第一話
ここは魔法が存在し、戦いが絶えない世界
『ネイティヴホール』
この世界には多様な生物が住んでおり、その中でも『人間』『魔族』『神族』という三大種族と呼ばれるものが主流となっていた。
昔は彼らはお互いを助け合うようにして生活を共にしてきた。しかし今の現状に満足できなかった強欲な人間たちが戦争を起こした。
『神族』は戦闘をすることを好まずに、何の抵抗も無しにどこかへと消えていった。今では本当にいたのかどうかもわからなくなっている。
『魔族』は個々の力は人間を超していたが、数で攻められ、最後には北の大陸に追いやられてしまった。いくらかの魔族は人間に服従し、共に生きているということもある。
そして戦争に勝利した『人間』たちは、西東南の大陸を支配した。そしてその戦争で超越した力をみせた四人の戦士と、その仲間たちを称えた。
一人は火の魔法に長けていた『カルロス・レッダム』
一人は水の魔法に長けていた『ティアノ・ブルーリー』
一人は雷の魔法に長けていた『レイ・エニロー』
一人は風の魔法に長けていた『フール・グリン』
四人はまた戦争がおこってしまった時のために、それぞれ学園を創設した。学園では主に魔法や戦闘を学ばせ、優秀な者を育てた。
そして千年後
その中の一つ、カルロス・レッダムが設立した『レッドクラウン学園』
ここに一人の男が入学することによって、物語の歯車がゆっくりと動きはじめる……
――――――――――
朝の7時現在、レッドクラウン学園の校門の横に入学式と書かれている看板がたてられていて、グラウンドは制服を着た生徒たちで溢れかえっていた。
タッ、タッ、タッ、キキーー!!
そこに、校門前の道を軽快な足音で駆け、靴から煙がでるほどのブレーキをかけて止まる。そして青年はかなりの大きさであるレッドクラウン学園を見上げる。
「ここがレッドクラウン学園か……。」
そしてその青年は呟くように声を発した。そこに校門前にいた教員らしき男性が声をかける。
「おい、お前新入生だろ? そろそろ入学式が始まるから早く体育館前まで行け。」
「………げぇ」
男性が話しかけても何の反応もしなかった青年は、何か小さく呟いた。
「ん?」
何を言ったか聞こえなかった男性は青年にもう一度聞き返した。そして青年は一呼吸置いて、大きく息を吸った。そして
「すっげぇぇぇえ!! やっぱでけえなー!!わざわざここを受験した甲斐があったぜ!!」
「………はっ?」
その青年はいきなり大きな声をだして叫びはじめた。このことにグラウンドに集まっていた人たちは一斉にその青年を見る。
「お、おい、やめろ!!変な目で見られてるだろ!!」
「おっと、すんません。」
男性は突然叫びだした青年に驚き、そしてやっと落ち着かせたところでその青年をよく見てみた。
髪は金髪で、少し長めな髪をたたせている。体型は普通で、身長は少し小さめといったところ。左手の薬指にはギラギラと光っている銀色の指輪をはめている。
そしてその中で一つ、特に目立つ所があった。それは目。少しつり上がった目はまるで睨んでいるかのようで、どこまでも黒いその目の色はその怖さを強調させている。
「………お前、なんか怒ってるのか?」
あまりの目つきの悪さに思わず男性はその青年に訊いてみた。すると青年は顔をムッとさせ、眉間にしわをよせた。それによってより一層目つきが悪くなっている。
「よく言われるけど、目つきが悪いのは生まれつきだ。べつに怒ってるわけじゃねえよ。」
ふてくされた感じで青年は答える。年上に対する言葉遣いとは思えない口調からして青年の性格がうかがえる。
「そ、そうなのか。お前は新入生だろ?早く名前を言って体育館に行け。」
だんだんとこの青年に関わりたくなくなってきた男性はせかすように青年に問う。すると青年は顔を俯かせて不敵に笑い始めた。そして男性がどうしたんだ、と青年の顔を覗こうとすると、青年はいきなり顔をガバッと上げた。
「フッフッフッ、よくぞ聞いてくれた。 俺はカイン!! カイン・エルリック!! この学園最強になる男だ!!」