旅路、Traveller
僕はまた孤独になった。
何がダメなんだろう。
夏休みももう終わる。僕は厨二病君に会えていない。会いたい。初めてできた「本当の友達」だから。
僕「厨二病君、どうしてるかなぁ。」
ピンポン
玄関のチャイムが鳴る。お母さんがでかけてたから、僕が出た。
そこには青い半袖に黒い短パンに眼鏡をかけ、チャリの籠に文字入りのリュックサックを入れた少年が立っていた。
眼鏡の子「よお!吾輩の白馬の後ろに乗れ!さぁ、最後の旅に出かけよう!!!!」
僕「え、なんで…うわ!!」
強引に後ろに乗せられた。
その声としゃべり方
僕「厨二病君、なの、?」
厨二病「もちろんだ!今吾輩はベルゼブブから逃げている、この白馬にまたがってな。とにかく、遠くまで逃げるぞ!!」
僕「うん!よくわからないけど!」
僕たちは白馬(自転車)にまたがってあぜ道を駆け抜ける。
まるで本当に馬に乗っている気分だ。
校区を抜け、村を抜け、街を抜け、気づけば隣町まで来ていた。
僕「どこまで行くの?」
厨二病「吾輩のオアシスだ!盟友のお前に見せたいんだ、最後の旅だから」
2時間くらい漕いだだろうか。隣町の山まで来ていた。
山を30分かけて上る。あたりは薄暗くなっていた。
厨二病「ついたぞ!」
僕「……!!!」
そこに広がる光景は、夕焼けに照らされて朱く染まる街並み。車や家が小さく見える。僕たちが世界の一番上にいるみたいだ。
厨二病「こういう時、本当は最初に行った裏山に行くべきなんだろうが、あいにく今は難しい。すまない」
僕「そんなことどうでもいい!なんで僕の前から消えたの!?君は僕の初めての友達だったんだ!」
厨二病「吾輩には…使命があったのだ…」
僕「ふざけないでよ!!僕がどんな思いで夏休みを過ごしたか…!厨二病君のバk」
厨二病「俺だって辛ぇよ!!!」
今まで聞いたことのない、荒い声だった。
厨二病「ごめん、俺もお前と遊びたかった。でももう無理なんだ!俺は夏休みを開けてすぐに引っ越す。これが最後の旅だ。最後にお前と、この景色を見たかった。」
僕「傲慢だよ…ちゃんと説明してよ…」
厨二病「わかってる。ケジメはつけないとな。」