学校
6時半に目覚ましが鳴り、
サトシとミホは起きた。
「おはよ」
ミホがサトシに言った。
ん?…ああ、ミホか。
サトシは半分寝ぼけていた。
とりあえず顔を洗う。
母親が朝食を作ったので
ミホと食べた。
7時を過ぎていた。
「早くしなきゃ」
ミホは髪をとかしだした。
「サチコも」
サトシは言われるがままに
とかした。
ミホは鏡を見ながらメイクを
しだした。
サトシはなにをしていいのか
わからないので眺めてた。
「あとでやってあげるから
先に着替えてて」
ブラをするために下着を選んだ。
なるべく派手じゃないのにしよう。
なんとか普通の黒があったので
付けてみたがホックが
留められなかった。
あれ?あれ?
「前後逆にして先に前で留めてから
後ろにまわしてみ」
ミホはほとんどサトシのほうを
見ないで言った。
言われた通りにすると
簡単にできた。
次にブラウスを着た。
ボタンが逆だった。
女物は逆なのか、面倒くさい…
なんとか着ると
ミホが終わったらしく
テキパキと着替え出した。
ブラはサチコのを使ってた。
「同じの使ってるの?」
「サイズ同じだから」
忙しいのか、
ミホは素っ気なく答えた。
サトシがスカートを履く。
うわーマジでスカートだ。
なんて考えていたら
ミホはもう着替え終わっていた。
「サチコ遅い」
「そんなこと言ったって
慣れてないんだから
仕方ないじゃん」
スカートを履き終わると
丈が長いと言われた。
ミホがスカートを折ると
超ミニになった。
「これ短すぎだよ!」
「サチコいつもこんなんだよ。
短すぎない?って聞いたら
これがサチコスタイルって
言ってた」
なにがサチコスタイルだ、
これじゃすぐパンツ見えるだろ…
「慣れれば平気だよ、
どうすれば見えなくなるかも
わかってくるから」
いいやもう、考えるのやめた。
次に靴下を履いた。
「はい、座って」
ミホが化粧水を顔につけた。
次にバレない程度にと言って
アイラインをひいた。
このあと眉毛を書いた。
「はい出来た」
鏡を見ると、
ちょっと大人っぽくなった
サチコがいた。
「もう8時だよ」
「あ、ヤバい」
慌てて出ようとすると
ミホがリボンを投げた。
「忘れてた」
首にリボンを付け、
バッグを持って家を出た。
自転車に座るとスカートの
後ろの丈をちょっとだけはさんで
ほぼショーツで直にサドルに
座るのにとても違和感があった。
ミホと二人で自転車をこぐが
くだらないことを話ながら
行ったため、結構ギリギリに
なってしまった。
「あー緊張する」
「大丈夫だって」
そんな会話をしていたら
いきなり挨拶された。
「ミホ、サチコおはよー」
「お、おはよう」
同じクラスの柳下だった。
名前はえーと、メグミだ!
よし、いけるぞ!!
「ミホ昨日もサチコのとこ
泊まったの?」
「うん」
「ホント仲いいよね」
「メッチャ仲良しだよ」
そういってミホが抱きついてきた。
「わっ」
ミホとメグミが笑った。
教室に着くまで何人も
挨拶をしてきた。
サチコがいかに友達が
多いのかがわかる。
教室でもいろんな人が声を
かけてくる。
「サチコ今日は来たんだ」
えーと、コイツはリカだったかな。
「うん、出席日数ギリだからね」
「遊びすぎなんだよー」
リカが笑ってた。
担任が入ってきた。
みんな席に戻った。
担任は加藤という先生だが
同じだった。
朝のホームルームが終わると
すぐにみんな話し出した。
なぜかみんなサトシの
まわりにきた。
「そういえば昨日サチコに
メールしたのになんで
返してくれなかったの?」
コイツはなんだっけ?
赤木、赤木…思い出せない。
「アキ、昨日サチコ
大変だったんだよ!
男からしつこく連絡きて。
だから電源
切っちゃったんだよね」
ミホが助けてくれた。
サンキュー、ミホ。
あ、そうだアキだ。
「そ、そうそう大変だったんだよ」
「また変な男に引っかかったの?」
「そうなの、最悪でしょ」
ホントはサチコが好きな男だけど…
そういえば電源切った
まんまだった。
「で、なんだったの?」
「今日カラオケいくでしょ?」
カラオケ?
また変な約束してたのか?
「ユウトがくるなら
いくっていうから誘ったよ」
誰だユウトって?
ミホから受けたレクチャーを
思い出す。
しかし出てこない。
「ユウトって誰?」
ミホが聞いた。
ミホが聞くってことは
俺は間違いなく知らない。
「前に写メ見せたらカッコいいから
遊びたいってサチコが、ね?」
ね?じゃねーよ…
「で、サチコがもし遊べるなら
今日がいいって」
断る理由がなくなっていく…
「そうなの?」
ミホがサトシに聞く。
俺が知るはずないだろ、
わかってるはずないのに
なんで聞く…
ちょうどチャイムが鳴った。
すぐに教師が入ってきたから
みんな席に戻った。
授業が始まる。
ミホがなにかジェスチャーしてる。
どうやらケータイの電源を
入れろってことらしい。
サトシは教師に見えないように
電源を入れた。
メールが何十件もきてた。
すぐにメールがきた。
ミホだった。
ユウトなんて私も知らないよ。
どーするの?
どうしたらいい?
つーかサチコが気に入ってるのは
コウタってやつじゃないの?
私はそう聞いた。
でもサチコすぐにホレるから。
ただのバカ女じゃん。
でもイイコだよ。
私好きだもん。
それより何とか断れないかな?
うーん、行くしかないかも。
困った。
頑張って。
頑張れない。
ミホは来てくれるんでしょ。
今日はバイトだから無理だよ。
うそ?ミホ来ないとヤバいって!
なんとかなるよ。きっと笑
チャイムが鳴った。
授業が終わった。
アキがすぐに来た。
「4時半に駅前で約束したから」
笑顔で話してる。
「サチコの写メ見せたら
結構気にいってたよ。
いけるかも」
いけなくていいです。
「なんでカラオケなの?」
サトシは聞いてみた。
なぜならサトシはカラオケが
嫌いだからだ。
「サチコがカラオケがいいって
言ったんじゃん。
西野カナ歌って
アピールするんだって」
西野カナの歌なんて知らないよ…
「なんか今日のサチコ変だよ」
ヤバい!
「そ、そう?楽しみだよ。
他に誰がくるんだっけ?」
「サヤカがくるよ、
向こうが3人連れてくるって
言ってたから」
サヤカ…確か5組のやつだ。
「ミホ誘おうと思ったんだけど
月曜ってバイトじゃん?」
サトシが黙っているとアキが
今日のサチコホントに変だって
言ってきた。
「そんなことないって!
早く放課後にならないかな」
早く放課後になってしまった。
変だと思われながらも
なんとか学校は終わった。
知らない人との会話、
なりきれてないけど
サチコを演じたことなどで
サトシはかなり疲れていた。
しかしこのあと、
もっと大変なことになることを
サトシは知らない。