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もう一人の俺  作者:
10/12

なぜ?

翌日は、みんなで観光をした。

みんな特にサチコたちに気を使うことなく、普通に楽しんだ。


気を使わないことが逆にうれしかった。


夏休みはほぼ毎日遊んだ。

ユウトとデートしたり、ミホがいつも通り泊まりにきたり。


サチコは夏休みの終わりのころにユウトとエッチをした。

このことをミホだけには報告しなきゃいけないと思ったので報告した。

ミホは「これでホントにサチコになったね」と喜んでくれた。


夏休みが終わり、学校が始まった。

楽しい日々が続いていた。


ある9月の下旬だった。

この日もミホが泊まりにきた。

いつも通り一緒に寝た。



そして朝になった。


「ちょっと、いつまで寝てるの?遅刻するよ」


母親がお越しにきた。

寝ぼけながら返事をした。


「ん…ママもうそんな時間?」

「なにがママよ、寝ぼけてんじゃないの。

 早く支度しなさいよ」


母親が降りていった。


「ミホぉ」

ミホに抱きつこうと思って足を伸ばした。

しかしミホはいなかった。


あれ?どこいった??


ちゃんと目を開けると視界が違った。

いつもの布団じゃなかった。

部屋も違っていた。

いや、正確には戻っていた。


一瞬で目が覚めた。

体を見てみると男だった。

鏡をみるとそこにはサトシが映っていた。


元に戻った?

なんで?

私はサチコじゃなくなった?


状況を把握できなかった。


夢だったのか?

しかし日付を確認すると、ちゃんと昨日の翌日だった。

なにがなんだかわからなかった。


とりあえずトイレに行った。

座ってすると、いつもと違う感覚に驚いた。


あ、そうか。座ってする必要ないんだ。


朝食を食べながら母親に聞いた。


「昨日ってわた…俺なにしてた?」

「昨日、学校から帰ってきてずっとゲームしてたじゃない」


やはり通常の日常が進んでいたらしい。


部屋に戻って眉毛を書こうとするとペンがなかった。

そもそも書く必要がなかった。


制服を着るために服を脱いだ。

まぎれもなく男の体だった。


すごく悲しくなった。


久々に着る男の制服は着づらかった。

また逆のボタンが留めすらい。


着替え終わると学校へ向かった。

教室へ向かう途中、ミホとアキがいた。


「おはよっ」

二人に声をかけた。


「は?」

二人は冷たい視線で見てきた。


「あ、いや…」


「なんかキモくない?」

「行こう」

二人は行ってしまった。


ショックで泣きそうになった。


そうか、サトシの世界では友達でもなんでもなかったんだった…


学校は孤独だった。

誰もサトシには話しかけない。

休み時間も寄ってこない。


友達のいないサトシにとっては当たり前のことだった。


辛い孤独な一日が終わった。


彼氏のユウトは何してるんだろう?


ユウトの学校の近くへ行ってみた。

すると、ちょうどユウトが歩いてきた。

ジンと一緒に帰宅中だった。

ユウトは笑っていた。


ユウト!

心の中で叫んだ瞬間、ユウトとジンはサトシの横を抜けていった。

サトシはユウトたちの後姿を見ていた。


ユウト…


サトシは帰宅した。

なにもする気になれず、ベッドに横になった。

思わず涙が出た。


なんで元に戻っちゃったんだろう…

サチコのままでいたかったのに。


気がつくと寝てしまってた。

起きてから夕食をすますと、久々にゲームをやってみた。

まったく面白くなかったのですぐにやめた。


ケータイを開いた。

誰からも連絡がない。

電話帳をみてもほとんど登録されている人がいない。

ミホもユウトもアキもサヤカも入っていない。

サトシはまた泣いた。


サチコに戻りたい…孤独は嫌だ…

こんな生活、地獄だ…


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