2 Season 1 運命に導かれて~
「痛てぇ~何すんだよ!!」
紗彩のビンタにビックリする光。
何故ビンタされたのか理解が出来なかったが、テレビの野球中継が大変な盛り上がりをしているのが理解するよりも早く目に入ってきた。
「ひかるが寝ちゃってる間に最終回まで来たんだよ!!応援しないで負けちゃったらどうするのよ!!」
紗彩は約四半世紀ぶりの千葉代表が優勝するのを待ち遠しく、今か今かと心ときめいている。
そんな事は他所に、盛り上がりは凄いけどイマイチ理解出来ていない光だ。
彼の名前は横芝光ポジション キャッチャー??? 学力皆無× 主人公
蓮沼ヶ丘中学で野球部に所属した男の子。
The野球少年の見た目をしており、このチームでは1番打者で正捕手をしている。
入学当初は投手を目指していたが”とある理由”で捕手を始めてから取って投げて打つ!が一番出来るのが捕手だと言う事に気づきそれから捕手を務めている。
田舎の学校の為、3学年で12人しかおらず半分は未経験者。試合もやっとこさ出来るかどうかの学校でしかも顧問も元水泳部出身と未経験だった。当然試合など勝てる訳ないチームだったので本人達は、田舎と言う事もあり”エリート”と言われる野球など見た事も無い。
そもそも打って投げて守るを楽しく出来てる事に満足までしている状況だった。
そのようなチーム事象も重なり、光にとっては甲子園も球場は知っているが、どれだけ凄いのかなんて一切わからない少年だ。
野球自体も紗彩が誘ってくれて始めたのがきっかけで、紗彩がいないとルールすら怪しいのだ。
稲毛紗彩とは幼馴染で、両方の母親が学生時代のソフトボール部で大親友だった。
卒業後お互い地元の企業に就職し結婚して現在に至るので、今でも月に1~2回BBQをやるような大の仲良しな事もあり、幼いころから紗彩といるのは家族といるのとなんら変わらないの関係である。
「そうなのか…でもまだ夏だろ?春にも甲子園あるし、春頑張ればいいじゃん」
「そんなビンタされる事でも無くね?」
「はぁ~もういいや」
「とりあえずあとアウト1つだから優勝一緒に応援するよ!」
そう諦めた様子の紗彩だったが光を見ると、急に見た事の無い目つきでテレビを見始めた。
数秒ほど時刻が過ぎ、テレビ越しに主審の「プレイ!」と合図が映ったと共に真剣な顔をしたひかるが紗彩に問いかける。
「紗彩は何か感じない?」
2分前まで寝てた人間がこうも目の色変えるかと不思議だったが、何を言いたいのかはわからなかった。その為
「別に感じないよ?むしろ、総学の浦安さんが6回から登板して0失点に抑えてるから凄いなって思ってるかな」
そう返答すると
「そっか…紗彩は全部見てたんだよね?」
「うん見てたよ!エースの浦安さん凄いんだよ。ここまで5回を3安打に抑えててね。きっとこの朝来選手抑えて優勝出来ると思う。それにタイムがかかる前に解説の人が言ってたけど、朝来選手この大会2本しかヒット打ってないんだって」
「だから優勝決まったようなもんだよね!」
「う~ん…」
光の中で何かの点と点が一致しないような返事を返した。