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第十三話

「人数が足りない?」


眉間にシワを寄せながらそう言ったのはカインだ。カインたちはいつものメンバーでギルドに来ていた。そんなカインたちに対応しているフラシスは穏やかな笑顔を絶やさずに口を開く。


「はい、この依頼は最低五人は必要なんですよ。だからあなたたちはこの依頼は受けることができません。」


「マ、マジかよ!?討伐の依頼はこれしかねえっていうのに!!」


フラシスの言葉にカインはガクッと項垂れる。


「あと残ってるのは逃げ出した飼い猫の探索、引越しの荷物運び、果物の採取…………マシな依頼が無いね。」


シンクが依頼内容が書いてある紙を見ながら笑顔で言った。


「まっ、それでもいいんじゃない?だってカインってば弱いし、それにチビだし。」


「俺は弱くねえ!!それにチビは関係ねえだろ!!」


カインは手を振り上げながらルナに対して怒りを露にする。そんなカインをシンクとサジがなだめる。


「でもよ、実際の問題どうするんだ?シンクが言ったように簡単な依頼しか残ってないぜ?今日は止めとくか?」


「嫌だ!!絶対にこの依頼を受ける!!」


カインは断固として討伐の依頼を受けると主張する。そんな小さな子供みたいな事を言っているカインに他の皆はヤレヤレと首を振る。すると、カインは何かに気付いたようにアッと声をあげた。


「そうだ、もう一人チームのメンバーを増やせばいいんだ!!」


「「「はっ??」」」


そんなカインの突発的な言葉に他の三人はポカーンとする。


「ち、ちょっと待てよ。もう一人メンバーを増やすったってそんな簡単にはできないだろ?」


そんな中いち早く意識を取り戻したサジが口を開いた。その言葉にルナとシンクも首をウンウンと頷かせる。


「なんでだよ?確か一つのチームには最大で六人入れるんだろ?何も問題ねえじゃん。」


「いや、そういうことじゃなくてだな…………」


「あんたバカなの?私達が言ってるのは人数の問題じゃなくて、誰を入れるのかってことよ。」


サジの言葉の続きをルナが割って入って言う。それでもカインは未だに分かっていないのか首をかしげる。


「そんなの適当に余ってる奴を誘えばいいんじゃねえのか?」


「それじゃどこにそんな余ってる奴がいるっていうの?」


「…………あっ!!そうか!!」


やっとルナたちの言ってる意味に気付いたのか、カインは手のひらをもう一方の手でポンッと叩く。


「入学してから結構な時間が経ったし、ほとんどの生徒は既にチームになっているから余っている人は多分いないよ。それに他のチームから一時的な人員の貸し借りは特別な事が無い限り禁止されているしね。」


「そういうこと。だから今日は依頼をあきらめて訓練でもしましょう。」


ルナのその言葉にサジとシンクは頷く。そして三人は第一訓練場へと歩を進めようとした。


「ちょ、ちょっと待ったぁぁぁあ!!」


そこにカインの大声が響く。三人はまだ何かあるのか、と足を止めてカインへと振り向く。


「どっかに余ってる奴を探し出してくればこの討伐依頼が受けれるんだろ?簡単じゃねえか…………今から俺が探してくるからお前らはここで待ってろ!!」


バターン!!


カインはそう言うと扉を思いっきり開けて勢いよく外へと飛び出していった。残された三人は一瞬の出来事に目を丸くしている。そして何秒かが経ってからサジが口を開いた。


「…………なあ、今さらだけどアイツって本当にアホだな。」


「ええ…………多分この学園始まって以来の超ど級のアホね。そんな簡単に余ってる人が見つかるわけが無いのに。」


サジとルナは同時に盛大なため息を吐く。シンクはというと、そんな二人を見てフラシスと一緒に微笑んでいる。


「さて、今からどうする?あんな奴ほっといてやっぱり訓練場に行くか?」


「そうね、どうせアイツが帰ってくるのは大分遅くなるだろうし。そもそもそこら辺で見つかるなら苦労はしな――――」


「よっしゃぁぁぁあ!!見つけてきたぞ!!!!」


「「ってええぇぇぇぇぇえ!!!?」」


バタン!!という扉の開く大きな音とともにカインが入ってきた。そしてカインの右手にはもう一人別の、女の子の手が握られていた。あまりの予想外の展開にルナとサジはアゴが外れているのではないだろうかというほど口を開いていた。


「ん?どうしたんだ?そんなハトが豆鉄砲でもくらったような顔して。」


「いやいやいや!!いくらなんでも早すぎだろ!!お前がここを出て行ってからまだ一分も経ってないぞ!?」


サジはあまりの展開に手をブンブンと振りながら叫ぶように言う。


「ふっ、やっぱり天才には不可能は無いという事だな。」


そんなサジの言葉に、カインは自信満々にそう言って鼻を鳴らして胸を張る。ルナとサジは未だに開いた口がふさがらない。


「…………あの。」


すると今まで一言も発していなかった女の子が口を開いた。みんながその女の子へと視線を集める。その女の子は背がカインよりも10センチほど小さく、ショートカットで前髪だけ長くしており、それによって顔の様子は確認できない。髪の色は綺麗な水色である。


「あっ、わりぃわりぃ。ずっと手を握ったままだったな、カハハ。」


そう言ってカインは笑いながら握っていた手を離す。


「いえ……そうじゃなくて…………なぜ私はここに連れて来られたの?」


しかし女の子が意図していた事と違うようで、女の子が呟くようにそう言った。そしてその言葉に周りは固まってしまう。


「ねえ…………アンタ、まさか何の了解も無しに無理やり連れてきたんじゃないでしょうね?」


「まったくその通りだヘブゥ!!!!」


カインがルナと質問に答えようとした瞬間、ルナの拳がカインの左頬を的確に捉えた。カインはその衝撃で地面に倒れる。そんな状況をみてサジはウワッと声を漏らし、あのシンクでさえも額に一筋の汗をたらしながらカインを見ていた。


「い、痛え…………いきなり何すんだよ!!」


「何の説明もせずに連れてきたなんてアンタ馬鹿なの!?普通は了承を得てから連れてくるでしょうが!!それにアンタはチビだけど、ただでさえ目つきが悪いのに、無理やり連れてくるなんてことしたら人さらいに間違えられるでしょ!!」


「またチビって言いやがったな!!あと目つきが悪いのは生まれつきなんだから仕方ないだろ!!それに俺はちゃんとチームに入ってるかどうかは確認したぜ!!」


「そうじゃないでしょ!!アンタはいつもいつも――――――」


カインとルナはお互いに睨み合いながら大声で怒鳴る。そんな口論を横目にしながらサジとシンクはため息をついた。


「やれやれ、また始まったね。」


「どうする?一応止めるか?」


「もう放っておこうよ。どうせ止めに入ったって全然聞きやしないんだから。」


毎度のことになっているカインとルナとの言い争いに、止める気すら失せているサジとシンクはこの状況を無視することにした。フラシスはどうしましょ?と口で言っているものの、この状況を楽しんでいるようにも見えた。


「それで…………いったい私はどうすれば?」


そして一人取り残された女の子は何とも冷静に言葉を発した。


「悪い、悪い。アイツの言ってたことは気にしなくても…………ってアレ?」


無理に連れて来られた女の子に対して、サジは帰ってもらおうと話しかけていたが、途中でその言葉を止める。そしてサジは女の子をジッと見つめる。


「あっ!!やっぱり!!ミラン・ユリカスちゃんでしょ!?」


そして手のひらをポンッと叩くと大きな声でそう言った。その言葉が聞こえたのか、さっきまで口喧嘩していたカインとルナは言い争いを止めてサジたちの方を見る。


「なんだ?サジ、お前の知り合いだったのか?」


「いや、クラスメイトの名前くらい覚えとけよ…………。ミラン・ユリカス、俺達と同じクラスで属性は風。たしか模擬戦の対戦成績は三勝一敗で、確かその一敗はキールと戦ったときだ。さらに――――」


サジは得意のメモを出してミランについての説明をしていく。ここまでくると正直気持ち悪いと皆が思っていたが、あえて口には出さなかった。


しかしサジは自分のメモを見ていくと、あることに気づいて眉間にしわを寄せる。


「あれ?でもおかしいな?ミランちゃんは既にチームに――――」


「用件はそれだけ?だったら私はアナタたちと依頼にいくつもりはない…………失礼する。」


するとサジの言葉を遮るように、ミランは急いでこの場から去ろうとした。その姿はどこか焦っているようにも見える。


ガシッ!!


「っ!?」


そしてミランがドアに手をかけた瞬間、カインがいきなりミランの腕を掴む。一瞬驚いたミランは睨むようにカインを見る。


「…………放して。」


「嫌だね。さっきのサジの言葉から推測して、お前既にチームに入ってるんじゃないのか?ということは俺に嘘をついたってことなのか?おい、答えろよ。」


自分勝手に連れてきたにも関わらず、カインは睨みつけながらミランを問い詰める。周りの三人もあまりに理不尽だとは思っていたが、チームに入っているかどうかを確かめるためにあえて口を挟まないでいた。


「…………私は嘘をついてない。私はつい最近チームから脱退した。これで満足?」


ミランは下唇を軽く噛むと、カインを睨みつけたままそう言った。そして掴まれていた腕を振るってカインの手を引き離す。


「何だ、それだったら俺達のチームに入ってもいいじゃねえか。」


カインは安堵した感じでそう言ったが、当のミランはカインたちに背を向けてそのまま立ち去ろうとする。そして小さく呟いた。


「…………私はもうどこのチームにも所属するつもりはない。」


意味深なその言葉にそこにいる皆は何かを感じ取ったが、他人である皆はもう何も言うまいとミランがここから出て行くのを黙って見送ろうとした。しかし一人だけ納得していない者がいた。


「ちょっと待て!!せっかく見つけた数少ない生徒なんだ、そんな理由も分からないのに簡単に諦められるかよ!!とにかくお前は今日から俺たちのチームの一員決定だ!!フラシスさん、この『ウッドウルフの討伐依頼』は俺達が引き受けた。お前ら早く行くぞ!!」


「えっ、なっ…………!!!?」


そして一気にまくし立てたカインは強引にミランを自分たちのチームへと入団させ、そのままミランを引きずって外へと消えていった。そしてそこに残ったのは頭を抑えながら首を横に振るルナとサジ、未だにニコニコと笑っているシンクとフラシスだった。















「ここがウッドウルフの生息してる森、『深緑の森』か…………雰囲気あるじゃねえか、カハハ!!」


「ちょっと!!ハシャぎすぎよ!!もう近くにウッドウルフがいるかもしれないっていうのに。」


カインたちが到着した場所は学園からさほど遠くない、深緑の森と呼ばれる場所。その名前の所以はやはり見渡す限り木々の緑しかないところからきているのであろう。その緑と緑がいくつも重なり合ってそれが深い緑に見える。


そしてこの深緑の森に着いたばかりのカインたちは、今回の依頼対象であるウッドウルフがいないかどうかを確認している。そして十分に確認し、近くにはいないことが分かるとカインたちは一旦警戒を解く。カインだけは最初から警戒などしていなかったが。


「それにしてもミランさん、こんな事になってしまって本当にすみません。」


すると突然シンクはミランに深く頭を下げた。ミランの表情は前髪によって確認できないが、明らかに怒っているだろうという雰囲気が伝わってくる。


「今回だけ。この任務が終わったらすぐに私はこのチームを辞める。」


無理矢理カインに連れて行かれたミランはあの後、カインたちの説得により何とか今回だけ依頼を受けることを承諾した。そして今はカインたちと行動を共にしている。ちなみにルナがフラシスに確認したところ、ミランは既にギルドに登録しているようで、ギルドランクはEランクということがわかった。


「ところでウッドウルフってのはどんなのなんだ?」


そんなミランの心も知らずに、カインは急に話を切り出してそう言った。


「ウッドウルフは魔族のなかでは低級に位置する魔物だ。ただ繁殖力があって、ネイティブ戦争の後も何匹かのウッドウルフがこの地域に残って繁殖し続けたらしい。」


そんなカインの問いにサジが答えた。カインはふぅん、と一度相槌をいれた。


「でもよ、なんで学園側はそのウッドウルフを徹底的に全滅さしちまわねぇんだ?ここは学園とも結構近いし、もし生徒たちが襲われたりしたら危ねえじゃねぇか。」


しかし新たな疑問が生まれたカインは、すぐさまサジに問いかける。


「多分ウッドウルフは腕試しにもってこいの相手なんだろう。だから増えすぎてもいけないし、減りすぎてもいけないから、こうして依頼は断続的に行われてるってわけだ。」


サジの説明にカインはなるほど、と頷く。しかしまだ分からないことがあったので、再びカインは疑問に思ったことを口に出す。


「それにしても腕試しにはもってこいってのはどういうことだ?お前さっき低級の魔物って言ったじゃねぇか。弱かったら腕試しも何もないだろ?」


「アンタ本当に授業受けてるの?ウッドウルフは個々の能力は大したこと無いけど、群れを組む事によってその強さは何倍にも膨れ上がるわ。だから戦うウッドウルフの数によって自分の強さがわかるってわけね。」


サジの代わりに今度はルナが答える。その口調は普段からマジメに授業を聞いていないカインに少し呆れている感じだった。


「もし今回の依頼でウッドウルフが群れでかかってきたらどうするんだ?」


「その心配は無いよ。ウッドウルフはほとんどの場合単独で行動し、群れを組む時はそのウッドウルフの女王が出産の時だけだからね。そして今はその女王の出産の時期じゃないから、僕たちみたいな低ランクでも依頼が受けれたんだ。」


そして今度はシンクが微笑みながら答えた。普段から授業をほとんど聞いていないカインは、みんなの話を聞いてただ頷くだけである。


「へぇ〜。つかお前らそんなことよく知ってるな。俺はそんなの全然知らなかったぜ。」


「これくらい常識。」


「うっ……」


ミランが小さく呟いた言葉がカインの胸に突き刺さる。ミランの口調は明らかにカインのことを馬鹿にしているようだった。おそらくカインに無理やり連れてこられたことを根に持っているのだろう。


「ま、まぁいいじゃねえか!!知識がなくても強けりゃ全て良しだ!!」


「アンタ強くもないじゃない。頭も悪くて、強くもなくて、オマケにチビなんて既に救いようが無いわね。」


「なんだと!?やんのかコラッ!?」


「なによ!!本当のことを言っただけじゃない!!」


カインの言葉に今度はルナがツッコミをいれる。ただルナの言葉はいつも余計なことを含んでおり、そして毎度のようにカインとルナが喧嘩を始めた。今日三回目の行動に、もはやサジたちは何も言えなかった。


「とにかく今は喧嘩よりも任務を完了させることが先でしょ。二人とも喧嘩しないで早くウッドウルフを探さないと。」


シンクのその言葉にカインとルナの二人は睨みあっていた目を背けて、同時にフンッと鼻を鳴らした。そんな子供のような行動にサジたちはただただ苦笑いするしかなかった。


「…………このチームはいつもこんな感じなの?」


すると突然ミランが口を開いた。ミランはカインとルナのほうをジッと見ている。


「あぁ、あの二人はずっと喧嘩ばかりして、それを俺達がいつも止める。このチームになってからずっとその繰り返しだな。まったく、馬鹿みたいだろ?…………でもこういうのも俺は凄く楽しいって思う。」


「僕もサジに同意見だよ。ただ毎回毎回喧嘩するのはどうかと思うけど……。でも友達といることはかけがえのない時間だからね。だからミランさんも僕たちのチームに入れば絶対に楽しいと思うよ。」


「友達……楽しく…………」


サジとシンクの言葉にミランは何か答えるわけでもなく、ただそう呟いた。しかしすぐにハッとなると、ミランは絶対にチームには入りません、と言って黙り込んでしまった。そんな行動にサジとシンクは首をかしげた。


「いつかこのけりは必ずつけてやるからな。」


「ふんっ、やれるもんならやってみなさい。返り討ちにしてあげるわ。」


そしてカインとルナはそんなことも知らずに、未だに小さく言い合っていた。














「おいおい、いつになったらウッドウルフは現れるんだ?」


そしてカインたちがウッドウルフの捜索を開始してから数十分が経つ。けれどもウッドウルフどころか、動物一匹にも遭わない状況にカインはついに痺れを切らした。


「おかしいな……これだけ歩き回れば一匹ぐらい遭遇してもいいはずなのに。」


流石にウッドウルフ一匹も遭わない事に、サジも首をかしげる。そこでシンクが何かを考えた素振りを見せると、ある一つの提案を切り出した。


「だったら二組に別れて捜索するって言うのはどうかな?」


「ああ、そうしたほうがいいかもな。このままじゃ依頼の五匹を討伐する頃には夜になっちまうぜ。」


シンクのその提案に、サジは賛同の声をあげる。空を見上げると、まだ太陽は照っていることには照っているのだが、既に山のほうへと沈みかけていた。


「んじゃどうやってそのメンバーを分けるんだ?」


そんな空を見て急いだほうがいいと判断したサジは、急かすようにシンクへと問いかける。しかし当のシンクは困惑しているかのようにウーンと唸り声をあげている。


「どうしたんだ?まさかジャンケンで決めようなんて言うんじゃないだろうな?」


「いや、そうじゃないんだ……。たださっきもそのことを考えてたんだけど、力のバランスを考慮するとこのメンバーしか思いつかないんだ。」


そしてシンクはそう言うと、一人一人順番に指差していく。


「まずカイン、ミランさん、そして…………ルナ。この三人が一緒の班だ。」


「「「はっ??」」」


シンクの言葉に、驚きの声を上げたのはカイン、ルナ、サジの三人だった。しかしシンクは気にせずにそのまま話を続けていく。


「そして残りの僕、サジで班を組む。それじゃ30分後にまたここへ集合しようか。それと緊急時のときは思いっきり叫ぶか、魔法を空に打ち出すこと。質問がなければ早速出発しよう。夜になると視界も悪くなるし危険だからね。」


「いや、思いっきり質問はあるわよ!!ていうかアンタもそれぐらい予想できたでしょ!?」


「そうだ!!なんで俺がコイツと同じ班なんだ!!」


シンクが話を終えた瞬間、真っ先にルナが声を張り上げて、続いてカインもルナのことを指差しながら大声で言う。ルナの言ったとおり、この展開になることが予想できていたシンクは、一度大きくため息をついた。


「だから言っただろ?力のバランスを考えたらこの組み合わせしか思いつかないって。この中でカインのことをカバーできるのは多分ルナだけだ。」


そんなシンクの的を射た説明に、ルナは不満ながらもこの組み合わせに賛成せざるを得なかった。カインだけは未だに何かギャーギャーと騒いでいるが。


「でも何で私はこんな二人と同じ班なの?」


さらにシンクの説明を聞いていたミランが、自分の班の組み合わせに愚痴とも言える意見を発した。確かに喧嘩ばかりしているこの二人と同じ班ともなれば不満の一つや二つはでてくるだろう。


「二人だけだと確実に喧嘩して、そのまま夜を迎えちゃうでしょ?だからそこをミランさんに止めて欲しいんだ。僕らは同じチームなんだから、これくらいはしてもらわないとね。」


シンクはそう言うとミランに満面の笑みを浮かべた。ただその笑顔には裏がありそうで、ミランは納得できなかったが、今日だけだと我慢してシンクの意見を聞き入れた。


「よしっ、それじゃ今から30分後に。解散!」















「おい、もっと離れて歩けよ。」


「なによ、アンタが離れたらいいじゃない。」


「二人とも、道が狭いんだから仕方ない。いちいちそんなことで言い争わないで。」


カインの班がシンクの班と別れてから10分後、すっかりカインとルナの二人を止めることが板についてきたミランは、この状況にうんざりしていた。


「(まったく、二組に分かれてからこれで三回目。これでよく同じチームに居れる。確かこの二人、入学式の時も喧嘩してた…………いったいこのチームはどうなってるの?)」


この二人を止めることに慣れた自分に少し嫌気が差しながらも、一応周りにウッドウルフがいないかを警戒して歩いているミラン。そんなミランをよそに、まったく警戒心を見せないで先頭を歩いているカインとルナ。そしてそんな二人を見て、ミランはふとある事を疑問に思う。


「…………ところで二人は何故同じチームに?」


これほど仲が悪いにも関わらず、二人がずっと同じチームであることを不思議に思ったミランが二人へと問いかける。もしかしたら本当は仲がいいのではないか、という考えが一瞬ミランの頭をよぎる。そしてそんなミランの言葉に、前を歩いていたカインとルナが同時に振り返る。


「あぁ、それはコニル先生が勝手に俺達のチームを決めやがったんだよ。こんな奴と同じチームだなんていい迷惑だぜ。」


「なんでもこのままだと、私とカインのせいで自分に被害が及ぶとか言ってね。まったく、そんなの成績不良なカインを退学させればいいだけの話なのに。」


「…………てめえ、また俺に喧嘩売ってるのか?」


「あら?私何か間違った事でも言ったかしら?気に障ったならごめんなさいね、でも本当のことだから。」


こんな少ない会話にも関わらず、再び一触即発な雰囲気となったカインとルナの二人は、お互いにおでこをこすりつけながら睨み合う。しかし今回ミランはそんな二人を止めようともせずに、ただ自分の考えにふけっていた。


「(無理やり作られたチーム…………それにしてはお互い息ピッタリなのは何故?)」


パァン!!


「「「!!!?」」」


すると突然、遠くのほうからもの凄い音がする。カインたちが即座にそちらへ目を向けると、そこには大きな水しぶきが舞っていた。


「あれは……シンクの魔法だ!!ということは今シンクたちが危険ってことか!?」


「急いでシンクたちの所へ向かうわよ!!」


ダダッ!!


その水しぶきがシンクによるものと分かり、カインたちはシンクとサジがいる下へと走りだす。しかし元々運動することが得意ではなく、体力が少ないミランは、前にいるカインとルナにどんどん距離を離されていく。


「ハァ!ハァ!…………ま、待っ!!(…………私は何をやっているの?何で私は必死で走っているの?)」


ミランの声が聞こえないのか、カインたちは振り返らずにそのまま走り続けている。そしてカインたちとかなりの距離が開いてしまったミランはついに足を止めてしまう。


「ハァ、ハァ……やっぱり仲間やチームなんて言ってるけど所詮は他人。埋め合わせの私なんかがいなくても、彼らには何の障害もない…………そう、私がいてもただ邪魔なだけ、私は誰にも必要とされていない…………」


息を整えたミランはそう呟くと、カインたちが走っていった方向には行かずにそのまま学園へと歩を進めようとした。


ガルルルルゥゥ!


「はっ!?」


しかし茂みのほうから低い唸り声が聞こえると、ミランはその足を止める。その瞬間、なにか緑色をした物体が茂みから飛び出した。


「…………ウッドウルフ、まさかこんな時に遭遇しまうなんて。」


ミランは苦虫を噛み潰したような顔でそう呟くと、出てきたウッドウルフを見据える。そのウッドウルフの毛並みは周囲の環境に合わせた緑色、口からは大きな牙がその姿を覗かせ、足の先にある爪はギラリと光っていた。そしてそのウッドウルフは今にもミランに飛び掛ろうと、前傾姿勢のままミランを睨みつけている。


「ウッドウルフの数は目の前の一匹のみ…………」


ミランはそう呟いて、懐から小型のナイフを6本ほど取り出した。ミランの戦闘スタイルは魔法と小型武器主体のトリッキーなスタイル。ミランは自分の服のあらゆる所に武器を隠し持っており、敵の不意を突いて相手を確実に仕留めていく。


そしてミランが武器を取り出した瞬間、身の危険を察知したウッドウルフがミランに飛び掛っていく。しかしミランはまったく焦った様子を見せない。


「単純で、直線的な攻撃…………これなら私一人でも余裕。」


シュ! グサッグサッグサッ!!


迫り来るウッドウルフに、ミランは冷静にナイフを投げつける。そして6本中3本がウッドウルフに直撃し、ウッドウルフはそのまま地面に倒れこんで絶命する。


「ふぅ…………早く寮に戻ろう……」


ビュン!!


「っ!?『ウィンドカッター』!!」


ザシュ!


「くっ!?」


今日はとことんついてないなと思いながら帰ろうとしたミランに、突然鋭い形をした石が飛んでくる。ミランはそれを魔法で撃墜しようとしたが、間に合わずにその石はミランの腕を掠めていった。


「…………まだ一匹残ってた。」


ミランが腕を押さえながら木を見上げると、そこにはもう一匹ウッドウルフがいた。どうやら先ほどの攻撃はこのウッドウルフが石を弾き飛ばしてきたらしい。


「片腕が使えなくても、まだ私には魔法がある…………」


そして片腕から血を流し続けているミランはその痛みをこらえながらも、もう片方の腕で今度は背中から小さな杖を取り出して魔法を放つ構えをとる。


ワォーーン!!


すると突然ウッドウルフが空に向かって大きく咆哮した。その行動にミランは一瞬だけ体をビクッと震わした。


ガサガサ


「!!!?」


そしてミランがウッドウルフの行動を不思議に思っていると、後ろのほうから茂みの揺れる音が聞こえた。ミランはまさかと思って後ろを振り向いてみると、そこにはもう一匹のウッドウルフがミランを睨みつけていた。


「ウッドウルフが二匹……なんで…………」


あまりの予想外の状況に、ミランは思わず言葉をもらしてしまう。その顔には少しの絶望の色が浮かび上がっていた。


「まさか既に女王が出産の時期に入ってるの?…………いやそんなハズはない、ギルドの情報は絶対。…………どうやら今日は私にとって本当に厄日みたい。」


ミランは今日の自分の運のなさに思わず苦笑いしてしまう。


「私一人でこのウッドウルフ二匹を倒すのは難しい…………でも私はやらなきゃいけない!だって私はこれから一人で生きていくって決めたから!」


しかしミランは何かを決意したように武器を杖からナイフへと持ち替えると、そのまま前方のほうにいるウッドウルフへと突っ込んでいく。そしてそのままナイフを前方へと投げつけた。


シュ!


しかしミランの攻撃は無常にも避けられてしまう。さらに再び武器を取り出そうとしたミランは、地面に生えてある木の根っこに気づかずに躓いてしまう。


「し、しまった…………!!はやく立ち上がらないと…………!!」


そしてミランがもたついている間にも、ウッドウルフたちが前後から飛び掛ってくる。間に合わないと判断したミランは、この絶望的な状況にもはやこれまでと死を覚悟する。













「前方のウッドウルフに魔法を撃てぇぇぇえ!!」


「!?」


突如、ミランの耳に聞いたことある声が飛び込んでくる、ミランは反射的に手を前にかざした。


「ウ、『ウィンドカッター』!!」


「オラァァァア!!」


ザクゥ!


バキィ!


ミランの放った魔法が前方にいるウッドウルフに直撃し、そして後方のウッドウルフは何者かに吹き飛ばされた。ミランは座り込んだままゆっくりと後ろへ振り返る。


「カイン…………」


そこには笑顔で金髪をなびかせているカインが立っていた。そしてカインはミランへ近づくとそっと手を差し出した。ミランは素直にその手を取って、地面から起き上がる。


「大丈夫だったか?やっぱりヒーローてのは遅れて登場するもんだよな、カハハ!!」


「な、なんでアナタがここに…………?」


こんな状況ながらもふざけた態度で豪快に笑っているカインを見て、ミランはカインがどうしてここにいるのかが分からなかった。そしてカインはミランの質問に平然と口を開く。


「お前が心配でひき帰してきたに決まってんだろ。ルナはシンクたちの方へ行っちまったけどな。後ろからオオカミみたいな遠吠えがしたと思って振り向いたら、お前がいなくてビックリしたぜ。」


「私が……心配…………?」


そんなカインの言葉が信じられずに、ミランはカインの言った言葉を小さく繰り返す。カインはそんなミランの肩をバシバシと叩きながら大きく笑う。


「いや〜、悪かったな。仲間のお前を置いて行っちまって。つか運動が苦手なら先に言ってくれよな。そしたら俺達もお前のスピードに合わしたのによ、カハハ!」


カインは少し嫌味な感じで言ったのだが、ミランはそんなことよりも自分のことを仲間と言われたことが信じられないでいた。そしてそんなカインの言葉に、ミランは反論の言葉を返そうとする。


「私がアナタたちの仲間なわけが……」


「いや、お前はもうれっきとした俺達の仲間だ。」


しかしすぐにカインはそれを遮る。カインの顔に先ほどまでのふざけた感じは見られない。そしてさらにカインは言葉を紡いでいく。


「お前がいつ、どんな理由でチームに入ろうが、俺たちのチームに入った瞬間から俺たちは仲間だ。だから仲間がピンチのときは、俺は死ぬ気で仲間を助けに行く。現についさっき俺が助けに来たおかげでお前は助かっただろ?カハハ!!」


カインはそう言って最後にまた笑い出した。そんな明るい笑顔で話すカインとは逆に、ミランは途中から俯いたまま顔をあげようとしない。そんなミランを心配して、カインは笑うのを止めてミランを下から覗き込もうとした。


ポタッ ポタッ


「!!!?」


するとミランの前髪によって隠されている目から、数滴の涙が流れていることにカインは気づいた。カインは覗き込もうとした顔を引っ込めて、あたふたと慌てはじめる。カインはまさかこんな状況になるとは思わず、ただただ慌てるしかできなかった。


「お、おい、どうして泣いてんだよ?俺がなんか悪い事でも言ったか?それともどこかケガでもして痛いのか?」


いつもは自己中心的なカインも、こんなときばかりは相手のことを心配せずにはいられない。するとカインの質問に、ミランはゆっくりと首を振った。


「違うの……凄く嬉しいの……」


「へっ?」


そしてミランの予想外の言葉に、カインは思わず素っ頓狂な声をあげる。しかもなぜミランが嬉しいのかもカインには全く理解ができなかった。そんなカインが焦っていることを知らないミランはゆっくりと口を開いた。


「…………私は前のチームで少し問題があって、すぐにそのチームから脱退させられた。その時のチームメイトが私を見る目はとても冷たかったの。だからアナタがさっき言ったような言葉をかけられたのは初めてだから、本当に嬉しかったの…………ありがとう、カイン。」


ヒュウゥゥゥ


「あっ……」


ミランがそう言った瞬間、少し強めの風がカインとミランの間を通り抜ける。そしてミランの前髪が大きく靡いて、その前髪に隠されていた素顔が露になった。


そこには可愛らしさを感じさせるクリッとした瞳がカインを見つめていた。予想外の可愛さにカインは思わず目を丸くする。


「おい、ミラン……お前…………」


「??どうかしたの?」


どうしてカインが驚いているのかが分からずにミランは首をかしげる。そしてカインはゆっくりと口を開いた。


「前髪で顔を隠さないほうが可愛いぜ。」


「えっ……ええっ!?」


カインは真顔でミランの顔を見つめながら言った。今度はミランが予想外の言葉に驚きの声をあげる。


「そ、そんな……可愛いなんて……」


「いや、本当に。それに笑顔もめちゃくちゃ可愛いと思うぜ。ルナなんかとは大違いだな、カハハ!!」


真顔でそんな恥ずかしいことを言うカインとは逆に、ミランはあまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にしながらずっと俯いている。そしてすっかり油断している二人は知らなかった、背後から着々と近づいてくる者がいることを。そして


ガルゥゥゥ!!!!


「「!!!?」」


突然の唸り声に二人は反射的に後ろへと振り返る。そこには先ほどカインに殴られたウッドウルフがカインたちを睨みつけていた。やはりカインの力ではウッドウルフを少しの間だけ気絶させる程度の威力しかなかったようだ。そしてそのウッドウルフは二人へと襲い掛かってくる。


「危ねえ!!!!」


「カイン!?」


とっさにカインはミランを守るようにして、ミランを自分の背後へと回らせた。あまりの突然の出来事にミランは体を動かすことができず、カインはミランを守ったことによって反撃の体勢をとることができなかった。そしてウッドウルフは鋭い牙をむき出しにしながら口を大きく開けた。


「『フレイムショット』!!」


バンッ!!!!


しかしそんなウッドウルフの攻撃はカインたちに届くことなく、圧縮された炎の弾丸がウッドウルフへと直撃した。


「ふう、二人とも大丈夫?まさかとは思ってたけど、コッチがこんな状況になってるとはね。ビックリしたわ。」


「ル、ルナ!?どうしてお前がここにいるんだ!?お前はシンクたちの所へ行くって言ってただろ!?」


カインが魔法の飛んできた方へと顔を向けると、そこには少し息を切らしたルナが立っていた。カインは先ほどミランがカインにしたような質問をルナへとぶつける。


「冷静になって考えてみたら、アンタとミランだけで居させたら魔物と遭遇したときに危ないでしょ?シンクとサジの二人ならもう少しぐらい耐えてくれると思って、アンタたちのほうを優先させたのよ。それで来てみたら案の定こんな状況になってたってわけ。」


ルナが最後にヤレヤレといった感じで両手をあげた。


「おいおい、それじゃ早くシンクたちの所へ行こうぜ。それと……助けてくれてありがとよ。」


「……前にも言ったけど、アンタが礼を言うなんて今日は槍でも降ってくるんじゃないかしら?」


「今はお前と喧嘩するよりもシンクたちの所に行く方が先だ…………ブスが。」


「そうね、私もその意見に賛成だわ…………チビ。」


「二人とも、所々でそんな子供みたいな喧嘩しないで(……やっぱり何だかんだでこの二人は仲が良いと思う)。」


ミランのその言葉にカインとルナは無言のままシンクたちがいる下へと走り出した。そして今度はミランの走るペースに合わせながら。














「あっ、どうやら来たみたいだね。サジ、まだ大丈夫かい?」


「早く助けてくれ〜!!」


ザンッ!


サジがそう叫ぶと同時にカインたち三人が木々の間から現れた。


「おい、二人とも大丈夫か!?んっ?おい、サジがいねぇじゃねえか!!アイツはどうしたんだ!?」


そしてカインはそこにサジの姿がないことに気付くと、急いで辺りを見渡す。ルナとミランもそれにつられて同じように辺りを見渡していく。しかしそんな三人の様子を見たシンクはただ苦笑いをしているだけだった。


「おい、シンク!!何笑ってんだよ!!サジの奴はどこにいったんだ!?」


「お〜い!!俺はここだ〜!!」


カインがシンクへと問い詰めた瞬間、どこからかサジの声が響く。その声に反応してカインたちはキョロキョロと周りを見渡すがそこにサジの姿はなく、あるのは地面に人一人分だけ入れそうな穴があるだけだった。


「ん?穴?まさか…………」


そして何かに気付いたカインはシンクへとゆっくり目線を移す。シンクはそのまさかだよ、と言って穴の方へと親指を向ける。


「お〜い!早くここから出してくれ〜!うおっ!?ミミズだ!?ミミズがこっちに…………うわぁぁぁあ!!やめて!!鼻はやめてぇぇぇぇえ!!」


するとその穴からサジの間抜けな声が聞こえてくる。カインたちがその地面にある穴を覗き込むと、そこにはサジのものであろう足がバタバタと激しく動いていた。


「ねぇ、シンク、あまり聞きたくはないんだけど一応聞いておくわ。何があったの?」


「いやぁ、サジが突然、この穴が怪しい!!って言ってその穴を調べだしたんだ。そしたら覗き込んで調べているうちに手を滑らせて、そのまま見事に体が入り込んじゃったってわけさ。それで僕一人の力じゃ抜けないから緊急信号を送ったんだ。」


そのシンクの説明を聞いてカイン、ルナ、ミランの三人は開いた口が塞がらない。あれだけ必死でこちらに来たにもかかわらず、あまりの呆気なさに三人はただため息を吐くことしかできなかった。


「ねぇ、もうこのままサジを放っておいて木の栄養にしてあげるってのはどう?」


「……そんなことをしたら木が腐る。」


「逆にサジが木の栄養を吸い取って成長しそうだしな。」


「ちょ、お前ら!!俺はどんな生き物……うおっ!?今度はモグラが!?ぎゃぁぁぁあ!?だから鼻はらめぇぇぇえ!!!!」


再び森の中に響くサジの間抜けな声に、そこにいるサジ以外のみんなは最早関心を示そうともしなかった。


「ハハッ、なんで僕は緊急信号なんて発したんだろうね?ところでミランさん、僕たちと別れた後に何かあったの?」


未だに騒ぎ続けているサジを横目に、シンクはミランへと問いかけた。


「どうして?」


何故シンクがそんな質問をしてきたのかが分からずにミランはシンクへと聞き返す。


「何か雰囲気が変わった気がするんだ。そう、前までは細い細いロウソクの炎だったのが、今は冬の暖炉のように勢いよく燃えてる炎のような。」


「……多分それはカイン……いいえ、みんなのおかげ。私はみんなのおかげでもう一度その強く燃え続ける炎を取り戻すことができた。今回はみんなに助けられてばかりだったけど、今度は私がみんなを助ける番。だから…………これからも私はこのチームで一生懸命頑張っていく、アナタたちの仲間として。」


ミランはいつもの静かな口調で、しかしその目には屈強な意志を宿しながらそう言った。最初そんなミランにカインたちは驚いていたが、すぐにその顔を笑顔へ変えると同時に無言で自分達の右拳を前へと突き出した。ミランもそれを見てゆっくりと前へ拳を突き出す。


ガンッ!


そして四人の拳が綺麗にぶつかり合う。それは今日からミランが自分達の真の仲間であるということを誇示しているかのようだった。


「…………あの、盛り上がってるところ悪いんですけど、早く俺を助けてくんない?もうそろそろこの扱いに涙がでそうなんですけど。」


「「「…………プッ、アハハハハハ!!」」」


するとそこに空気の読めないサジの今にも泣き出しそうな声が響く。四人は顔を合わせると一斉に笑い出した。


「仕方がねぇ、そろそろ助けてやるか。おいシンク、そっちの足を持ってくれ。一気に引っ張るぞ。」


「了解。」


カインとシンクはそう言ってサジを救出する作業へと取りかかっていった。そして残っているルナとミランはお互いに顔を合わせる。


「さて、サジを引っこ抜いたら残りの二匹のウッドウルフを探しに行きましょう…………もちろん五人でね。」


「…………はい!!」

えらく期間が開いてしまって本当にスミマセンでした!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


言い訳をさせてもらいますと、最初から読み直しておかしいところなどを編集していたら時間がかかってしまいました。

この『!』の数だけ自分が反省していると思ってください

(-ω-;)





あっ、それと閲覧数がめちゃくちゃ増えていることに驚きました!!

この小説を読んでくれている方、本当にありがとうございます!!これからも宜しくお願いします!!


そしてあわよくば感想や評価などを宜しくお願いします!!!!この小説におかしいところ、ダメなところがあればすぐにお申し付けください!!

(`・ω・´)

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