1/8
暁
そろそろだろうか
今でも瞼の裏には
暁のほの暗い空の色が焼きついている
カーテンのない
窓を開けて風に目を細めて
この空の名前は、と問えば
暁
と、髪を漉きながら教えてくれた
あなたの背中は何を背負っていたのだろうか
「二度とこのドアを開けないでください」
あの人が思い描いた未来が
いつか叶うといいのにねと
左の口角を上げながら
始発の電車を目指して歩く
久しぶりにアイライナーを引いて
ストライプのシャツを着よう
水色と白の縦縞を
好きになったキッカケを
思い出してはクスリと笑う
そろそろだろうか
私に暁を教えた男は
本日も素晴らしい朝を迎えて
あの空の色を知らない女と
微笑みを交わしあうのだろう