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19 水泳のレッスン 2

すみません。昨日は無理とか言ってましたが、なんとか書き終わったので投稿します。




着替え終わって、更衣室から出ると更衣室のすぐ向かいのところで、未来さんが壁に寄りかかりながら俺を待っていた。普通男子よりも女子の方が着替えに時間がかかると思うのだが、未来さんは下にあらかじめ水着を着てきていたらしい。


そうでなければ、俺より早く着替えるなど不可能なはずだ。


「お待たせしました」


いい加減待たせ役は卒業したいと思っているのだが、中々卒業できない。図書室に着くのも、市民プールに着くのも、着替え終わるのも俺の方が遅い。男女逆転しているように思えてきてなんだか虚しくなった。


「いえ、大丈夫ですよ?」


彼女は俺が申し訳なさそうに、言うと笑顔を見せながらそう言う。


「もしかして、あらかじめ水着を着てたんですか?」


「はい、そっちの方が時間短縮になると思ったので……」


未来さんはすごく真面目な人だと改めて思う。普通は身体に違和感を覚えてしまうから普通は市民プールに行ってから水着を着るのが普通なのだが、未来さんはそれを我慢してまで時間短縮を選んだ。


教えるのは俺の方なのに、生徒の方がしっかりしていて俺の立場が無くなりそうであった。


「凪くん、早くシャワー浴びて、早速練習をしましょう?」


俺が自分の不甲斐なさを悔いていると、未来さんが俺の腕をツンツンしてそう言う。


「ああ、はい。そうですね」


さっきは、あまり元気がない様子だったのだが、今はいつもと変わらない笑顔を見せていた。一体さっきのあの作り笑顔はなんだったんだろう………


そう思いながらも俺は未来さんの後に続いてシャワーを浴びに行った。


シャワーを浴び終わってプールサイドを歩いて、プールまで向かう。


「最初、未来さんの泳力を改めて確認していいですか?それから練習メニューを決めたいので」


「はい…………わかりました。が、頑張ります」


未来さんは少し苦い顔をしながらも了承してくれた。泳力が低いのは知っているがどのレベルなのかを改めて確認する必要があった。


飛び込み台の前について、まず俺からプールに入ろうとすると、


「おい!お前たち!体操はやったのか!?」


どこからともなく知らないおじさんがやってきてとても大きな声で俺たちを怒鳴りつける。


「え、えっと……やっていません……」


おどおどしながらも未来さんがおじさんの問いに答えた。


「じゃあ、やれ!体操しないで、プールに入ると怪我の元だ。わかったか!?」


「は、はいっ!わかりました!そうさせていただきます!」


おじさんの威圧感にビビりまくっていた俺は、いつの間か頭を深くまで下げていた。

だって、おじさんの見た目が怖いんだもん。


見た目ヤクザ過ぎて、なんか言ったら殺されそうな雰囲気だったのでその通りにした。


俺たちが体操を始めると、おじさんは急に笑顔になって、「うんうん、体操はやっぱり大事だからな、忘れんなよ!」と言って去ろうとした。


「おじさん!貴方はいったい……」


呼び止めるつもりなんてなかった。知らぬ間に火に油を注いでたら困るし。だけど、何故か俺はおじさんを呼び止めて、お決まりのフレーズを吐いていたのだ。


「あ、俺か?俺は、全国のプールを巡っている体操おじさんだよ。じゃあな!」


と言って、ハリウッドのカウボーイ並みに片手を振りながら去って行った。

ちくしょう、なんかカッコいい。


「なんと言えばいいのかわかりませんが、いいおじさんでしたね……」


おじさんが去った後、未来さんがポツリとそんなことを言った。俺はそれに無言で頷いていた。


さて、体操をしっかりしたところで、今度こそ未来さんの泳力を確かめる。


「じゃあ、未来さん」


「はい!頑張りますが………」


なんか未来さんの歯切れが悪い。嫌な予感がしてならないのだが、一応尋ねてみよう。


「どうしましたか?」


「飛び込み台からは怖いので、普通に入っていいですか?」


「はい……いいですよ……」



やはり飛び込み台からは難易度が高かったようだ。最初から飛び込み台は無理をさせ過ぎた。


よし、今度こそ未来さんの泳力を……


「では、行きます!」


そう言って未来さんがプールに入った。


その数秒後…………


「な!凪くぅん!た、助けてくださぁい!」


ゴボゴボ溺れながら未来さんが俺に助けを呼ぶ。俺は慌ててプールに飛び込んで未来さんを救出した。


未来さんはプールから上がると、ゴホゴホ言いながらも「な、凪くん、ありがとうございます……助かりした……」とお礼を言った。


一方で、俺の方はと言うと、


絶望感で絶句に近い感じになっていた。水深1メートル20センチのプール。本来ならもっと深いところにしようと思ったのだが、溺れる可能性もあったので、やめておいたのだけど………


まさか、ここでもダメとは………


なんで、プールよりも危険な川なんかで練習していたのだろう。あの時は近くに浮き輪もあったからそれで慣らしていたのだろうが、今回は何も浮く素材はなかった。


なるほど、これが未来さんの泳力か………


なんか、とてつもなく不安なんだが………まあ、最初は、そうだな。


俺は考えた末に練習メニューを決定した。


「未来さん、まずは、ビート板を使った浮く練習とバタ足練習から始めましょうか……」


多分、これからかなり過酷な水泳のレッスンが始まる。



多忙な中ですが、作者のモチベーションになるのでブクマ、評価、よろしくお願いします!

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