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Ⅱ-⑥

「多分お金が儲かる、儲からないっていうのは結果論なんだと思うよ。先に儲かったっていう結果があって、それでやっと方法が浮かびあがってくるんだ。もし本当に儲かる方法が先に分かっているのなら、みんながその方法を真似して、みんながお金持ちになるってことだからね。でもお金持ちっていうのは相対的なものだからそこには矛盾が生じるんだ。だからやっぱり我々が努力して得られる儲け方は、結果論になってしまうんだと思うよ。『色々と試した結果今回はこの方法が儲かりました』ってね。北原さんも、絶対こうすれば儲かります、なんてこと言う奴がいたら注意した方がいいってことだよ。 ちょっと難しかったかな?」


「…なんとなく分かったわ。」


私はちょうど20本目の電柱を数え終えたところでそう答えた。細かいところまでは分からなかったが、彼が伝えたい感覚のようなものは伝わってきた。やっぱりそうだろうと思っていたが、現実に答えを聞くと少し寂しいと感じてしまう。私が勉強して出した結論と、彼の営業経験から導き出した結論は見事に一致したということだ。


「やっぱり北原さんもお金持ちになりたいの?」


私が黙っていると、春川君は何かを察したのか問いかけてきた。


「お金持ちになりたいって言うと言葉が汚く感じるけど、お金は嫌いとは言えないよね。多分嫌いって本心から言える人間は本当のお金持ちくらいのものだと思うわ。」


私は少しだけ本音をぶつけてみた。彼は驚いた様子もなく


「北原さんならなんとなく本音を言ってくれるような気がしたよ。俺もお金なんて興味ないなんて、ぶりっこするような女の子に何人か会ったことあるけど、正直言って嫌いだね。金融機関で働いている人間としては、この世界でお金というルールに則って生活している以上、お金を欲しいというのは当然の欲求だと思うよ。もちろん人によって程度の差はあるだろうけどね。」


と優しくいった。やはり春川君は思った通り優しくて聡い人間のようだ、と少し安心していた。


気が付くと私はもう電柱の数を数えるのをやめていた。春の夜風が二人の頬を優しく撫でながら通り過ぎて行く。


「ありがとう。もうここまででいいわ。ここからは明るい道だし、家もすぐ近くだから。」


私は、家からかなり離れたところでそう言った。


「そうなんだ。いいところに住んでるんだね。遅くまで付き合わせちゃってごめんね。本当はもう少し一緒にいたかったけど…さっき会った時一緒にいたのは妹さんだよね。かわいらしくて素敵な妹さんだね。妹さんにもよろしく言っておいてね。」


春川君は少し含みを持った言い方で別れを告げた。

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