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第十六章 第三十九幕 四凶と四罪 (其一)

「四罪と四凶についてです」

 先生は改めて整理した内容を語る。


 四罪は、尭帝に逆らい討たれた者たち。

 尭帝の息子、丹朱(たんしゅ)。尭帝が瞬帝を後継者に指名したため、反逆を企てたが失敗した。

 丹朱に手を貸した三苗人の一人、論戚誼(ろんせきぎ)。水の上を歩く人型と思われる。

 度々洪水を起し住民を苦しめた、龔工(きょうこう)

 治水工事を任されたが出鱈目な工事を行った、(こん)


 四凶は瞬帝に追放された者たち。そして饕餮、渾沌、窮奇の子孫が三苗人だという。


「先生。四罪は尭帝の息子と、三苗人の一人ですよね? でも、尭帝の次の瞬帝に西方に流された窮奇(きゅうき)の子孫が三苗人というのが不思議なんですけど……」

 朱莉の質問は、つまり順番が入り乱れているのでは? という事だ。神話に真実を求めるのは無粋ではあるが、時系列が逆というのも珍しい。



「これは私の推測の域を出ませんが、以下の様に推測しています」

 まず中華思想によって、中心以外は文明の遅れた国や人種がいる。それが北狄(ほくてき)南蛮(なんばん)西戎(せいじゅう)東夷(とうい)と呼ばれている。これは以前葵衣に教えて貰っていた。

 四罪は誅されたが、それは各周辺国の長であったのではないか。尭の息子丹朱は、南に逃れて讙頭人に担がれた。論戚誼(ろんせきぎ)は西戎(せいじゅう)の長。つまり南西から瞬帝に対して戦を仕掛けたが、破れて棟梁であった二人は殺された。

 龔工(きょうこう)は実在ではなく、自然現象。北方の遊牧異民族を指していた。

 そして(こん)。彼の子『()』が東に逃れた。そして東夷を率いて()王朝を建てた。そして中国の歴史が始まった。


「つまりは、元々居た三苗人は異民族。そして四凶は西に流され、彼らに同化したと?」


「そんな所でしょう。他に、この様な説も残っております」

 伏犠や神農の後で、尭瞬の前の戦。涿鹿の戦い(たくろくのたたかい)で軒轅が

蚩尤(しゆう)を破った。その時蚩尤(しゆう)に従った九部族の内三部族を三苗と呼んでいる。窮奇(きゅうき)たちが三苗人の先祖というのは、西戎せいじゅう内にできた一部族であって、尭帝や瞬帝に出てくる三苗人と直接の関係はない。


「えっと。後の大陸の国々では、西方に位置する部族を苗人と一括りに名付けていたという事でしょうか?」

「葵衣さんの仰る通りです」

 古代の中国神話。確かに時系列的な不可解の事は多いが、異民族をいっしょくたに考えていれば納得はできる。

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