第二章 第五十一幕 絶え間ない襲撃
船旅を続けていた俺たち。目的地は出羽であったが、直江津近くで海の化け物「アヤカシ」。そして幽霊船を思い起こす武装船団に襲われた。
なすすべもなく船員と共に船を棄て、直江津に上陸した。
昨日までのアヤカシから出る油を海に棄てる作業、今日の遠泳で体力を使い果たした俺たちは、屋根の有る民家で夜を明かさせてもらうことにした。
町の騒がしさで目を覚ました。まだ、周りは暗い。
葵衣たちも臨戦態勢になっていた。逃げ支度をしていた家主に話しを聞くと、この村に夜襲が来たという。
何人かが領主の所に助けを求めにいっているらしいが、軍を連れて戻ったときには灰燼に帰しているだろう。俺たちは敵が攻め入ってきた南側に走り迎え撃つ。
勇ましい若手の男たちは、銛や手製の槍などを構え牽制をしてはいるが、効果は無いようだ。後ろ向きに逃げ出さないだけ大したもので、逃げているに違いは無かった。
男たちと侍の間に入り、武器を構える俺たち。この臭さ、この感覚。山本勘助の後ろに控えていた動く屍と同じだった。
「勘助が近くに?」
俺は探すが見当たらない。朱莉は四ツ目入道を使うが近くには見当たらないらしい。
襲来した屍は六体。葵衣と蓉子が応戦していて朱莉の答えが出る前に屍は動かなくなっていた。
しかし、戦闘が終わると同時に次の隊が現れてきた。何隊かを倒しても収まる気配が無い。
「まったく、きりが無いわね」
蓉子の苛立ちを感じる。
「危険な賭けだが、敵の本陣に切り込まないか?」
このままでは埒が明かない事は確かだ。しかし、本陣には山本勘助が居る可能性が高い。こちらから切り込んでいって、疲労がたまっている状態で相手になるか――。
薙刀を振るう葵衣に対し、提案をしてしまった。戦闘には集中力が必要なのに。
「そうするしかないでしょうね」
最後の一体を倒した葵衣が応える。
交代で戦闘と休憩を繰り返し、戦線を押し返す俺たち。
何日くらい戦い続けたのであろうか。空を見上げると月は笑って見降ろしているようだ。
「十日か――」
確か直江津についたのは二月一日。これだけの連戦は初めてだった。
「何かが気にかかるのよね・・・」
葵衣が呟いていたようだが、きっと疲労のせいだろう。仲間が戦っている最中に寝るのは気分的には難しいはずなのだが、疲れが優先されて意識を失わせる。
翌日、鬨の声と「人」の気合が聞こえてきた。山の上から聞こえている。北信濃の名将村上義清の本拠地、葛尾城との事。加勢すべく山を駆け敵陣に躍り込む。




