過去、My Justice
僕は友達がいない。
正確にはいなくなった。
もっと言えば、失くした。
小学5年生の、確かその日も夏休みの前だったな。
僕「ねぇボッチ君、何読んでるの?」
ボッチ「あ、えと、本……ファンタジー物」
僕にはボッチ君という友達がいた。僕らは教室の隅っこで他愛もない会話を楽しんでいるだけだった。ボッチ君は人見知りだけど、好きな本については詳しく話してくれた。
僕「へぇ、面白そう、見せてよ!」
ボッチ「わ、笑わ…ない…?」
僕「もちろん!」
僕「お、かわいい女の子だね!」
ボッチ「そうなんだ…この子が主人公でね…」
それはいわゆるライトノベル。普通に考えればただの美少女が表紙に描かれた一般的なラノベ、しかし、それが小学生からするとどうなるだろうか?
陽キャ「おいwボッチがエロ本持ってるぞwwwwww」
一軍女子「ええやだぁwwキモイwwww」
取り巻き達「「「ギャハハハハハハハwwwwwwww」」」
ボッチ「これは、その、ラノベって言って、中学生が読むもので…」
陽キャ「えw自慢ですかwお兄ちゃん言ってたよwそういうのオタクっていうんだよwwwww」
周囲「オっタっクwオっタっクwwギャハハ」
そう、ラノベなんてものは小学生にとっては大人な本。しかもクラスで根暗な生徒が持っていれば嘲笑の的になる。ボッチ君は運が悪かった。
僕「や、やめなよ!!ボッチ君が違うって言ってんじゃん、人の趣味を笑うなんてひどいよ!」
一軍女子「は?知らねぇよwwアニメとか漫画とかきもーいwwwwww」
僕「人の好き嫌いに口出すなんて最低だよ、ボッチ君は君たちに何かしたのかい?」
陽キャ「なんでお前がいきってんの?うぜぇ、おい、こいつ泣かしてやろうぜ」
周囲「「「うぇぇぇいwwwwwwww」」」
そこから僕に対するいじめが始まった。幸い夏休みまでの数週間で済んだが、暴言を吐かれたり無視をされたり、暴力を受けたりした。
でも一番辛かったのは、ボッチ君にも無視をされたことだ。
僕は間違ってない、僕は正しいことを言っている。そう言い聞かすと強くなれた。ボッチ君は僕をかばうといじめられちゃう。それを避けたかったんだよね。僕はこんなことでは負けない。友達はもうこれ以上失くさない。いつか僕の正義を受け入れ、逆に僕は受け入れてあげる。そんな関係性が欲しい。