幻日
太陽が空を駆けていく。
こう、私が小学生の頃徒競走で一番を取ったときのような走りで。
キラキラと輝く星めらの空で私は大きく手を平げ大きく深呼吸をする。
まだ躰が温かい。それもそうか。
私はまた大きく深呼吸をする。
人の目が痛い。
私はまた大きく深呼吸をする。
私はまた大きく深呼吸をする。
目の前に広がる大きな星空がわたしを誘導する。
綺麗な星めら。
空に白い息が上がる。
君らが望む幻日はすぐそこだ。
だから私がこうして橋から飛ぶのだ。
翅が生える。大空を駆けて行くペガサス。
君らが望む現実はすぐそこだ。
だから私はこうして現実へと向かうのだ。
翅が圧し折れる。大空から落ちていくペガサス。
君らが望む幻日はすぐそこだ。