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第二章 第六十一幕 合流

 野営を終え、朝起きた俺は混乱した。葵衣ら三人が居ないのだ。思案していたところ、オルルーン、豊受気媛が現れ、光明を与えてくれた。




 豊受気媛の計らいで、葵衣たち三人の行く先に連れて行ってもらった。まもなく、三人が来るだろう。



 さて、どう挨拶したらよいのか。何を話せばよいのか。残り時間が少なくなるにつれ焦りが募る。


「あれ、茂玄さん? それに豊受気媛様も」

 葵衣が俺たちを見つけ声をかけてくれた。

「えっと、やぁ。朝起きたら誰も居なくてね」

 言葉を濁す。


「兄様ごめんなさい。あたしが先走ったのが悪いのです」

 朱莉が謝りはじめた。

「まぁあんたが、だらしないのが一番悪いと思うけど」

 蓉子にいつもの口調で言われる。


「三人で、勘助の所に行くんだよな? 蓉子は降りると言っていたじゃないか」

「幼い子一人、行かせるわけにはいかないでしょ!」

「茂玄さん、ごめんなさい。私も一人だとしても行くつもりでいたのだけど。朱莉ちゃんも蓉子さんも同じ考えだったみたいで」

 ちょっと、考え笑ってごまかす。



「いやー、俺も安く見られたもんだ。もちろん、俺も行くつもりだったよ」

「あんたの、そのお花畑が邪魔だって言ったでしょ?」

「そんな事、言ってもいいのかな? 蓉子。俺はオタク。ロキと対等に渡り合える情報を持っているんだぜ」

 蓉子に強く言い返した。いつも押されっぱなしの俺としては反撃のチャンスでもある。


「茂玄さん、凄いです! なんで早く言ってくれなかったんですか?」

「え、まぁみんなが疲れているようだから、朝になったら話そうかなと……」

 蓉子には怪しい目で見られた。やはり蓉子には勝てないらしい。


「兄様、黙って出て行ったことはごめんなさい。もし、その方法があったら教えて欲しいです」

 朱莉の謝罪には少し胸を痛めるが、対等に戦えるのだから、それは帳消しだ。


「俺も戦いに参加させてもらう。それが条件だ」

 三人は首を縦に振り、同意をしてくれた。



 オルルーンからの情報ではあるが、今は俺の情報だ。

「ロキは火を司る神なんだ。北欧神話の伝説ではラグナロクの時にヘイムダルという神がロキを倒したんだ。ヘイムダルという神は水の神。つまり、水が効果的なんだ」


「へー。ではなんで、あいつと戦った時、私の水の精霊が効かなかったの?」

 痛い所を突かれた。答えに困窮する。


「蓉子さん、あの時はロキではなく、死体に撃っていませんでしたか? 勘助には朱莉ちゃんの雷獣を刀で打ち払って記憶があるのですが」


「そ、そうだよ。諏訪湖で不如帰(ほととぎす)を浄化してもらう。そして、手長・足長の本体は諏訪湖に鎮座しているんだろ? 朱莉には申し訳ないけど、これなら互角に戦えると思う」

「じゃあ、わたしと茂玄で露払いをして、朱莉がロキを弱らせる。最後は葵衣が仕留める。と言った感じかしら? わたしはそれでもいいけど、朱莉と葵衣には危険な任務。それでもいいの?」

「朱莉ちゃんは大丈夫? 大丈夫なら、私はやりとげる」

「あたしにとって、諏訪湖は依り代の様な物。やり遂げて見せます」


 こうして、俺たちは道鬼を名乗る山本勘助。その正体ロキを倒すべく準備のため、諏訪湖に向かった。時にして七月十日。武田軍は信濃国境近くに布陣しているらしい。ロキとの決戦は月が輝く十五日になるだろう。双方の魔力が最大となるときに。


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