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第二章 第十一幕 戦までのカウントダウン
武田方の水の手を断つ作戦は成功した。
妨害に動き出した俺たちだが、山本勘助の気迫に負けた。
一応退けたとは言え、初めての生身の人間との戦いで死を目の当たりにした。
俺たちは、警戒は怠らず目下の志賀城を眺めるしかなかった。
志賀城には、城主笠原様との縁戚がある、関東管領上杉家配下の菅原城主高田様三百人が援軍に入っている。
水の手が無い以上、人数が多い方が状況の悪化はスピードを増す。
《家族は無事だろうか――》。
女神から貰った袋からは無限の水が出る。境遇の違いに罪悪感を感じる。
三日目に、ふとした事に気が付く。
馬が明らかに減っている。武士にとって馬は戦車であり、農民にとっては農業の相棒であり、子どもにとっては遊び相手だ。
頭に不安がよぎる。葵衣に話を聞くと、水の手が無い今、馬の血液が水の代わりになる。肉は食料に……。
バツが悪い。地獄絵図を想像する。馬がいなくなったら次はどうなるのか……。
四日目、城から歓声が上がった。
何事かと思い、四方を見渡すと東の山から一筋の煙が昇っている。
狼煙だ。関東管領からの援軍の知らせだろう。
一月前の俺たちと同じように、斥候は各地に出ている。
我慢の期限が決まった今、人が活気づくのは目に見えている。俺も素直に喜んでいた。
あと、何日で到着するのか。




