男はすぐにさっきの顔に戻したが、まだ勝利の余韻に浸っているようだ。
「では、明日西門に集合ということで今日は解散になります」
「わかりました!」
「はいよ」
「分かったわ」
「了解だ」
そう言って5人は分かれた。
先程の部屋よりも小さく、道具も先ほどよりも質の悪い部屋に6人の人が座っていた。
メンバーはメイル以外違う。
そこにはハーグとカリムもいる。
「今回の主要部隊として我が小隊が任命された!」
「マジすか!よっしゃ!」
「カリム煩いぞ、今は会議中だ」
「いいんじゃねえの?今会議中って言っても〜どうせウチらしか居ないんだし〜」
「あなた私たちしかいないとしても今は会議なのよ。もうちょっと厳粛にやりましょう」
地球でいうギャルと呼ばれるような女が言った言葉いかにもな感じの魔法使いが注意した。
「メグッチは硬いんだよ、もっとゆるーく行こういこうよ〜」
「だからこれはあくまで会議よ、それとメグッチって何よ」
「うん?メグセリナ・マージって長いじゃん、だから略してメグッチにしたんだー。いいでしょ」
「よくわないけど、よくわないけど・・ふう、今はいいわそれよりももう少し会議っぽくしなさい!」
「ええ、別によくない。重い空気で会議したって何も思い浮かばないって、テーぺッチもそう思うよね」
「そんなことないですよねテーぺさん」
相反する2人の議論に巻き込まれたのはテーぺと呼ばれて気の弱そうな男だ。
今まで一言も発していなかった。
「ええと、僕はその、あのやっぱりあの今はその・・」
「はあ、2人ともテーぺを巻き込んでやるな、メナは会議中くらいもう少し真面目にしてくれ」
「はーい」
メナと呼ばれたギャル女は、少し残念そうで心底面倒そうにした。
逆にメグセリナと呼ばれたおそらく魔法使いの女は、ふふんと鼻が高そうでドヤ顔をしている。
テーぺと呼ばれた男はほっとしているようだ。
「それで、隊長相手の詳細と場所は?」
「相手の詳細は分からないかな」
「情報科の怠慢だな」
「なんだか今はどこの科も忙しいみたいだ、特に裏方で活躍する工作科や情報科が特にな」
「そんなことよりも隊長、相手の分かっていること教えてくださいよ」
「そうだったな、場所はトリッカーとの国境よりも少し手前にある林地帯で、相手の情報でわかっているのは例の獣人だ」
メイルは一拍開けてから口を開いた。
「白い狼人で戦いのさなか、どんどん白い毛の光沢が上がっていた気がしたと証言を得ている。急激にステータスが上がったのを感じたため逃げたと狼の冒険者が言っていた」
「・・白い毛の狼で体毛の光沢が上り、急激にステータスが上がる」
「それってまさかの獣王国のあいつにそっくりですね」
「そうだ、噂に聞く獣王国の犬柱フェンリルの分家、日食のスコルの家系能力でおそらく間違いない」
獣王国の柱とは、世界で数少ない亜人の国である獣王国の柱と呼ばれる最強の戦士たちのことだ。
柱は8つに分かれており犬・狼・蛇・馬・鳥・虎・龍・竜だ。
竜人と龍人は違い。
ドラゴンと呼ばれる魔物によく似たリュウに変身する竜人と、倭の国の伝説のリュウに変身する龍人だ。
そしてこの柱に分家と呼ばれる家系が付き犬・狼・蛇・馬・鳥・虎は分家は2家、龍・竜は分家が4家ある。
昔は龍と竜がいない三位一体の6柱だったが今は最強無敗の8柱となっている。
「だが、スコルは獣王国にいるはずだろ?」
「夜逃げ者もしくは捨てられたかのどちらかだな」
「今代の8柱は分家とともに歴代最高峰と聞くし夜逃げはないんじゃねえの?」
「もっと前に夜逃げしたスコル家の者の子供とかはないの?」
「それ確かにそれありそ〜」
「・・では捨て子かそれだな」
「捨て子なら楽なのだが、歯応えが無さそうだな」
「てか、捨て子じゃないなら俺たちも危うくね?」
「まあそれは否定できんが、新人にしてすでに50人長や10人長になっているお前らが力を合わせれば問題無いだろう」
50人長、10人長というのは軍隊で指揮系統のスキルがいない時に、任せられる人数のことだ。
これは単純な戦闘力や支援力で決まる。
他にも100人長や200人長などがある。
「それじゃあ今日は解散って感じ〜?」
「いや、最後の分隊の編成についてだが、こんな感じで問題ないな?」
そう言ってメイルが紙を全員に手渡した。
そこには書かれていたには4つの分隊でそれぞれの班長としてメイル、テーぺ、ハーグ、カリムが書かれていた。
「いっつも思うんだけど、俺ら戦闘系なのに分隊長やっていいの?」
「指揮系統がいないからな、お前らは50人長なんだし何も問題ないさ」
「俺、指揮とか苦手なんだけどな〜」
「カリム、諦めろこの科には指揮系統の人は入ることが少ないんだからな」
「はあ、まあ俺たちみたいに亜人に恨みがあるやつは普通戦闘職になるよなぁ」
「そう言えば〜隊長ってなんで亜人科に入ったんですか〜」
「そう言えば知らないな」
「うん、言っていなかったか?」
「聞いたことねーな」
「なら、時間もあるし皆がなぜここに入ったのか語り合おうか」
「サンセー、んじゃまずは私からね〜」
「私はさ〜、昔は孤児だったわけでも大きな十字架のある大きめの孤児院で他の孤児と一緒に楽し〜く暮らしてたの、それでね私は聖魔法の適性があったから、教会に行くことになったの。
みんな涙を流しながら祝福してくれたのを覚えてるわ。
でもね、悲劇は起こっちゃたんだよ。
私が教会に行ったその次の日、孤児院は獣人のテロリスト達によって破壊されたは、誰か1人だけでも生きていたらと思ってまだ13、4才だった私は孤児院に向かったの、人混みをなんとか押し除けて見た孤児院はね、シンボルマークだった十字架にみんなの首が貼り付けられて真っ赤に染まってたんだ」
皆が息を呑み可哀想だと目を向けた。
それと同時に自身の痛みも思い出した。
赤くなったメナの目は泣きないと必死の堪えている。
過去に負けないためにも、過去を超えるためにも、決意を曲げないためにも。
「酷いな」
「ははは、そうだよね。今でも覚えてるよ1人1人が苦しそうな顔で死んでるんだ。苦痛を訴えるようにどこかを見てるんだ。その時の私はどうしたらいいか分からなくて泣くこともなく教会に帰ったよ。でもそれで私決めたんだ。絶対に亜人を許しはしないって」
「いつでも奴らは俺たちに不幸を呼び推せる。奴らのせいでなんの罪も犯していない者たちが殺されるんだな」
「こんな重い話の後で私の話をするのも申し訳ないのだけど私も話すわね」
「私はね、これと言った大事件があったからここに入ろうと思ったわけじゃ無いの、ただ私は才能があったからここに入ったの。
私は小さいころからの親友がいるの、臆病だった私をいつも助けてくれていたわ。
私が魔法学校に入学した後も、ずっと文通してそれが心の支えになってたわ。
私が魔法学校に入学して2年ぐらい経ったころ文通がぱったり止まったの、何があったのか心配になって私は故郷の村に帰省したのよ。
でね、村に着くとみんな暗い顔をしてたの。
なんでかなって疑問に思ったけどまずは親友の家に行こうと思って家に向かったは。
そこで私が見たのはね、吸血鬼に家族みんな殺された親友の姿だったの。
立った状態から崩れ落ちたのか、膝立ちの状態で、何日寝てないのか目の下は隈だらけ、ずっと泣いていたのか目は真っ赤で、声にならない声で叫んでいたは、掠れて音が出ないその声に、いつも明るかった親友の姿に私は唖然としたわ。
私が来たおかげか少しずつ元気を出してくれていたけど、ふと目を離すと虚な目になって空を見上げていたわ。
その日私は決めたの、亜人を絶対に許さないって。
これは私の決意であって、親友への恩返しであって、罪滅ぼしよ。
その時いてあげられなかった私のね」
「メグッチ全然軽くないよ!」
「そう言ってくれるとありがたいわ」
メグセリナもまた赤くなった目を涙を落とさないように堪えている。
メナはすでに泣いている、友の知らなかった過去を知って泣いていた。
「次は俺が話そう」
「俺の家は代々奴隷商をやっていた。
ずっと俺は奴隷になった亜人達を見てきた。
こんな奴らを恨むことなんで一生無いと思っていた。
俺が5歳ぐらいの時かな、妹が産まれたんだ。
これが本当に可愛くていっつも俺の後を付いてまわるようなやつだった。
それから7年間何事もなく過ごしていた。
これからもそうだと思っていたんだ。
だが違った。
他の所から買った獣人が脱走したんだ。
そこまでならまだよかった、だけどやつらは脱走できたのにも関わらず家に戻ってきて妹を連れて俺の所きた。
そして俺は妹を殺されるところをこの目で見せられた。
指を切られ、足を折られ、体を殴られ、髪を毟られ、酷かったよ。
その光景もそうだが、何も出来なかった俺も酷かった。
俺はその光景を一歩も動くことなく見ていたんだ。
助けようとしても足が動かない、妹の『お兄ちゃん助けて』という言葉が今でも夜な夜な思い出す。
最後には俺に触れそうなほど近くで首を引きちぎられたよ。
体量の返り血を浴びてなお俺は動けなかった。
ただただ絶望していた。
その後すぐに獣人は捕まえられて、裁判にかけられ犯罪奴隷にされたらしい。
今となっちゃああいつのことなんてどうでもいい、俺の怒りはあいつ1人殺した程度で収まるものじゃない。
俺は決意したんだ。
大切な者を死んでも守ると、亜人は絶対に許さないと。
これで俺の話は終わりだ」
誰も何も言わなかった。
それは話が悲しかったのか、それとも今のハーグの目を見て言葉を詰まらせたのかはわからない。
だが、今のハーグの目は先までの誰の決意よりも固く強く恐ろしかった。
「俺が理由が軽いかな」
「俺は誰かを殺されたわけじゃない、ただハーグがほっとけなかったんだ。
いつもは冷静なのに亜人のことになると冷静さを欠く、ハーグのことが心配だったんだ。
俺とハーグが初めて会ったのは軍事学校に入ってすぐだった。
最初の実技の模擬戦でハーグと当たった。
俺は最初こいつのことをただの地味なやつだと思っていた。
だけど俺は負けた。
それが悔しくて悔しくてなんでそんなに強いのか聞いたよ。
したらこいつ、澄ました顔で努力したからって言ったんだ。
俺だって努力してる。
槍について手を抜いたことなんてない、だけどこいつは俺以上に努力していた。
まさに命がけで努力していた。
俺はこんな奴になりたいと思ってこいつと仲良くなったんだ。
喋ってて楽しいし実力は案外拮抗できた。
俺はふとこいつに、なんでそんなに努力するんだ?、と聞いたことがあった。
その時俺は身体中に鳥肌ができた。
だってよこいつその時、一度も見たことないような怖い目をしていたんだ。
人を目だけで黙らせ震え上げさせた。
だけど答える時のその目は逆に、優しく悲しそうな目だった。
俺はその時何がなんでもこいつに付いていくって決めたんだ。
こいつを支えるって決めたんだ」
「お前、そんなことでここに来たのか?」
「いやいやハーグ人を思いやる気持ちはバカにできたもんじゃないぞ」
「それにしても、身軽で気軽いカリムッチとわ思えない、重さと優しさだね」
「ええ、私たちとまた違った決意ですわ」
「・・・これからも頼むぞカリム」
「何恥ずかしがってんだ、当たり前だぜハーグ」
気恥ずかしそうに言う2人の姿はかっこよくて強くて優しかった。
それを見守る目は暖かくそして強い目だった。
多少ことなる決意であって、共存しえる決意だ。
「後はぺテッチとケテッチだけだよ」
「ふむもうそろそろ時間が厳しいな」
「え、まさか」
「私たちの話は任務が終わって帰ってきてからにしよう」
「ええ、私たち言ったのに」
「いやいや、時間がもう遅いからね」
確かに時間は過ぎて外は暗いがまだ話せないことはない時間だった。
明かに喋りたくない人の行動だ。
「まあまあメナいいじゃない。任務が終わってからの楽しみってことで。流石に隊長も自分が言ったことぐらいは守ってくださいね」
メグセリナのその言葉により、メイルはガックリと肩を落としていた。
クスクスと笑うメグセリナに聞けなかったことを残念に思うメナ、隊長の反応に笑うカリムに考え事をするカリム、心配そうなテーペ。
メイルは思った。
この小隊をずっと続けれたらいいのにと。
同じような決意をした者達がここには集まっていた。
そこには光しかなかった。
絶望という闇や悲しみという霧も無かった。
希望という光しかなかった。
迷うことない道標で、脱線するとも思えない道で、平和な時代とは言えないがそれでもそこには確かな幸福が広がっていた。




