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もう一人の俺  作者:
6/12

なんでこうなる?でもいいか

放課後になり、サトシはアキとサヤカの3人で駅前へ向かった。


「サチコ、ユウトくんと遊べてよかったね」

サヤカが言ってきた。


サトシはサヤカと話したことなどないが、

頑張って合わせる。


「うん、すごく楽しみ」


まったく楽しみじゃない。


ただ、なんとなくアキとサヤカと普通に会話ができるようになってきた。


駅前に着くと男が3人いた。

とてもチャラそうな感じだった。


「はじめまして、俺ユウト」

「俺はアツシ」

「俺ジン」


3人が自己紹介してきたので

こっちも自己紹介をした。


カラオケボックスに着くとユウトがサトシの隣に座った。

「サチコはなに歌うの?」


初対面なのに呼び捨てで呼んできた。


なんだコイツ、ムカつくな。


ムカついたからサトシも呼び捨てで呼んでやった。


「ユウトは何歌うの?」

「俺はEXILE歌うよ、あとで歌ってやるよ」


ユウトは呼び捨てにされたのに気にもとめなかった。


ソフトドリンクで乾杯をすると

誰から歌う?という感じになり、ジンが最初に歌った。

次にアキ、アツシ、サヤカ、ユウトが歌った。

ユウトは言ったとおりEXILEを歌った。

意外とうまかった。


「次はサチコだよ」


まずい。


「先に歌っていいよ」

サトシは言ってみた。


「なんで?歌ってよ」

男たちがあおる。


「いつもだったら最初に歌うじゃん」

サヤカが余計なことを言う。


「西野カナ歌うんでしょ」

アキも余計なことを言う。


サトシは逃げ場をなくした。

仕方なく局を選ぶ。


みんな軽々しく、あれ歌って、これ歌って、と言っている。

サトシは音楽に興味ないからまったく言っている曲がわからなかった。


あー、もう!どうにでもなれ。


サトシは吹っ切れて曲を入れた。

流れたのはマニアックでみんなが知らないような曲だった。


サトシは熱唱した。

みんなポカーンとしている。


歌い終わるとサヤカに聞かれた。


「なんの歌?」

「俺も知らない」

ユウトも言う。


そりゃそうだ、ゲームの主題歌なんだから。

しかもマニアックな。


「いや、歌えっていうから」


変な空気になった。


「俺てっきり西野カナ歌うと思ってた」

「私もー」


みんなにつっ込まれる。


吹っ切れたサトシは強かった。


「みんなが歌えっていうから歌ったんじゃん。

 知らない歌だとダメなの?」

「だって西野カナ…」

「そういう気分じゃなくなったから、

 なんか歌いたい歌を歌う気分なの!」


どうだ、まだ文句あるのか?


「まあいいんじゃない?」

アツシが言った。


この一言で次へ進んだ。


ほかの人が歌っているとユウトが聞いてきた。


「次も知らない曲?」

「たぶんね」


サトシはまたマニアックなのを歌った。

実は吹っ切れたときに気づいたのだ。

空気ぶち壊してユウトから嫌われればいいんだ。

普通に考えればこんな女、嫌なはずだ。


サトシは歌った、歌った、歌いまくった。


気がつくと時間になっていた。


カラオケボックスを出るとユウトが話しかけてきた。


「なんかイメージと違ったけどサチコ面白いな。

 今度遊びに行こうぜ」


はい?

なんでそうなる??


「サチコやったね」

「なんかいつものサチコっぽくなかったから

 どうしたんだろうって思ったけど

 やっぱその辺はさすがだね」


アキとサヤカが冷やかしてくる。


「番号交換しようよ」


そういってユウトはケータイを出してきた。

サトシは仕方なく赤外線で交換した。

ユウトは笑顔だった。


「このあとどうする?」


ジンが聞いた。


「ユウトとサチコだけにしてあげようよ」

アキが言った。


「ちょっ」

サトシは否定しようとしたらみんなが


「賛成ー」


といっていなくなっていった。

気がつくとユウトと二人だった。


「とりあえずマックでも行くか」

「う、うん」


サトシは仕方なくユウトとマックへ行った。


「なんか聞いてたサチコと違うからビックリしたよ」


当然だ、サチコであってサチコじゃないんだから。


「でも違ってよかったよ」

「へ?」

「顔がタイプだったから遊んでみようと思ったんだけど

 男に気に入られようアピールしてくる女だったら無理だからさ」


まさに本当のサチコだった。


「特にいい年して自分のこと名前で呼んでるやつとか。

 本人はかわいいって思っていてもキツイから」


それも本当のサチコだった。


「そ、そうなんだ」

サトシは苦笑いした。


「サチコが最初に知らない曲歌ったときは

 なんだコイツって思ったけど

 それを最後まで通すからすげーって思ったよ。

 俺自分をちゃんともってる女ってすげー好きなんだよね」


サトシのバカな行動は全て裏目に出ていた。


なんでそうなる…


このあとユウトといろんな話をした。

ユウトは意外といいやつだった。

見た目はチャラいが中身はしっかりしていて

自分の主張はしっかりする男だった。

そして話していて面白い。


サトシは気がつくと普通に素で話していた。


話は盛り上がり、21時くらいになっていた。


「そろそろ帰ろうか」

「そうだね」

「なんかサチコって男っぽいよな」


あ、そこでサトシは素になっていたことに気づいた。


「まあそんなサチコ好きだけどね。

 また連絡するけど日曜暇?」

「え?」

「サチコと遊びたいから約束しとけば安心だなって思って」


サトシは迷ったが、ユウトと話すのは面白いからいいかと思った。


「うん、いいよ」

「よし!じゃあ時間とかは連絡するから」

「了解」


こうしてサトシたちは帰った。


部屋に入ってケータイを確認すると早速ユウトからメールが来ていた。


今日はありがとう、日曜を楽しみにしてるよ


こっちも楽しみにしとくよ


メールを返信した。



アキとサヤカからもメールがきていた。


結果を報告してね と二人とも書いてあった。


普通に話して、帰ったよ


と送った。

すぐに返ってくる。


それだけ?


あと日曜に遊ぶ約束した


やったじゃん♪

これでサチコの男遊びも落ち着くかもね



サトシは意味がわからなかった。

なんでユウトと遊ぶと男遊びが落ち着くにつながるんだ?


すると電話がかかってきた。

ミホだった。


「どうだった?

 心配でバイト終わってすぐに電話しちゃったよ」


ミホはホントにいいやつだ。


サトシはあったことを全て話した。


ミホはカラオケでの暴走をゲラゲラ笑った。


「でも気に入られちゃったんだ」

「気に入られたというか、でもそんな嫌いじゃないよ。

 アイツ面白いし」

「ふーん、サチコが恋をしたかぁ」

「バカ!そんなんじゃなくて」

「だってデートの約束したんでしょ?」

「デートじゃなくて遊ぶだけだよ」

「それ立派なデートだから」

「そうなの?」

「だって向こうは間違いなくサチコのこと気に入ってるよ」

「そんなはずないって」

「サチコも男だったならわかるんじゃない?」


考えたがわからなかった。


「まあサトシは恋愛とか無頓着な感じだからね」

「ううせー」

「とりあえず土曜泊まりにいくから」

「なんで?」

「なに、私が行くの嫌なの?」

「そうじゃなくて、土曜って指定してきたから」

「だって日曜はデートでしょ、ちゃんと準備しなきゃ」

「そんなのいいよ、アイツは素でも大丈夫だから」

「それは性格の話でしょ、ちゃんとオシャレしていかないと

 ユウトくんガッカリするよ」

「そんな、遊ぶだけだよ」

「ダメ!とにかく行くから。

 土曜に服とかちゃんと選んで日曜の朝にちゃんとメイクしていくの!」


ミホに押し切られたサトシだった。

電話を切り、ベッドで横になる。


なんだよみんなして、ただ遊ぶだけなのに。


ただ一人、鈍感なサトシだった。



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