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異世界開拓記 ~トンネルの先は異世界だった~  作者: よぎそーと
第二章

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21話 業務と企業活動と異世界における発展と

「はじめまして」

 声をかけてきた者にヒロキ達は目を向けた。

「開拓開発課の関山と申します」

「運搬の北川だ」

 四人を代表して北川が声をあげた。

 それを聞いて関山という男も頷く。

「それでは行きましょう」

 挨拶もそこそこに動き出す。

 つられるようにヒロキ達も立ち上がり、関山の後ろをついていった。



「それで、これから何処へ?」

「まずはうちの、開拓開発課へ。

 そこで仕事の説明とこれからの研修について説明します」

「断る事は出来ないのかな?」

「出来ればしてもらいたくないですね。

 出来なくはないし、それで皆さんが社内で不利になるという事もありませんが」

「そうか」

「ええ。

 今回、強引にやってる事は承知してますし、そうしてでも皆さんを引き込みたくはあるんですが」

「なんでまた……。

 そんなに人が足りないのか?」

「その通りです。

 足りないんですよ、人が」

 歩きながら北川が関山と話をしていく。

 それをヒロキも仁科と安西も聞いていく。

「とにかくうちは人がいないんですよ。

 どれだけいても全然足りない。

 だから、有望そうな人がいればとにかく引き込んでるんです」

「こんな強引にか?

 普通、打診してから勧誘するもんだと思うが」

「そうも言ってられないんですよ」

「それだけ人が死んでるからか?」

「それも理由の一つですね、残念ながら」

 そう言って関山は一度言葉を句切る。

「けど、それだけじゃありません。

 モンスターを相手にした死亡なども確かにありますが、それは全体としては微々たるものです。

 そうじゃなくて、単純に人数に対して仕事の範囲が広すぎるんです」

「ほう……」

「その事も含めて、これから説明をします」

 そう言ったところで、ヒロキ達は社内用のバスの発着場にたどり着いた。

 広大な社屋を持つ一井物産の輸送・運搬部門では、敷地内をバスが走っていた。

 それにのって、同じ敷地内にある開拓開発課の部屋へと向かっていく事になる。

「とりあえず、バスが到着するまでに話せる事は話しておきますよ」

 関山の言葉に、北川は思ってる事や疑問などをぶつけていった。



「人手が足りないってのは?」

「文字通りですよ。

 開拓するべき場所は多いけど、そこに送り込む人手が全然足りない。

 だからどうしても人手不足になる。

 簡単で単純な理由です」

「モンスターとの戦闘が激化してるからじゃないと?」

「まあ、開拓する場所が拡がれば、その分モンスターとの接触は大きくなりますよ。

 でも、それで死亡する者は年々減少してます。

 全くいないとは言いませんが、以前に比べれば格段に少ない。

 それこそ、あなた方運搬の護衛と同じくらいにまで下がってます」

「でも危険に変わりはないだろ」

「もちろん。

 この世界、安全な作業なんて新開市の中にしかありませんよ。

 外に出ればどこも危険です。

 そのあたりの詳しい統計数値も、これからお話しします」

「でも、出向く先での危険は?

 最前線ならかなり危険だと思うが」

「開拓の最前線なら。

 ですが、皆さんにはさすがにそこまでお任せしませんよ。

 皆さんにお願いするのは、そこからの運搬の護衛になるかと。

 運搬部でもほとんど手を出さない、うちの管轄地域での活動をお願いする事になります」

「ほう……」

 それは予想外だった。

「てっきり、モンスターとの戦闘に放り込まれるかと思ったが」

「巻き込まれる事はあるでしょうね。

 でも、それを主な仕事としてさせるつもりはありませんよ。

 少なくとも今のところは」

「出来れば今後もそうであって欲しいよ」

「こればかりは何とも。

 皆さんがこちらの思ってる以上に優秀だったら、そちらへの配置替えもあるかもしれません」

「じゃあ、仕事で手を抜くしかないな」

「それはご勘弁を。

 我々とて、達成しなきゃならない営業目標があるので」

 会社組織である以上は避けられないのだろう。

「ただ、本当に危険な部分は我々も請け負ってはいません。

 そういうところは自衛隊が陣取ってますから」

「ほう」

「そこからこぼれてくるモンスターもいるので、それらへの対処は避けられませんけどね」

「やっぱり危険なんだな」

「はい。

 でも、思ってる程では無いと思いますよ」

 そんな事を言ってるうちにバスは開拓開発課の前に到着した。



「それではあらためて説明を」

 敷地の隅にある比較的小さな建物の中、会議などに使うであろう部屋で関山は説明を開始していく。

「一応、必要と思える情報は資料としてまとめました。

 これを参照してください」

「これが開拓開発課の都合の良い物だけ並べてるという可能性は?」

「あります。

 ですから、そういうものだと疑いながら読んでもらえれば」

「なるほど」

 包み隠す事の無い言い方に驚く。

「もう少し誇張とかしないのか?」

「しても逆効果ですよ。

 嘘を吐いて引き込めば、後でもっと大きな問題になります。

 実際、それで大事になりかけた事もあるんですよ」

「それで、正直にいこうと?」

「そういう事です。

 それでも、本当に適切に情報を出してるかどうかは分かりません。

 同じ部署にいる僕ですら、知らない事はあるでしょうし。

 嘘は言って無くても、隠蔽はしてる可能性はあります。

 ですから、こちら側から提供する資料はすべからく疑っておいた方が良いかと」

「それで良いのか?」

「気分は良くありませんが、後で糾弾されるよりはマシです」

 苦笑する関山。

 それを見て、過去に何があってここまで言わせるのだろうとヒロキ達は思った。



「まあ、それを踏まえて説明を。

 まず、皆さんにお願いする仕事と担当地域についてです」

 そういって設置されていた映写機を使ってホワイトボードに地図を表示する。

「皆さんが担当してもらうのは、現地での運搬護衛。

 作業内容そのものは今までと大差はありません。

 ただ、出て来るモンスターの数や凶悪さは上がります」

「やっぱり」

「こればかりはどうしようもありません。

 開拓中の地域ではつきものです」

「それでもやると?」

「はい。

 でないと、開拓が進みませんから」

 それを聞いてヒロキは疑問を抱いた。

「あの、いいですか?」

「はい、何でしょう」

「そこまでして開拓を進める理由ってあるんですか?」

 それはこの異世界における基本的な質問であった。



「そうですね……一応その説明は僕も受けてます。

 ただ、あくまで会社から聞かされてるという内容ですので、信憑性はどうなのか分かりません。

 それでもよろしければ説明させていただきます」

「お願いします」

「では、これは資料がないので僕の記憶頼りとなりますが────」

 そう言いながら関山は説明をしていった。



「まず、開拓についてですが、これは今後を考えると必要不可欠かと考えられてます。

 この新地道における人口増加をみると、現時点での開拓を進めないとかなりまずいという結論が出てるようです」

「それは……」

「まず、この新地道の人口ですが、現在で1000万人と言われてます。

 これは今後も増大する見込みです。

 この人口を保つだけの耕作地がどうしても必要になります」

「ああ、なるほど」

「それに、食料だけではありません。

 住む場所、必要な製品などを作るために、資源の採掘なども進めねばなりません。

 今後も増えると予想される人口を収容出来る住宅値もです。

 開拓の手を止める事は今は出来ません」

「そんなに増えてるのか?」

「ええ、増えてます。

 この新地道が最初どれだけの人数で始まったかはご存じですか?

 新地道成立時点でおよそ200万人。

 それが今三世代目で1000万人です」

 爆発的な増加と言って良い。

「新地道というよりこの異世界のおかげと言えます。

 耕作地も居住地も資源も大量に存在する。

 しかも切り開けば自分のものになる。

 将来性を見込んだせいか結婚も出産も爆発的に増大しました。

 こちらで一組の夫婦から生まれる子供は平均5人以上という数値が全てを物語ってます」

 本土の出生率からすれば考えられないほどの数である。

「しかも医療がしっかりしてますから、乳幼児死亡率なども低い。

 生まれた子供達はそのまま成長して大人になれます。

 病気や事故による死亡はそれでもありますが、全体に影響を与える程では無い。

 だから、生まれた子供達を受け入れる場所がどうしても必要になります」

「それで開拓を?」

「そうです。

 その為に開拓を続ける必要があるのです。

 このままではあと20年から30年で人口は1500万を突破する。

 2000万になるのでは、とすら言われてます」

「なるほど」

 開拓の必要性がいやというほど理解出来た。



「でも、それなら出生制限をしても良いのでは?」

 人口が問題ならば、それも考慮するべきではと思えた。

「いえ、むしろ開拓はこのまま進めないといけないと言われてます」

「どうしてまた」

「この広い世界を開発するにはまだまだ人口が足りないからです」

 新地道があるこの異世界は、地球よりも大きい。

 そこに人類を含めた知性体(と考えられる存在)はない。

 言ってしまえば、この世界そのものが無人地帯と言える。

 そこに文明の勢力圏を作って保つにはどうしても人数が必要だった。

「今は大穴周辺の数百キロだけで必要な資源などを賄えてます。

 でも、将来はそうはいかなくなる。

 あちこちにあると考えらてる資源を採掘せねばならない時も来る。

 耕作地だってその分必要になる。

 それら賄うためには、より多くの人数が必要です」

「それに、モンスター対策もあると?」

「それもあります。

 モンスターの数が減ればさほど脅威でもなくなるかもしれない。

 でも、あれらが採掘現場や工場、農場などにやってくるなら撃退しないといけない。

 その為の兵力もどうしても必要になります。

 それらを維持するために、どうしても人数が、人口の増加が必要なのです」

「どれくらい必要なんです?」

「大雑把な計算らしいですが、それでも一億人。

 今の日本と同じ人口は欲しいとか」

「それは……」

 大幅な増加がないとたどり着けそうもない数値である。

「そこまでしなくちゃならないんですか」

「本土への物資供給も考えると、だいたいこれくらいは欲しいと言われてますね。

 何せ日本では資源はほとんど採掘できませんし」

「まあ、確かに」

 このあたり、日本のおかれた状況は変わらない。

 海外から資源を輸入しなければ産業が成り立たないのだ。

「こちらと繋がって、資源の確保が出来るようになったとはいえ、まだまだ必要な量の確保には至ってません。

 異世界における自給自足がようやく成り立って、余った分を本土に送れるようになったというだけです。

 そういう意味でも、開拓や開発は続けねばなりません」

 事は一企業の利益や新地道だけの問題ではなかったようだった。



「そんな大事だったんですか」

「一井物産ではそのように考えている……らしいですね。

 僕も末端にいるので本当かどうかは分かりませんが。

 ですが、会社としてのお得意様には日本政府があるのも確かです」

 国内有数というか最大規模に属してる企業ならばそうなのであろう。

 そして、だからこそ国家存亡に関わるような案件にも関わってるという事だろうか。

「皆さんにはその一端を、開拓地における物資輸送の業務に携わってもらいたいんです」

「大きな話だな」

 北川が呆れるように言う。

「そこに関われと?」

「そうなります。

 まあ、あまり現実感ないですけど、僕からしても」

 関山は(おそらくは)正直な言葉を口にした。

 それを聞いてヒロキ達は笑みを漏らした。

 壮大な話であったが、それを受け入れきれないのは自分も相手も同じだと感じたからだ。

「でも、それに関わる仕事だとは思うんです」

「分かった。

 とりあえず説明の続きを頼む」

 北川の言葉に、関山が頷く。

 ヒロキもその先を聞いてみたいと思い始めていた。

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続編はこちら。
『異世界開拓記 ~トンネルの先は異世界だった~』
https://ncode.syosetu.com/n8924fg//

ブログのほうでも幾つかは掲載している。
『よぎそーとのブログ』
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