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  作者: 羚羊
第一章 宵の明星
2/8

悲しみの味

例えば、にわか雨


例えば、恋人の背中


例えば、成功譚




世の中は悲しみの味で溢れていて


柔らかな風が髪を揺らせば


幸せの匂いがフワリと鼻を掠める




愛していると囁きあう恋人達を


じっと見守っているけやき並木は


前世で互いが互いを


愛し合えなかった罰を受ける


男や女の


生まれ変わりに違いない




例えば、秋


例えば、駅前の時計


例えば、温かいコーヒー




悲しみの味を噛みしめたら


さっさと落ち葉を踏みしめて








人生の舌が肥えたことに


喜びを感じて見せようか





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