6 放課後はやっぱり図書室
すみません。やっと投稿できました。
朝起きたことを、俺は出来るだけ考えないようにしていた。頭に残っているのは、あの夕日に照らさせてとても可愛いかった嶋崎さんだけ。
今朝ちょっと機嫌が悪かったのは、海知の態度が悪かったからだ。あんな言葉かけられたら口説いていると思われても無理ないよな。
本人は、本音10割、機嫌とり10割の割合で言ったと言っていたし。(思わず20割使うほどビビってた)
結局どちらの意味でも本音だったと言うことだ。
あれから海知くんは時間をかけて石化から元に戻っていった。
なんか、化石の復元に立ち会った感じで新鮮だった。
起きたらすぐに「ここはドコ?私はダレ?」と言い始めたので、どうやら頭は正常らしい。
放置でいいかと思っていたのだが、放課後になっても治らないため特効薬を使ってやることにした。
「今日の朝、公園の隅に同人誌落ちてたぞ?」
「な、なに?本当か?」
「ああ、Hカップナースのやつだ」
「救出にいかねばな!」
どうやら元に戻ったらしい。男なんて所詮こんなものだ。道端に少しHなものが置いてあった場合、何もしないで素通りする奴なんていない。
よくてチラ見くらいだ。ガッツリ見る奴はガッツリ見る。
まあ、俺はしっかりチラ見だけで済ませたが………
と言うわけで、海知くんは謎の特効薬で一気に回復した。革命が起こりそうである。
さて、問題を一つ片付けた俺は、早速図書室に向かった。海知の世話をしていたため少し時間が経っている。
嶋崎さん怒ってないといいのだが………
図書室の前に来て、ドアを掴もうとしていると、何故か緊張している自分がいることに気付く。
落ち着け、嶋崎さんは優しい。普段はアレだけど、あれは演技なんだ。
そうやって言い聞かせていると、ガラガラガラと図書室のドアが開いた。
「嶋崎さん……」
ドアを開けたのは、嶋崎さんであった。
「よかったです……来てくれて……もう今日は来てくれないんじゃないかと思いました………」
「すみません………少し、問題が発生して鎮圧に向かってました」
「そうなんですね。それはお疲れ様です。さあさあ、どうぞ?今日もクッキー作ってきましたから!」
俺の言葉を聞いた後、嶋崎さんはホッとして安堵の表情を見せた。そして、俺を図書室に招き入れる。
「それに、してもよく俺がいるってわかりましたね?」
「いえ、たまたま偶然ドアの方を見ていたら、人影が写ったものでもしかしてって……」
「なるほど、それでか。」
「いきなり開けてしまって申し訳ありません」
「いえいえ、遅れたのは俺ですし、こちらこそすみません」
「遅れなんて気にしてませんよ……朝の態度で嫌われたかと思って少し心配してました」
「まあ、もう慣れましたね。俺はこっちの嶋崎さんが素だと信じてるので大丈夫です」
そう言うと、彼女は急に俯き出した。図書室に夕日が差し込み彼女を照らす。そのせいかわからないが、彼女の耳がいつもよりも赤くなっている気がした。
嶋崎さんが話さないので俺もどうしたらいいかわからなく数秒間、図書室には静寂が訪れた。
変わらず、嶋崎さんは俯いているので、
「大丈夫ですか?」
と声をかけると、
「な、なにも問題ないです。目にゴミが入ってました」
と直って言った。その頰は何故か紅い。
「い、今、紅茶を淹れるのでかけて待ってて下さい」
彼女は少し慌てた様子で、アルコールランプとコップを取りに行って、さっそくお湯を沸かし始めた。
「あの、昨日のことなんですけど……」
俺は彼女に勉強を教わろうと思っていたのだ。だからそのことを口にすると、
「あ、も、もちろん。勉強しましょう!ですが………」
「どうしたんですか?」
「勉強の前に、あの本たちを片付けないと……」
彼女の視線の先には山積みの本たちがあった。
「あれを元の場所に戻すんですか?」
「はい、図書委員の仕事なので……」
「でも、一人でやるんですか?」
図書委員は当番制でひとクラスに二人ずつなることが決まっている。それなのに、何故一人で………
「私のクラスは、人数が少ないので図書委員は毎回一人になってしまうんですよ………大変な仕事なのでみんなやりたくないのかもしれません……」
確かに図書委員は大変な仕事だ。昼休みに駆り出され、図書当番をやらされたり、本のオススメコーナー、ポップ作りなど地味な上に仕事量が多い。
人気がないのも頷ける。
だが、
「それを文句ひとつ言わずにやる嶋崎さんってすごいですね」
「へ、へぇ!?」
「俺は図書委員会はそんなに詳しくないですけど、大変なことはわかります。だからこそ、一人で文句ひとつ言わずにやる嶋崎さんはすごいです。カッコいいです。尊敬します」
「も、もう……そのへんでっ……べ、別に大したことありませんから………」
彼女は、俺が言うと、カタコトになりながらも謙遜だと言い張る。そんなことはないはずだ。俺はそう思う。
「もしよかったら、図書室の仕事手伝わせて下さい」
「え?」
「俺は、少しでも嶋崎さんに楽してほしいです」
これは本心だった。こんな量をやってるんだ。たまに楽する権利だってあるだろう。
「で、でもっ………」
「困ってる時こそお互い様です。俺だって勉強教えてもらうんですからこれくらいのことは」
「いや、でも……」
「嶋崎さんの力になりたいですっ!」
「っ……わ、わかりました。よろしくお願いします」
ようやく彼女が了承してくれた。こういう作業は、人が多いに越したことはない。
ちゃっちゃと済ませて、早く勉強を教えてもらおう。
そう思って、紅茶ができる前に俺はさっさと本を片付け始めた。たまに彼女の方を見ると、夕日に照らされて彼女の頰は赤く染まってとても綺麗で率直に可愛いと思った。
これから徐々にペースを上げていきますのでよろしくお願いします!
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