第9話 巡り合わせと図書室と
今、俺は図書室という俺が最もかかわらないでろう教室にいる。なぜ、こんなところに?それは簡単だ。来週から始まるテストのために聖人に勉強を教えてもらうために決まっている。
しかし、メンバーは2人ではなく4人ということになっている。
「いやぁ〜。こんな偶然みたいなことがあるんだね」
そう、聖人は少し驚いたような感じで話していた。
俺はというと、ついこないだまで女子としゃべったことなどなかったのだ。こんな展開になるなど想像すらしていなかった。
「ホントだね。まさか、中島君と美崎君がいるなんてね」
っと、篠本が話している。
(篠本ってこういう声なんだ。)
俺は篠本と話したことはなかったため、声などは知らないのであった。
「っていうか、篠本さん。俺のこと中島じゃなくて聖人って読んでくれていいよ。あんまり、かたっ苦しいのは好きじゃないんだ」
聖人はいつもの調子でそういっている。実際、聖人を名字で呼ぶやつは少ない。
「そぉ?じゃ、聖人君って呼ばしてもらう。あたしのことも美琴って呼んで」
「了解」
俺はそんな二人のやりとりを見ている。そして、チラッと時計を見た。んで、また前を見てみると浦城と視線があった。
2人は一瞬で視線をそらす。こういうとき俺はどういう風に接していいのかわからない。こんなことはしょっちゅうあるのだ。
「アウラは美琴ちゃんと初対面だろ。何か話せよ」
(って、おいおい。急にふられても心の準備が・・・。)
「どうも」
やはり、こんな回答しかできないわけで、俺はそんなに器用じゃねぇんだよ。聖人。
「ごめん。美琴ちゃん。こいつ、人見知り激しくて」
(初めてでそんなに話せるかよ。)
俺は当然のように無理だった。そして、俺は再び時間を見る。もう、2人に会ってから20分はたっているのであった。
「初対面だししょうがないよ。こちらこそよろしく。美崎君」
(おぉ。なんて優しんだ。ま、優しいけど俺とこの人との関係は今日限りだろうけどな。)
「ねぇ。美琴と中島君。テスト勉強しないの?」
ちょっと、ムッとした顔で浦城が言った。
(そうだな。万能女。俺もちょうどそう、思っていたところだ。)
「悪い浦城さん。じゃ、始めようか。2人は何の勉強をしにここに来たの?」
聖人は2人を見ながらそう尋ねた。2人は同時に答えたのであった。
「古文かな」「英語よ」
(うわ〜。この2人見事にかみ合ってないな。篠本が古文で浦城が英語か)
「なるほど、バラバラの教科か。2人はどうやって勉強しようとしていたの?」
相変わらず、スムーズな流れで聖人は2人と会話している。俺はというと完全に観客の気分だ。
「分かる方がわかない方を教えるに決まってるじゃない」
そして、相変わらずなやつがもう1人。浦城は高圧的なしゃべり方をする。しかし、聖人は見事な返しですらりとかわす。
「そうだな。そういうやり方になるな」
「じゃ〜2人の勉強も俺がみようか?」
(聖人は面倒見もいいな。俺はかかわりたくもないし、のちのち、めんどくさそうだ。)
「いっちゃ、悪いんだけど中島君って、頭いいの?これでも私、学年で20番にはいつも入っているんだけど」
(よく、ここまで攻撃的な性格になるもんだ。むしろ、こっちの攻撃的な性格が本来の姿か)
「そうだな。クラスでは1位だし。学年では一桁台かな」
聖人はやんわりとそう答えた。俺はすぐさま浦城の方を見たが尊敬のまなざしに変わっていた。素直なところもしっかりと存在しているようだ。
「すごいね。聖人君。学年で一桁かぁ〜。私はとったことないなぁ〜。」
篠本も感心した風で話していた。
「美琴。何、言ってんのよ?あんただって学年で10番台なんだからあと少しで一桁じゃない」
(えっ。篠本も頭いいのか。この2人頭もよくて顔もいい。すばらしいな。)
そして、俺は視線を感じる方に顔をあげた。間違いない浦城が俺を見ている。何か言いたそうな顔で。
「ねぇ。美崎君は何番なの?」
(やはり、その質問がきたか。ま、流れ的に来るとは思っていた。)
「学年で70番台だよ」
浦城は軽くバカにしたような感じの顔になり、こう、言った。
「学年で70番台ねぇ〜」
(こいつ完全に見下したな。見下されようが関係ないのだが。さすがに多少はイラっとくる)
「お前だって、前の日まで遊んだり、漫画を読んだりしなきゃ、もっと成績いいだろ。」
聖人はそう言ったが俺はそこには全く賛成できない。テスト前は勉強しない方が楽。
「ん?だって、めんどくさいだろ。勉強するの。」
「えっ。美崎君ってテスト勉強してないの?」
っと、驚いたように篠本が言ってきた。
(そんな、驚かれてもやりたくないものはやりたくないし。)
「あぁ。してない」
俺は無愛想にそう答えた。
「じゃ、今日は何で勉強なんてしてるのよ。」
(なんで、こいつは怒ったような声で言ってくるんだ?)
「あえていうなら、気が向いたからだな」
3人ともため息をした。
(みんなため息って。こいつらさっきから何なんだ?)
「アウラももっと勉強すればリアルに学年1位とか狙えるんじゃないのか」
「別に学年1位とか興味ないし。赤点さえとらなければいい」
俺はそう言い終わり、時計を見ると下校時刻の時間になっていた。
「そろそろ。帰ろうぜ」
俺はそうみんなに提案した。すると聖人がみんなにさらに提案する。
「明日も勉強会らないか?」
「賛成。」「そうね。」「・・・。」
「アウラ?」
「あぁ。」
篠本は元気よく賛成の声を上げた。浦城はしぶしぶ参加する様子。俺はというと、全く参加したくはなかったが空気を読んで参加を表明した。
ついに第9話まできましたね!!!
今後、アウラ君どうなるのでしょう?
でも、そんな私の作品を読んでくれてる皆さんいつもありがとうございます。
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