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スキル資産家になって、異世界スローライフ!〜今度こそ不労所得でセミリタイアを目指す〜  作者: 星火燎原


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最終話 新たな旅立ち

 ついに始まった真のラストバトル(本当)!


 五大スキルが戻り、パーフェクトタナケンとなった俺はそこら辺に落ちていた木の棒を振り、特大の衝撃波を発生させる。空を覆い隠している黒い雲ことダークマターに向かって、衝撃波は飛んでいく。


「うおおおおお!! タナケンファイナルソード!!( `ᾥ´ )」


『そんな攻撃が通じるか! 【絶対防御】スキル発動だ!』


 ダークマターも特大の結界を作り出し、自身を守ろうとした。


 衝撃波と結界がぶつかり、凄まじい爆発音が鳴り響く。


 空から光り輝くガラスの欠片のようなものが落ちてくる。爆発が起きた部分の結界が粉々に砕け散り、落ちてきているのだ。それだけではなく、衝撃波はダークマターの一部である黒い雲を切り裂いていた。


『ば、馬鹿な!? 【絶対防御】が破られただと!?』


「まだだ! タナケンファイナルブレード! タナケンアルティメットソード! タナケンオシャンティーソード!( `ᾥ´ )」


 俺は木の棒をめちゃくちゃ振り回して衝撃波を連発する。いろいろと技名を叫んでいるが全て同じ衝撃波だ。そろそろネタ切れになりそう。


「オラオラ! タナケンフラッシュソード! タナケンバーニングナイフ! タナケンダークネス包丁!( `ᾥ´ )」


『くっ! そんなものが効くか! 暗黒物質に呑まれるがいい!』


 第六感スキルが働き、未来のビジョンが流れる。暗黒物質に呑まれる俺の姿が視えた。瞬間移動すれば避けられる。だが、俺はあえてその場に立ち止まった。


 次の瞬間、暗黒物質が周囲に発生して俺の体を呑み込んだ。


『これでおしまいだ! ……なっ!?』


 ダークマターは驚く。俺を包み込んだはずの暗黒物質が自身に跳ね返ってきたからだ。暗黒物質をくらったダークマターの黒い雲は蒸発し、青空が顔を見せる。


『ぐああああ! 跳ね返っただと!?』


「これが五大スキルの一つ、『神の絶対防御(ゴッド・アブソリュート・ディフェンス)』スキルや! 名前的にお前の【絶対防御】スキルの上位互換や! 多分!( `ᾥ´ )」


『どういうことだ!? 勇者と戦っていたときとは攻撃も防御も遥かに向上しているだと!?』


「俺もよくわからん!( `ᾥ´ )」


 そのまま衝撃波による攻撃をしつこく続け、ダークマターの黒い雲はどんどん消滅していき、青空が広かった。


 俺がパーフェクトタナケンに戻ってから僅か3分の出来事だった。ダークマターはもはや夏祭りのわたあめぐらいのサイズしか残されていない。


「これでおしまいだ! タナケンBIGソード!( `ᾥ´ )」


 俺の技名もネタ切れ寸前だった。「タナケンヘラクレス爪楊枝!」「タナケンハッピーノコギリ!」など無理しながら技名を叫んでいた。


『こんなことがあってたまるか! 我らは再びモンスターだけの世界に……! ぐわあああ!!!!』


 ついにダークマターの本体を切り裂いたようで、断末魔が上がる。わたあめサイズの黒い雲から花火のような爆発が何度も起こり、次第に爆発音が大きくなっていく。


「ハッ! シャルを守らなくては!( `ᾥ´ )」


 俺はすぐに倒れているシャルの元へ移動して、爆発から彼女を守るように覆い被さって爆発が止むのを待った……が、そこで意識が途絶えてしまった。



  ********************************


 次の瞬間、俺は真っ白な空間にいた。


 そして、お馴染みの銀髪の女性の声が聞こえてくる。「の」が多い。


 ――よくやりました、タナケン。


「俺は……確か……ダークマターと戦っていたはずじゃ(´・ω・`)」


 ――貴方はダークマターに勝ちました。


「それならよかった……じゃなくて! みんなは!?Σ(´⊙ω⊙`)」


 ――残念ながら無事ではありません。


「そ、そんな……(´;ω;`)」


 ――貴方が最初から勇者になっていればこんなことにはなりませんでした。


「俺が勇者になっていれば未来は変わっていた……?(´;ω;`)」


 ――そうです。五大スキルは本来の持ち主が使用することで真の力を発揮する。最初から貴方が戦っていればダークマターを圧勝できていたのです。


「……そういうことは最初に言ってくれよ(´;ω;`)」←割と正論


 ――タナケン、まだ世界には魔王が沢山います。これ以上、大切な人を失いたくないのなら勇者として戦うのです。


「もう戦いたくない。みんないなくなっちゃったし、不労所得でこどおじ部屋ニートしていたい(´;ω;`)」


 ――我儘を言わないのです。貴方は脇役な人生を送るのではなく、勇者として活躍するのです。


「めそめそ(´;ω;`)」


 ――そして、私の復讐を叶えてください。


「復讐?(´;ω;`)」


 しかし、銀髪の女性は答えることなく、真っ白な空間は光り輝き、眩しくて目を瞑った(´>ω<`)



  ********************************


 次の瞬間、俺の名前を呼ぶ顔が聞こえた。


「タナケン! 起きて! しっかりして!」


 アイリの声だ。俺はどうにか目を開ける。


「うぅん……ここは?( ³ω³ )」


 上半身を起こして辺りを見回す。どうやら病室のベッドの上で寝ていたようだ。


「ハッ! みんなは!?Σ(´⊙ω⊙`)」


「…………」


 アイリは無言で首を振る。


「タナケンがダークマターを倒したことで、みんなに付着していた暗黒物質は消滅したわ。でも遅かったのよ。勇者は既にHPが瀕死まで減らされていて、今も昏睡状態のまま。医者の話によれば、二度と目を覚さないって……」


「う、嘘だろ……く、クロと爺さんとウサ太郎は?」


「……手遅れだったわ。救急車が到着した頃には二人と一羽はもう息をしていなかったの」


「そ、そんな……(´;ω;`)」


「でもタナケンが生きていただけよかったわ。高レベルのスキルを連発したことで『スキル酷使病』にかかって一週間も眠っていたんだから」


 最終回になって初めて聞いたぞ、その病気。


「俺のせいだ。俺がもっと早く勇者になっていれば……みんなは……(´;ω;`)」


「自分を責めないで。ダークマターを倒したことで世界は救われたんだし……みんなだって……」


 涙ぐむアイリと号泣する俺。


 それから俺達は二時間ぐらい病室で泣き喚いた。途中、看護師さんに「アンタ達、うるさい!」と怒られて別室に移動され、ぼったくりレベルの治療費(個室代)を請求されたが、裁判で得た賠償金でどうにか払うことができた。


 ダークマターとの死闘で残した爪痕は深く、勝ったものの虚しさだけが残る結末となった。



  ********************************


 翌日、俺とアイリは近場の火葬場『こんがりジューシー火葬場』に来ていた。


 こんがりジューシー火葬場はネットレビューで「名前が不謹慎」「骨も残らなかった」などクレームだらけの星1火葬場である。しかし、ここが一番安い火葬場だったからワンチャンに賭けることにした。


「では、これよりクロ様、爺さん様、ウサ太郎様ののご遺体を焦げ炭にします。喪主のぽんたさん、アイリさん、最後に言葉をかけてあげてください」


「うぅ……ぽんたじゃなくてタナケンです(´;ω;`)」


 俺は火葬場の人に背中を押されながら、棺桶の中で眠っているクロに声をかける。


「助けてやれなくてごめんな(´;ω;`)」


「クロ……」


 俺とアイリは棺桶の中にお菓子を沢山入れる。クロの大好物だったプレミアムチョコ棒、カントリーマ⚪︎ム、チョコマシュマロなどを入れられるだけ入れまくった。天国でお腹を空かさないように。


「うぅ……もう大丈夫です。火葬をお願いします(´;ω;`)」


「あの、爺さん様とウサ太郎様には別れの言葉を言わなくて大丈夫ですか?」


「はい。二人はレギュラーキャラってわけじゃなかったので(´;ω;`)」


「それでは、ご遺体をこんがり焼かせていただきます」


 さようなら、みんな。みんなは知らないと思うが、ダークマターを討伐したことで、世間では3人とも英雄と呼ばれているんだぜ。広場に銅像も建てられたし、来年の教科書にも載るらしい。例え肉体がこんがりジューシーな焦げ炭になっても、記憶からは消えたりしないよ。


「あち! 熱い! 熱いのじゃ! めっちゃ熱いのじゃ!」


「ピギィ! ピギィー!」


「!?Σ(´;ω;`)」


 爺さんとウサ太郎の声が聞こえ、慌てて俺は火葬場の人に「まだ成仏していないみたいです! もっと火力をあげてください」とお願いした。


「トドメを刺そうとするじゃないわい!」


「ピギィー! ピギィー!」


 なんと爺さんとウサ太郎が棺桶を突き破り、出てきたのだった。


「キャアアアア!! ゾンビ!! ……きゅーん、バタッ!」


 アイリが悲鳴をあげて気絶する。


「爺さん! ウサ太郎! 生きていたのか!?(´;ω;`)」


「当たり前じゃ! まだわしにはカラオケ店の社長になるという野望が残っているのじゃ!」


「ピギィー! ピギィー!」


「ということは……クロの火葬を止めてくれ!!!(´;ω;`)」


 俺は火葬場の人に中断するように頼み、クロが入っている棺桶を開けた。


「ムシャムシャ、やっぱりカ⚪︎トリーマアムは温めて食べた方が美味しいね」


 呑気にカントリ⚪︎マアムを食べているクロがいた。ちょっと焦げている。


「く、く、クロー!!!!!(´;ω;`」


「あ、タナケンだ。ねぇ、見て、こんなにお菓子が落ちていたの。タナケンにも一個あげる」


「お前、本当に心配したんだぞ!(´;ω;`)」


 クロを抱きしめて号泣する俺。


 クロはムシャムシャと食べ続けるだけだった。



  ********************************



 その後、シャルも起きているんじゃないかと病室へ向かったが、シャルは眠ったままだった……。


 俺達は爺さんの家に集まり、今後のことと裁判の賠償金の分け方を話すことにした。


「しかし、どうして勇者だけ眠ったままなんじゃろうか……?」


「逆よ。どうしてクロ達は無事だったのかしら?」


「そうだよ。なにか心当たりないの?(´・ω・`)」


「うぅむ……お主に長文お気持ち遺言を残してからしばらく意識はあったんじゃがのぉ……急に眠気が襲ってきて、そこからは記憶がないんじゃよ」


「暗黒物質による致死量のダメージをくらって気絶した感じか(´・ω・`)」


「確かに気絶ではあったが不思議な感じじゃったんよ。なんじゃろうな、ご飯を食べすぎて睡魔が襲ってくる感覚に近い気絶だったんじゃ」


「ピギィー! ピギィー!(俺も同じ感じだったぞ!)」


「ムシャムシャ……(咀嚼音)」


 俺達が話し合っている間、クロはずっとお菓子を食べていた。


「どちらにしても不思議だわ。3人のステータスから考えてダークマターを倒す前にHPは尽きていたはずよ。回復スキルで延命していたとか、状態異常回復スキルで暗黒物質状態を解除したとかじゃない限り、説明がつかないわ」


「二人とも回復スキルとか持っていたの?(´・ω・`)」


「いいや、わしもウサ太郎も回復系スキルは持っておらん。それに暗黒物質によるダメージを相殺したり、状態異常そのものを会場できるような高度なスキルが存在するとしたら、伝説クラスのスキルということになるぞぃ」


「うーん、二人じゃないのなら……」


 俺達はお菓子を食べまくるクロを見た。


「それはないか(´・ω・`)」


「ないわね」


「うむ。食いしん坊ガールがそんな高度なスキルを持っているはずないのじゃ」


「ピギィー!(そりゃそうだ!)」


 結局、3人が無事だった原因はわからないままだった。でも俺は思う。仲間を信じる気持ちが奇跡を起こしたんだと。


「ムシャムシャ……(咀嚼音)」



  ********************************


 ――ダークマター討伐から一ヶ月後。


 俺はシャルの病室に訪れていた。あれからシャルは目を覚ますことなく、今も意識不明のまま。


 今日は旅立ちの日。その前にシャルに報告しておこうと思い、立ち寄った。シャルは眠ったままだから、俺の独り言でしかないんだけれども。


「シャル、俺しばらく勇者になろうと思う(´・ω・`)」


 俺はスキル資産家になることを諦め、勇者として旅に出ることにした。


 最上級の回復スキルならシャルを治せるかもしれない。そんな超高度な回復スキルを持っている人物を探すために旅に出るのだ。


 それにシャルが昏睡状態の今、世界を守れるのは俺しかいない。だから勇者として魔王討伐もちょくちょくやっていこうと思う。


 と言っても正式な勇者ではなく、自称勇者としてだ。今度、勇者グランプリ決定戦が行われるようだから正式な勇者はそこで決まるのだろう。


「俺、まだ自分が勇者に向いているとは思えないけど、それでもシャルが目覚めるまでは頑張ろうと思う。だからシャルも頑張ってくれ。必ず治せる人物を見つけてくるから(´;ω;`)」


 自分で言うのもアレだが、俺は割と約束を守る方である。だから、こうして宣言しておくことで、自分が勇者から逃げないように意志を固めておきたかったのだ。


 病院を出ると、旅に出る仲間達とお見送りにきた爺さん達がいた。


「お主ら、もう行くのか」


「うん。爺さん、世話になったな(´・ω・`)」


「寂しくなるのぉ……。そうじゃ、これはわしからのプレゼントじゃ」


 爺さんから一冊の本を受け取る。


「なにこれ、小説?(´・ω・`)」


「しまった、それはクリスマスまで生きたいカブトムシの小説じゃった。お主に渡すのはこっちの本じゃ」


 改めて受け取ったのは、モンスターズ 図鑑コンプリートエディションだった。


「こ、これは超高級図鑑じゃないか!(´⊙ω⊙`)」


「うむ。裁判で得た賠償金で買ったのじゃ。これがあれば便利じゃろ」


「ピギィー! ピギィー!(俺も載っているぞ!)」


「爺さん……ウサ太郎……(´;ω;`)」


 爺さんは思い出したかのように言う。


「ああ、そうじゃった。お主が言っていた銀髪の女性について調べてみたんじゃがな。大昔にモンスターに滅ぼされた王国があっての。そのお姫様が銀髪だったようなんじゃ。ま、詳しいことはわからんかったが」


「復讐がどうたらとか言っていたからそれかもしれない。一体、なんで俺を勇者にしようとするんだろうね(´・ω・`)」


「うむ。最終回になっても謎のままとはのぉ……」


「第二部に期待するしかないね(´・ω・`)」


 俺と爺さんがメタ発言をしていると、新たに仲間になった、おでんツンツン魔法使いが弱音を吐いてきた。


「うぅ……なんで私までついていかないといけないの……」


「大人しく協力しろ! 誰のおかげで牢屋から出てこれたと思っているんだ!( `ᾥ´ )」


「ふえーん! おうち帰りたい!」


 おでんツンツン魔法使いは元おでんツンツン勇者だったり、元おでんツンツン魔王補佐だった彼女である。ダークマターに吸収された彼女だったが、黒い雲を消滅させた後、地面に倒れていた。


 魔王に加担したこともあり、懲役5000兆年の有罪判決になりかけていたが、俺達が必死に裁判官や国民を説得したことで魔王討伐の旅に出ることを条件に仮釈放された。


 なんだかんだでおでんツンツン魔法使いの結界スキルは強力で、タナケンドリームPTに入れておきたかったのだ。


「ちょっと! タナケン!」


「ん? どうした、アイリ(´・ω・`)」


 アイリはタナケンドリームPTの戦闘要員として頑張ってもらう予定だ。裁判で得た賠償金で良い感じの剣を買ったから期待している。


 ついでに当PTのツンデレ担当として引き続き、頑張ってもらう。他二人はヒロイン属性ないからね( ᷄ᾥ᷅ )


「クロが我慢できなくて、お菓子食べているの! 止めるの手伝って!」


「ムシャムシャ……(咀嚼音)」


 クロはタナケンドリームPTの食糧運び要員だ。爺さんの家に置いていこうと思っていたが、爺さんとウサ太郎に食費を理由に猛反対されたので仕方なくついてくることになった。


 クロは自分の体より数倍大きなリュックサックを背負っている。これは四次元リュックというアイテム保存特化型リュックサックだ。中は特殊な空間になっていて四畳半程度のスペースがある。そこに半年分の食料を保存してあるのだが、パンパンに膨れているところを見ると、クロが勝手にお菓子を詰め込んだのだろう。


「クロ! せめて街を出るまで我慢しろ!( `ᾥ´ )」


「街ってなに?」


「…………え?( `ᾥ´ ;)」


「プレミアムチョコ棒はデリシャスだね〜、ムシャムシャ(咀嚼音)」


 俺、クロ、アイリ、おでんツンツン魔法使いの4人がタナケンドリームPTのメンバーだ。


「そんじゃ、爺さん。俺達、行くよ(´・ω・`)」


「うむ。わしもカラオケ店の社長を目指して頑張るぞぃ!」


「ピギィー! ピギィー!(あばよ!)」


 爺さんとウサ太郎に見送られて、俺達は旅に出る。


「よし、みんな行くぞ!(´・ω・`)」


「ムシャムシャ……(咀嚼音)」


「べ、別にアンタのためじゃないんだからねっ!」


「おうち帰りたい!」


 こうして俺達は気持ちを一つにして、新たな一歩を踏み出すのであった。


 この4人で魔王を討伐し、必ずシャルを治せる人物を見つけてみせる! 俺達の戦いはこれからだ!



  ********************************


 ――2時間後。


「おなかすいた」


「全部食べちゃったの!?Σ(´⊙ω⊙`)」



 第二部『無限金欠編』(仮)へ続く!

〜作者より〜


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


エイプリルフール企画として書き始めた作品でしたが、まさかの23万文字前後という長編になり、自分もビックリしています!


しばらくはシリアス恋愛小説書きに戻るつもりですが、続きの構想はあるので、どこかのタイミングで第二部を書きます!( • ̀ω ⁃᷄)✧

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