不幸ってさ、
「お母さん、お父さん
私は今でも元気です。そちらはどうですか?幸せですか?
まだ2人とやり残した事がたくさんあります。
時々ね なんだか、私だけ恵まれてないみたいに感じてしまう時があるんだ。
でもさ、お父さん言ったよね?前を向いて歩け。って。行っちゃう前にそう言ったよね。
私なら、お母さんとお父さんが残した夢をかなえられるってそう言ったよね。
まだ心に残ってます。ありがとう。
また会えるかな?もし私が何年か後にそっちに行ったらちゃんと迎えてくれますか?
私が背負っている荷物は誰よりも軽いけど、そこには2人からもらった愛と言うものでいっぱいです。
本当にありがとう。」
私は由梨奈。昔、辛い思いをしたけれど、それらを乗り越えて生きてきた。
私を産んでから、すぐに母親が死んでしまった。今は父親と2人で生活をしているが、私が中2になった頃だったろうか・・・それは起こった。
・・・・今から7年前の事・・・・
「由梨奈っ、今夜父さんいないから、夕飯作らなくていいよ。」
「はーい!」
母親のいない私はお父さんと自分のためにご飯、3食全てを作らなくてはならなかった。
お父さんはそう言って、会社へ行った。
あの日はたまたま、学校が休みだったため、私はずっと家にいた。
家でのんびりしていると、あっと言う間に11時になっていた。
「あっ、もーこんな時間か・・・寝よっ。」
そう言って、私はベッドへ入った。ベッドに入って、何分が経っただろうか。1分も経たなかったかもしれない。すぐ、家に電話がかかってきた。
「眠いのに・・・!」
と私は言いながら、受話器を取った。
「由梨奈ちゃんかい?大変だよ!」
お父さんの友達の中山さんから、電話がかかってきた。
「どうかしました?」
私が聞くと、中山さんは、
「お父さんが倒れたよ!」
「えっ?!」
私はもちろんびっくりして、場所を聞き、そこまで走った。
そこには、もうたくさんの救急車がいて、お父さんを車の中へ運んで行った。
「お父さん!大丈夫?!」
聞くと、お父さんは、
「大丈夫、大丈夫、由梨奈、心配いらないよ。」
「私も病院まで行く!」
私は、お父さんが心配で言ったのに、お父さんは、
「来なくていいよ、由梨奈はもう寝ていないといけない時間だ。」
私は何も言えなかった。立ち止まってしまった。
結局、私はお父さんの言った事にしたがって、家へ帰って寝た。
あの日の夜は自分の生きているこの人生の中で一番長い夜だった気がする。
・・・・次の日・・・・
私はお父さんがいる病院に行った。
心配はいらないと言われたけど、自分の父親を心配するのは当たり前だと思った。
「お父さん?入るよ。」
「由梨奈・・・来たのか。学校はどうしたんだ。」
苦笑いしているお父さんが私は一番嫌いだった。
私は行けない。と真っ先に首を振った。
すると、お医者さんが入ってきて、
「失礼します。・・・あ、娘さんもいらっしゃいますか。
重要なお話がございます。が、娘さん・・・覚悟はできているでしょうか。あなたは今から背負う物が増えるかもしれません。それでもいいのなら、どうぞ、おかけ下さい。」
私のハートビートがどんどん速くなるのを感じた。
手汗もひどい。
「ここにいていいですか。」
恐る恐る椅子に腰を下ろした。
今ここで逃げたら、全てを失ってしまう気がした。だから私はその場を離れなかった。
「よく聞いて下さい。・・・長瀬さんの病気の原因は、まだ分かりません。・・・いや、
私が今まで見てきた患者でもこの病気の方々はいらっしゃらなかったんです。
なので、私も治す事ができないかもしれません。さらに・・・もう近いかもしれません・・・命にかかわる問題でもあって・・・なので家族皆さまで残された時間を貴重にお使い下さい。
・・・また後でナースが来ると思います。質問があれば、直接ナースに聞いて下さい。では・・・」
私の手には汗がすごかった。
なんで?何で私だけ幸せになれないの?
不明の病気でもなんとかして治してほしい・・・お父さんの命だけは・・・
続く・・・