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8 初めての勉強会

昨日も沢山のブクマ、評価ありがとうございました!



着々と下校時間が迫ってくる中、俺は嶋崎さんから苦手教科の数学を教えてもらっていた。


「そうです。そこをそうすれば、解が出ますよ」


「お……なるほど……」


やっぱり勉強ができる人から教えてもらうと応用問題でも、スラッと解くことができる。


勉強の習得の最終地点は人に教えられるようになったらと言われているが、やはりそうらしい。


そう考えると俺はまだまだ嶋崎さんには遠く及ばない。


「やっぱり、勉強できる人は教え方も上手ですね。最初見たときは解けるか不安でしたけど、嶋崎さんのおかげで楽に解くことができました」


「そうですか、それはよかったです。小鳥遊くんも地頭がいいので理解が早いです。私もノンストレスで教えられてとても楽しいです」


「ノンストレスって……ほかに教えたりするんですか?」


「あ、はい……クラスの女子からたまに聞かれますね……その子は中々理解してくれなかったので私ももどかしい気持ちになりました」


どうやら、嶋崎さんは聞かれれば素直に教えてあげるらしい。普段、あんなに鋭い目をして冷淡なのに、やっぱり根は優しい子だ。


「でも、クラスの女子が私に聞いてきて、理解してお礼を言われるととても嬉しい気持ちになります」


そう言ってニコッと笑う嶋崎さん。あまり地雷を踏みたくないから、言わないが普段からこの笑顔を見せたればいいのに………


真正面に座り、笑顔を見せる彼女を見てそんな風に思ってしまった。



「じゃあ、あとは暗記教科で作業ゲーなんでちゃちゃっとやっちゃいます」


「そうですか……では、私は紅茶を………」


「あ、そうだ。その紅茶とっても美味しかったです。なんだか愛情を感じました」


「ご、ごほっ………あ、愛情ですか!?」


彼女が紅茶を飲むタイミングで話しかけてしまったので彼女がむせてしまった。


「はい、愛情です」


再度そう言うと、彼女は顔を赤くして、


「まあ、愛情は込めました……」


と言う。

そうだよな、やっぱり料理や飲み物って愛情……すなわち気持ちを込めることで何倍も美味しく感じるよな。相手が一生懸命作ってくれたものはやっぱり何も言わなくてもそれが伝わる。

嶋崎さんの紅茶……とても美味しかったからきっと丹精込めて淹れてくれたんだなぁ……


味わって飲めばよかった……


少し後悔した。


「料理って愛情を込めると何倍も美味しくなりますよね」


「そうですね。愛情は大切だと思います」


「嶋崎さんは愛情……気持ちを料理に込めるのが上手なんですね。」


「そうですかね……あまり自覚はありませんが……」


「愛情を感じました」


「じゃ、じゃあ、きっとうまいんですね!!」


少し頰を赤らめ、彼女は言う。料理のことを褒められてよほど嬉しいんだなこれは、そうだ。きっとそうに違いない。


そんな会話をした後、俺は歴史を取り組んだ。俺の得意教科の一つである。暗記は得意でテキトーにやっていてもなんか覚えられる。問題は数学なんだ……


しかし、嶋崎さんがいてくれたおかげで、この問題もなんとかなりそうである。


そんなことを思っていると、完全下校を報せるチャイムが校内に鳴り響いた。


それを聞いた嶋崎さんは、立ち上がって片付けを始める。俺も勉強道具やら色々片付け終わりリュックを背負うと、近くにいた嶋崎さんが少し顔を赤くしながら、こちらに視線を向けている。


「あ、あの……どうしましたか?」


「実は、この後本屋さんに行こうと思っていて………よかったら……一緒に………」


次第に小さくなっていく声音。最後の部分はほとんど聞き取れなかったが、俺には何を言いたいかわかった。


「はい、よかったら俺も本屋に行ってもいいですか?」


そう言うと、彼女は笑顔を見せて「はい!」と言う。

本屋に行く目的は何かわからないが俺も丁度参考書を買おうと思っていたから丁度よかった。


一緒に、図書室から出ようと思ったその時、


「なぎぃ〜〜〜〜」


廊下から一番聞きたくない声が聞こえて来た。

え?ウソだろ?救助に行ったんじゃないのかよ?

そう思っていると、激しくドアが開き、


「見ろ!凪!巨乳ナースを救出してきたぞ!!!どうだ?羨ましいだろ!?」


やばい……なんて物を……


こんなの嶋崎さんが見たら、


「学校にこんな卑猥な物を………貴方とても気持ち悪いですっ!!」


「ひぇぇぇ!???」


ほら、言わんこっちゃない!


「しかもこんなに笑顔なんて………それでも貴方は紳士ですか!?ホントに人間性を疑ってしまいます」


「やっぱり、辛辣ぅ〜〜!!」


そう言うと海知くんは、またまた石化してしまった。

だけど、今回ばかりは俺も紹介した責任があるのでその場に放置はできなかった。


「あの……嶋崎さん。俺、この化石を家まで送っていきます」


「そ、そうですか……」


いきなりしょんぼりする嶋崎さん。やはり本屋に行きたかったのか?


「あ、あの……嶋崎さんさえよければ明日行きませんか?」


俺がそう言うと、曇っていた空が一瞬で晴れるかのように、彼女は笑顔になり「はい、わかりました。一緒に行きましょう!」と言う。やっぱり本が好きなんだな……

だけど、なんで俺と一緒に行くことに執着するのだろうか………


ああ、きっと嶋崎さんは新しい本を俺に紹介する気なんだ。きっとそうに違いない。


明日どんな本を紹介させるかとても楽しみだな。


「では、また明日ですね。楽しみにしてます」


彼女はそう言うと、先に図書室から出て行った。


俺も明日が楽しみだ。


だから、今日は化石の配達を頑張ろう!!



ブクマ、評価、ぜひよろしくお願いします!

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