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隠れチートと暴れん坊転校生の生徒会革命  作者: 井邑ハイリ
出会い+再会=変化
8/25

事件の予感

「純真先輩、ところで、革命って言っても、具体的に何するんですか?」


次の日の放課後、純真(そう呼べと言われた)と、壮吾(前に同じ)の3人で殆どの生徒が帰ってしまい、寂寥を感じる校舎の屋上で輪になって、話し合いをしていた。と言っても、実際、そこまで大層なものでも無く、全く知らない人が見れば、ただお菓子を広げつつ、コーヒーやら、アイスティーやらを片手に、暇な放課後を潰してる、というようにしか見えない、雰囲気だ。話の内容を聞かなければ、だけど。


「琉皇、とりあえず西宮昂征について教えてくれ」


この学校では、呼び捨てにするのも恐ろしいと名高い、生徒会長様を、平然と呼び捨てで呼ぶ時点で、大分やばい。

更に、調べても出てこないんだよなー、試しに、西宮財閥のセキュリティー硬くて入れないし。と言う純真の悔しそうな顔と、壮吾の、純真先輩が入れないって、向こうも中々侮れないですね。と言う会話に、何をしているのか本気で恐くなった。頼むから、犯罪行為には巻き込むなよ、と内心懇願する。


「俺が知ってることなんか殆ど知ってるんじゃないのか?」


「ん? まぁな」


聞いておきながら、あっさりと認めた純真に、俺はもう、隠すこともせず、半目になる。


「それなら聞くなよ」


「いや、僕だって知りたいところはたくさんあるよ。例えば、君の中学の時のこととか、さ?」


その途端、俺の心臓が、どきりと音を立てて、早く鳴り出した。俺は、慌てて平静を保ちながら、澄ました顔を作る。


「それだって、細かく調べてるんだろ?」


「そりゃ、純真先輩なんだから調べてますけど、やっぱり当事者の話を聞きたいんですよ。特に、こういう事は」


壮吾が、横から口を挟む。純真は、ニヤリと笑った。


「さぁ、琉皇? 答えてくれるよね?」


背筋に冷たいものが走る。再び大きな鼓動を打つ心臓。


「お、俺は、、、、、、」


何か言おうと声を絞り出したその時。


ガッシャーーン!!!!


突然すごい音がして、屋上のドアが開けられた。しかし、すぐに何か女子特有の甲高い声で何かを叫ぶと、数人の高笑いとともに、ドアが閉められ、カチャンと鍵をかけるような音があたりに響いた。突然のことに驚き、動けない俺たちだったが、すぐに、純真にジロリと睨まれた壮吾が、恐る恐るドアの方へ確認に行く。


「これは、何だか事件の匂いがするねぇ」


先程とは、コロリと表情を変えて、嬉しそうな純真に心底呆れる。

そんな俺を見て、更に笑みを深めた純真に、とうとう耐え切れなくなって、口を開こうとした時、壮吾が戻ってきた。


「壮吾、どうだったんだ?」


純真が、期待に目を光らせながら尋ねると、壮吾は、眉を顰めて、後ろに視線をやった。それにつられて、壮吾の後ろを見ると、そこには見知った顔があった。


「、、、、、、火野」


「琉皇先輩、、、」


肩にかかる三つ編みに、第1ボタンまで止められたカッターシャツとネクタイ、校則通りの長いスカートの彼女は、火野雫。俺の中学時代からの後輩だった。


「、、、、、、またか?」


俺の問いに、申し訳なさそうに頷く火野。

別に火野が悪い訳ではないのだが、火野は昔からこういう奴だ。


「ちょっと! 2人で勝手に解決しないでよ」


「そうっすよ、俺らだって知りたいっす!」


純真と壮吾が喚く。小学生か、こいつらは。

俺は、未だに縮こまっている火野に向き直る。この事を話すのは、本人の許可が必要だろう。


「火野。こいつらに話してもいいか?」


火野は、しばらく考えた後、小さく頷いた。


「迷惑を掛けたのは此方ですから」


真面目な奴だ。


俺は、応える代わりに、火野の肩を軽くポンと叩くと、目を輝かせる純真と壮吾に向き直った。


「言っとくけど、そんな気持ちのいい話じゃないぞ」


「何言ってんだよ、それを琉皇の話術で面白おかしく話すんだろ」


「はぁ?! 」


「まぁ、とにかく早く話してよ」


こいつの自分勝手さには、ほとほと呆れる。

そう思いながら、俺は、説明を始めた。


そう、それは俺が高2になってすぐの4月の出来事だった、、、。

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