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もう一人の俺  作者:
3/12

レクチャー

ミホは何からすればいいか

考えていた。

サトシはとりあえずサチコが

どんな女なのか聞いた。


「サチコは一言でいうと面白いコ。

 一緒にいて飽きないんだよね。

 明るいし結構みんなから

 人気あるよ、あと好き嫌いが

 ハッキリしてる。

 自分に集まる人とは

 仲良くするけど、

 近づいてこなかったり暗かったり

 何考えてるのか

 わからないような人は

 嫌いだった。あと真面目な人も

 嫌いだよ」


ますますサチコはサトシと

正反対だった。


おそらくサチコも

俺は嫌いだろうな。


ミホは何か言いたそうだった。


「ほかになんかあるの?」

「言っていいのかなぁ」

「何?言ってよ」

「サチコかなりの男好きだよ。

 よくいろんな男と遊んでるもん」


ああ…とサトシは思った。

ケータイの画像やメールみても

わかるし、何より男と遊んでて

出席日数ギリギリになってるのが

物語ってた。


「まずは言葉遣いからかなぁ」

ふいにミホが言った。


「なんとかだわ。とか言えば

 いいのか?」


ミホが笑った。

「いまどきそんなしゃべり方

 する人いないから」

「わかってるよ、冗談だ」

「そうだなぁ、

 私みたいなしゃべり方

 してみてよ」

「ミホみたいなしゃべり方かぁ、

 難しいなぁ」

「そんな感じだよ」

「へ?」


サトシは普通にしゃべったつもり

だったがそれでよかったらしい。

そもそも今は男も女も大差ない

しゃべり方の時代だ。


「こんなんでいいの?楽勝じゃん」

「そうだね、ただサチコは

 自分のことサチコって

 呼んでたよ」


子どもか、高3にもなって。


「それは無理!

 せめて私が限界だから。

 それでなんか言われたら

 いい年だから私って

 呼ぶようにしたとか言えば

 怪しく思わないだろ」

「そうかもね」


はぁ、やっぱ先が思いやられる…


サトシが思ったらミホに言われた。


「でも、ああ、とか、だろ、は

 ダメだよ」

「ああ、わかった」

「ほら言った」

「あ、ご、ごめん」


ミホはまた笑った。


「こっちのサチコも面白いかも」


サトシは苦笑い。

「そりゃどーも」


次に交友関係を聞いた。

想像以上に多くて頭が痛くなった。

ほとんど話したことない人

ばっかりとサチコは仲が良かった。


ミホは誰とは特に仲がいい、

この人は学校で話すくらい、

などわかる範囲を教えてくれた。


次にケータイの画像を見ながら

これが誰、と教えてくれた。

男は半分くらいしか

わからなかった。


ボタンを押してから

いきなり着信があり出てしまった。


「もしもし、サチ?」


男の声だった。

名前はコウタと出てる。


サチコはとりあえず切った。

そのまま電源も切った。


「なんで切っちゃうの?」

ミホが怒った。


「そりゃ切るだろ!

 コウタなんて知らないし」

「コウくんはサチコが

 好きな人だよ」


好きな人?はぁ??


「早くかけ直さなきゃ」


そんなの聞いたら余計無理だろ…


「確認だけどコウタというのは

 同じ学校?」

「ううん、大学生。

 合コンで知り合った

 カッコいい人」


サトシは即答する。


「却下」

「なんで?」

「合コンなんて

 ロクなやつじゃないだろ!

 しかも高校生相手に」

「でもサチコはかなり

 気に入ってたんだよ!

 サチコ、コウくんの彼女に

 なりたいってよく言ってたもん」


ちっ、バカ女め。

自分の分身ながら腹が立つ。


「とりあえず学校関係以外は

 あとまわし」

サトシはキッパリと言った。


「サチコー」


下から母親が呼んだ。


「なに?」

「ちょっと降りてきて」


サトシは立ち上がった。

「なんだよ母さんは」

降りていこうとするとミホが

呼び止めた。


「サチコおばさんのこと、ママって

 呼んでたから気をつけてね」

「ママぁ?」


サトシはママなどと

呼んだことがない。


くそっサチコめ。


サトシは降りた。

「なに、ママ?」


母親は俺が知ってるいつもの

母親だった。


「ご飯、ミホちゃんのもあるから」


そういってお盆に乗った

カレーを渡した。


もう夕飯の時間か。

時計を見たら8時半だった。


「今日ミホちゃん泊まる?」


泊まるはずないだろ。

たぶん…いや、泊まられても困る。


「帰るよ」

「そうなの?ミホちゃんいつも

 これくらいの時間までいると

 泊まっていくから」


そうなのか?

しかし今日はさすがに帰るだろう。


サトシは微妙な会話が嫌だったから

お盆をもってさっさと

部屋に戻った。


「ご飯だってさ」

「やった」


二人でカレーを食べた。

サトシは食べながらミホに聞いた。


「ミホはよくウチに泊まるの?」

「泊まるよ、

 今日もそのつもりだし」

「ブッ」


サトシは驚いてカレーを

吹き出した。


「汚い!」

「だって泊まるとかいうから」

「普通じゃん」

「だって俺は」

「言葉遣い!」

「あ、だって私はサトシだよ」

「サトシだけどサチコじゃん。

 それに徹夜って言ったじゃん」

「だけど…」


サトシはいくらサチコの体でも

女が泊まるのはさすがに

マズいと考えていた。


なんとか帰らせる理由…

そうだ!


「でも明日学校だよ、

 制服着ないといけないでしょ」


我ながらいい理由だと思った。


「そこの棚に入ってるよ」

ミホが普通に答えた。


棚を開けると制服が二着あった。


「左のが私ので右のがサチコの」

「あのー質問なんだけど

 なんでミホの制服が

 ウチにあるの?」

「よく泊まるから一着

 置いてあるの」

「よくって?」

「週2日くらい」


泊まりすぎだろ…


ミホが泊まることが決定した。

レクチャーはまだまだ続く。

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