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もう一人の俺  作者:
9/12

夏休み

デートから帰ると早速ミホに電話して全てを話した。

ミホはとても喜んでくれた。


「付き合うのも時間の問題だね」

なんて冷やかされた。


デートに行ったことを知っているアキとサヤカにも電話で説明した。


「サチコにしては慎重だけどいい答えだよ」

と言ってくれた。



次の日からサトシの日常が再び始まった。

サチコの生活にどんどん馴染んでいった。

最近では自分が男とも思わなくなってきた。


俺は、私はサトシじゃない、サチコだ。


サチコになってから一ヶ月が経った。

学校は夏休みになった。


サチコはユウトと電話で話していた。

「来週、泊まりで海に行かない?

 もちろんみんなで」

「海かぁ、楽しそうだね。

 行こうよ」

「よし、じゃあ人数集めるよ」

「わかった。

 ミホ誘っていい?」

「いいよ、あとアキとサヤカも誘えよ。

 そうすれば俺もアツシとジン誘うから。

 あと誰か一人」

「了解」


サチコは早速3人に連絡した。

みんな行くと喜んでいた。

そして4人で水着を買いに行くことにした。


「サチコは特に気合いれて選ばないとね」

3人でサチコをからかった。


いくつか試着をして、サチコは白で黒い縁のフリルが付いたビキニを選んだ。


いよいよ当日になった。

サチコはTシャツにショートパンツを着た。

ユウトはラフな格好すぎるのは嫌いといっていたが

行く場所は海だ。

変に思わないだろう。


そして秘密のアイテムをバッグに入れて待ち合わせ場所にいった。

ミホもアキもサヤカもサチコと似たような格好だった。

安心した。


ユウトたちが来た。

これで全員が揃った。


ユウトのほかにアツシ、ジン、そしてタカユキという男の子が来た。

タカユキはほかの3人と比べ、ちょっと真面目そうな感じだった。


ユウトがミホに話しかけた。


「ミホちゃんだよね、始めまして」

「始めまして、ユウトくん」

「ミホちゃんの話はサチコからいろいろ聞いてるよ。

 すぐにミホがっていうからさ」


サチコがあいだに入った。

「だってミホのとこ大好きなんだもん」

「私もサチコのこと大好き」


みんな笑ってた。


電車で移動して海に着いた。


まずは泊まるホテルへ行き、荷物を置いた。

もちろん泊まる部屋は男女別々だ。

旅館は海と目と鼻の先なので着替えて合流することになった。


みんな着替えだしたがサチコは、すぐに着替えずにバッグを漁った。


「サチコ着替えないの?」

「実は秘密のアイテムを持ってきたの」

「なになに?」

「じゃーん」


取り出したのはヌーブラとパットだった。

ちなみに両方とも元々サチコが持っていたものだ。


「これ両方着ければかなり盛れるよね」


そういってサチコは着替えだした。


「なに、サチコめっちゃ気合入ってるじゃん」

「だってユウトくんいるんだもん、当然だよね」

「偽物って教えちゃおうか」

「ダメだよ、いったら」

「だってエッチすればバレるよ」


エッチという言葉でサチコは焦った。

まだそこまで考えたことはない。

単にユウトを喜ばせたい一心でしたことだった。


「あれ、サチコ顔が赤くなってるよ」

「今更エッチくらいなんでもないでしょ」


アキとサヤカがさらっと言う。


「それは昔の話だよ、今のサチコはユウトくん一筋で純情なんだから」

ミホがフォローしてくれた。


「確かに昔のサチコと違うよね、そうかぁ純情になったのか」


アキとサヤカが納得してくれた。


着替え終わるとサチコだけ盛ったおかげで胸が大きかった。


「なんかサチコの偽パイのせいで、うちらが貧相に見えるんだけど」

サヤカがつっこむ。


「ねー、ホントは私と同じサイズなのに」

ミホまで言う。


「ま、これも愛しのユウトのためなんだから」

アキが冷やかしてきた。


「絶対に盛ってるって言っちゃダメだからね!」

サチコが念を押すとみんな笑った。


待ち合わせ場所に行くとユウトたちが待っていた。

みんな体がしまっていて男らしかった。

サチコはそんな体を見てドキッとした。


ユウトたちは、サチコたちの水着姿を誉めてくれた。

特に言わなかったけど、みんなサチコの谷間をチラチラ見ていた。

それが何となく嬉しかった。


浜辺に着くとみんなで遊んだ。

少しすると、ユウトたちは泳ぎだしたのでサチコは砂浜にシートをひいて

しゃべっていた。


「ねぇ、一緒に遊ばない?」


知らない男たちが声をかけてきた。

ナンパだった。


「ゴメンね、男連れだから」

「そうなの?残念」


このあとも頻繁にナンパされた。



ちょっとぉ、早く戻ってきてよ。

バカ!


5回目のナンパを断ったところで、やっとユウトたちが戻ってきた。


「遅い!さっきからナンパされてウザかったんだから!」


サチコが頬を膨らませて怒った。


「そうだったの?ゴメンゴメン」

ユウトが謝った。


まったく人の気も知らないで!


このあとペアになって、みんなでビーチバレーをして遊んだ。

サチコはもちろんユウトとペアを組んだ。

点を決めるとハイタッチし、点を取られると笑った。

ほかのみんなも同じように楽しんでいた。


気が付くと夕方になってた。


一度ホテルへ戻った。

夕食を食べると、そのあと花火をすることになった。


サチコはマキシワンピを着ていった。

その格好を見たユウトは、かわいいじゃんと誉めてくれた。


みんなで花火をして楽しんだ。

花火も終わりに近づくと、ミホが小声で話しかけてきた。


「そろそろユウトくんの期待に応えてもいいんじゃない?」

「うん…」

「もう躊躇うことも考えることもないでしょ」


…それはサチコもわかっていたことだった。


「今日決めちゃえよ♪」


そういってミホは離れて大きな声で言った。


「花火の後片付けはユウトくんとサチコにやってもらおうよ」


あからさまだったが、みんな2人のこと知っているので

「賛成」

「あとよろしくね」

と賛同した。


みんなホテルに戻っていった。

戻り際に

「報告楽しみに待ってるから」

とミホ、アキ、サヤカに小声で言われた。


「みんな行っちゃったね」

「ずるいな、仕方ない片付けるか。」


みんなが使った花火を拾ってバケツに入れた。

全部拾うとゴミ捨て場へ捨てた。


「少し歩かない?」

「いいよ」


サチコとユウトは手をつないで浜辺を歩いた。

空を見ると星がキレイだった。


「サチコは楽しめた?」

「うん、普通に楽しかったよ。

 ユウトは?」

「俺も楽しかったよ、サチコがいたから余計楽しかった」

「バカ」


ユウトのわき腹にパンチした。

ユウトは慣れたのか、あははと笑うだけだった。

その笑顔を見て、サチコはやっと決心した。


「受け取ってるもの返す」

「え?」

「観覧車で受け取ったもの」

「そのかわり…もう一度言って」


言った自分が恥ずかしくなってサチコは下を向いてしまった。

するとユウトはサチコの顎を持って顔を上げさせた。

ユウトがサチコを見つめていた。


「俺はサチコが好きだ」

「私も…ユウトが好き、大好き」


そういうとユウトはサチコを抱きしめた。

サチコもユウトを抱きしめた。


2人は浜辺に座っていた。


「思ったより早く返ってきてビックリしたよ」

ユウトが言った。


「その割には対応が早かったじゃん」

「いつでも準備はしてたからな」

「ヘンタイ」

「なんでだよ?」

「だって準備してたってことは、ずっと私のこと考えてたってことでしょ?」

「ああ、俺にはサチコが全てだからな」

「バーカ」


サチコが笑っていうと、ユウトに寄り添った。


「ねぇ、帰るまでは別行動なしね」

「ん?」

「せっかくみんなで来てるから、

 私たちだけの時間はこれからいくらでも作れるから」

「ああ、了解だ。

 それは俺も思っていたことだから。

 みんな気を使ってくれて2人にしてくれたけど、

やっぱ今はみんなで楽しまないとな」


ユウトはわかってくれていた。

サチコはこういうユウトが好きだった。


「あまり遅いとみんな変なこと想像するから戻ろうか」

「変なことって?」

「俺とサチコがエッチ」


言った瞬間サチコがパンチした。


「痛て、しねーよ。まだ」

「まだってことはいつかするんだ」

「そりゃ、いつかはな」


いつかは…か、当然だよね。


想像したらちょっと緊張した。


ホテルに戻ってユウトと別れて部屋に入ると、女子の部屋に男子たちも全員いた。

みんなが「おかえりー」といって笑顔でサチコを見ていた。


「なぁ、部屋に誰もいないんだけど」

そういってユウトが戻ってきた。


全員がいるのを見て、あっという反応のユウト。


「早く報告しろよ」

アツシが茶化す。


一瞬、間が空くとユウトはサチコの肩を抱いた。

「あ、紹介するわ。俺の彼女のサチコ」


ユウトが笑顔で言った。

サチコは恥ずかしくて顔が真っ赤だった。


「やったー!」

ミホが一番に抱きついてきた。

「サチコおめでとう」

「ありがとうミホ」


みんなに祝福された。

サチコは幸せだった。

大好きな彼氏がいて、大好きな親友がいて、一緒に喜んでくれる友達がたくさんいて。


少しみんなで話してから、男子は部屋へ戻った。


サチコたちはみんなでお風呂に入ったあと、部屋で夜中まで話した。


「これでサチコも私のものじゃなくなっちゃったか」

ミホが笑いながらいった。


「そんなことないよ。

 ユウトは大切だけど、ミホもアキもサヤカも同じくらい大切だもん」


サチコは本心だった。

この中で誰も失いたくなかった。


「サチコぉ」

ミホが抱きついてきた。


「それは私たちも同じだから」

アキとサヤカが言った。


サチコは今がずっと続けばいいのにと思った。



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