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仙人の父娘の宿命

ゴロゴロゴロと雷の音が響く。雲は遥か下方にあるこの神仙山の頂に居ても、その音は聴こえてくる。着物を着込んだ美しい少女がいる。歳の頃は16、7歳くらいか。花で言えばつぼみが今まさに開かんとする所といったところか。白い肌に長い黒髪に黒い瞳。神秘的な容姿だと言える。この少女、名を彩菜さいな)といった。彩菜は今父である豪鬼と向かい合って正座をしている。豪鬼はその名の通り豪傑な成りをしている。筋骨隆々で顔は髭面。はっきり言ってコワモテだ。この美少女がこんないかついおっさんの娘であるとはちょっと信じがたい。きっと母親が絶世の美女で、彩菜はその母の血を多く受け継いだのだろう。「奴がついに長き眠りから覚める時が迫っておる」豪鬼が野太い声で彩菜に語りかける。「彩菜よ。お前には我が仙術の奥義の全てを教えた。今のお前ならば必ず奴をも倒せるであろう。本来ならばワシ自らの手でと思っておったのじゃが、この病持ちでは闘う事すらままならん。今やお前だけが奴と対等に闘える人間だと自覚せよ」彩菜は涼しげな視線を流す。「はっ、父上の心配には及びませぬ。私が必ず奴を仕留めてみせます。父上より伝授された仙術の奥義をもって」豪鬼はガハハと実に愉快そうに笑って、「魔王バグゾールよ。我が娘彩菜が迎えに行くのを首を洗って待っておるが良いぞ」豪鬼の豪気な笑い声は雷の音でかき消された。そう、まるでこれから起こる不穏な出来事を暗示するかのように……

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