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41 ご褒美ください



あれから一週間ほどが経過した。

その間も俺たちは変わらず、放課後、図書室で図書委員の仕事をして、プールに向かうという毎日のルーティンを繰り返す。


その間本当に充実してたと思う。


未来さんは、始めの頃と比べると、比べ物にならないくらい泳ぎが上達していた。

調子がいい日にはあとほんの少しで五十メートル泳ぎきるところまでいくなんてこともある。


本当にあと少しだ。


確かな手応えを感じていた。



ある日プールから帰るとき、俺はあるひとつの提案をしてみることにした。


「未来さん、クロールはあとちょっとのところまできましたけど、他の泳ぎって興味あったりしますか?」


もう、クロールはこの調子ならあと一週間もあれば確実に五十メートルに到達できるであろうというのが俺の見立てだ。

それならば、バタフライは無理かもしれないが平泳ぎや背泳ぎに挑戦してみるのもひとつの方法だと思った。


だが、未来さんは最初に人並み。つまり、平均的な泳ぎが出来れば問題ないとも言っていた。

ここで俺の意思だけで練習メニューを変更するのもどうなのだろうか――彼女の意思を無視してしまう可能性もあると思い、未来さんに他の泳ぎに興味があるのか聞く必要があった。


「そうですね………私も最初は平均並みに出来ればいいやって思ってました……………でも、出来るならば、他の泳ぎにも挑戦してみたいです!」


俺の目を見てまっすぐそう言う彼女の言葉からは、もっと出来るようになりたいという向上心が溢れていた。自分が苦手だったものが出来るようになる喜び。

これは俺も体験したことがあるが、本当に楽しくなってもっと追求したくなるのだ。


未来さんの言葉やその表情はそれが見て取れた。


「よし、ならばそうしましょう!」


「はい、よろしくお願いします!」


俺がそう言うと彼女も満面の笑みで返してくれる。


「なら、さっそく明日からなんて、どうでしょうか?」



明日はちょうど休日だ。ということは、たくさん練習できるということ。

いや〜まいったなぁ!

ここまでもかなり順調なのに、明日はどれくらい泳げるようになるのやら、今から楽しみすぎる!


「あの〜そのことなのですが…」


俺がニコニコしてると、未来さんが申し訳なさそうに、「明日は休業日」という衝撃の事実を伝えてきた。


「まじですか……」


「はい、どうやらシャワーの調子が悪いようで明日は休業にして業者の方に診てもらうらしいです」


「そ、そんなぁ……」


せっかくの休日。

未来さんがもっと上達できるように、明日のために帰ってから沢山練習メニューとか考えようと思ったのに。


ここにきての休業はかなりショックだった。

俺が項垂れていると、横で見ていた未来さんがちょんちょんと俺の制服を引っ張る。


「ど、どうしましたか?」


「…………」


未来さんの方を見ると、少し俯いてなにか言いたいことがあるのだが、言おうか躊躇っている様子。


「あの……」と、もう一度声を掛けると、決心したのか真剣に俺の方を見て、


「わ、わたしって……ここまでけっこう頑張ってきたと思いませんか……?」


とそう言う。


「は、はい、そう思いますけど……」


突然のことでなにも考えられなかった俺は反射的にそう答えた。


そう言うと、未来さんは頰を少し染めて


「な、ならば……ご、ごほうびがほしいです…」


「ご、ごほうび…」


「はい…」


と、消え入りそうな声でそう言った。最初は見つめ合っていたはずの彼女の視線は次第にどんどん下がっていき、頰だけではなく耳まで赤くなり、見ていられなくなって、最後は下を向いてスカートをいじいじする始末。


あのさ……俺の彼女が可愛すぎるんですけど!?


「ご、ご所望とかは……?」


ごほうびと言われてもそんなすぐには思いつかない。

彼女はなにか俺にしてもらいたいこととかあるのだろうか?


「お買い物……」


「えっと……」


「あっ、あした、凪くんと一緒にショッピングしたいです!」


「それって……」


「は、はい………そのっ、わ、わたしと………デートしませんか?」


と、いうことで束の間の休息、そして天国の始まり。


未来さんと一緒にショッピングすることが決定した。

お久しぶりです。やっと戻ってこれました。

まず、投稿してない期間でもpvをつけて下さった皆様に深く感謝します。ありがとうございます。

ランキングをみたりすると、あの頃と比較して全体的にポイントが少なくなっていて、作者が投稿してた頃の読者はもういないかもしれないとそんな不安を抱きながら、アクセスを確認しました。

ちゃんと、いてくれました。本当に嬉しかったです。



作品の話ですが、三年間まったく書いていなかったので、書き方忘れてます。一応、最初から読んだつもりですが時系列の矛盾点があったらすみません。


次話ですが、新作の関係でもう少しストックが貯まったら投稿予定です。(一週間以内には必ず)

新作の話をすると、他サイトで書いていたものをかなり改稿して投稿予定です。

これからもよろしくお願いします。

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