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18 水泳のレッスン 1

くわぁ……

遅くなりました。なんとか連日更新ですが、明日は無理そうです。すみません。



あれからの時の経過は一瞬であった。


朝の登校の時間、午前授業、午後授業。そして放課後の未来さんとの図書室での勉強会。


日々学力向上を実感しているが、俺の頭は一分一秒たりもとあの約束を忘れたことはなかった。


未来さんとの水泳レッスン。


別に、卑猥なことを考えているわけではない。もちろん男子だから考えていないわけでもないが。(結局どっちだよ)


水着姿の未来さんをまた見られるのかという、気持ちと男女二人のマンツーマン指導は果たして良いのだろうか?という懸念と。未来さんを絶対に上達させなければいけないというプレッシャーで俺の心理状態は良好とは程遠かった。


そのせいかボーッとしているのとが多くて、時々他の人に「大丈夫?」と声をかけられることが多く「大丈夫、精神統一して瞑想してただけだから」とか言ってたせいで何故か俺が悟りでも開き出すのではないかと少し噂になったくらいだ。


知らない間に俺が教祖になるところだったが、今のところその予定はない。将来は分からん。


という感じで、あっという間に休日になってしまったのだ。実は前日からすごいそわそわしてしまって、夜はいつも通り寝て、その朝はご飯が普通通りしか食べれなく、勉強も少しだけ集中力が切れてしまった。


やはり俺は未来さんとの水泳のレッスンがとても緊張しているらしい。


こんなことでは先が思いやられるのだが、その時はあっという間に来てしまった。


もう少しで日が沈みそうになる頃の市民プール。その入り口前のベンチに彼女はちょこんと座っていた。

日が暮れる西の空を眺めている。夕日に赤く照らされた未来さんはいつも以上に眩しくて、そして、美しかった。


「未来さん!」


俺がそう言って未来さんの方に近づいていくと、


「あ、凪くん!」


と言ってベンチから立ち上がって軽く微笑んだ。


「遅くなってすみませんでした?待ちましたか?」


「いいえ、今来たところです」


デートシチュエーションでは、セリフが逆パターンの方が多いがこれもいいだろう。


「凪くん、今日はよろしくお願いします!」


彼女は俺の瞳を真っ直ぐ見て、それから深々とお辞儀をした。そんなことをされてしまうとこっちも反射的に頭が下がってしまう。


「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします……」


「じゃあ、さっそく行きましょうか?」


未来さんが市民プールの階段を登り始める。俺もそれについて行った。


市民プールの営業時間は、午前9時から夜の11時半まで。夜遅くまでやっている理由は仕事帰りの大人たちも利用できるようにするためだそうだ。

そのため、夜の使用は15歳以下は原則禁止で、利用する場合は18歳以上の人と一緒に利用する決まりがある。だから俺は、小学生などのちびっ子が少なく夜を提案したのだ。これなら、小学生にあたる心配もなくしっかりと練習できそうである。


「あの、市民プールを利用しに来ました」


当然のことながら、無断で市民プールには入れない。受付にて、名前を記入して更衣室の鍵をもらう必要がある。


「はい、ではここにお名前を……」


受付の人は、名簿とボールペンを差し出してきた。これに名前を書けばいいらしい。


「先に凪くんがどうぞ」


「いえいえ、ここは未来さんが」


「いえ、凪くんが」


とこんな感じで謎の譲り合いをしていると、受付の人がクスッと笑った。

その様子を見て俺たちは一斉に受付の人の方を見た。


「あ、えっと、すみません。とても仲睦まじいカップルでしたので……」


「あ、あの、えっと……その……」


カップルというワードを聞いた瞬間からだろうか?

未来さんの頰が急に赤く染まり、しどろもどろになりながらも否定しようとしているが全然言えていない。


なんなら、俺も少し赤くなった。いやいや、未来さんとのカップル設定は嬉しいが未来さんにそんな気はないだろう。あくまでも心を許してくれている………例えるならば、いい感じの友人か?

よくわからないが未来さんは俺に対してそんな認識を持っていると俺は勝手ながら思っていた。

だから、、、


「いえ、ただの友人ですよ」


俺はそう言った。


「し、失礼しました。」


受付の人はそう言うと頭を軽く下げた。こんなことで謝られてもなぁ〜と思いながらも「全然気にしてないですよ」と笑顔で返しておいた。


さてさて忘れていたが、名前を書かなければならない。もう譲り合うくらいなら俺が書いちゃえ!


という思いで俺が先に名簿に名前を書いた。

そして、


「未来さん、はいどうぞ」


そう言って俺がペンと名簿を彼女に渡そうとすると、彼女が少し下を向いていた。


「あ、あの……未来さん?」


俺が様子を伺うようにして彼女に尋ねると、


「あ、はい。名前を書きますね!」


と何かを誤魔化した様子でペンと名簿を俺から受け取って、名前を書いた。


「では、鍵をお渡しします」


そう言って受付の人は、俺たちにそれぞれ鍵を渡した。


「ではごゆっくりと……」


と笑顔で言う受付の人に笑顔で会釈してから俺と未来さんは更衣室に向かって行った。言うまでもないが更衣室は男女分かれているためにここで一旦別れる。


手前が男子更衣室、奥が女子更衣室であった。


「じゃあ、着替えてきますね」


そう言って、奥の更衣室に向かう未来さんの表情はいつもより元気がない気がした。笑顔は笑顔なのだ。しかし、何かを必死に取り繕っているようなそんな気がしてならなかった。


俺、なんかしたかな………


少し、モヤモヤとする気持ちを心中に抱え込みながら俺も更衣室の中に入って行った。


これから、水泳レッスンが始まる。

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