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17 もうすぐあれが始まる

久々の投稿で申し訳ありません。

期間中はこんな感じになると思いますのでよろしくお願いします。



あれから数週間が経過しようとしていた。


あの事件をきっかけに嶋崎さん………いや、未来さんは、何か困ったことがあると、俺を頼ってくれるようになった。


「すみません。凪くん、あの高いところにある本取ってください」


「凪くん、私は新刊の整理をするので、貸し出しの本の確認をお願いします」


などなど、俺も頼られて嬉しかった。


そんなある日、いつも通りに図書室で本の整理を終えて、未来さんとお茶をしながら、勉強会をしている時であった。


「そういえば、もう夏が近いですね〜〜」


「そうですね。段々と気温も上がってきましたね」


「この時期になると、水泳の授業がもう少しで始まりますね〜」


「うっ……」


俺がそのワードを言った瞬間に彼女のシャーペンが止まった。


「未来さん?どうしたんですか?」


「い、いえ、少し嫌なことを思い出したもので……」


「あ、すみません。そういえば未来さんって、かなづ……」


俺は最後のところで自分がかなり失礼なことを言っていることに気がついて慌てて口を閉じた。


「間違ってませんよ、、凪くん」


「い、いや、あの……すみません……」


「いえ、泳げないのは事実ですから……」


苦笑いをしながらそういう彼女を見て俺はとても申し訳ない気持ちになった。彼女のプライドにもうちょっと配慮すべきであったと思う。


「そういえば、あの時も凪くんが助けてくれたんですよね」


あの時………そうか、未来さんが溺れそうになっていた時か、、、


「あの時は助けてくれてありがとうございます」


「いえいえ、お礼なんて……」


「凪くんは私の命の恩人なんです。改めてしっかりお礼を言わせてください」


「はい……」


彼女の真っ直ぐな瞳にやられて俺は思わずそう言ってしまった。本当にお礼なんていいと思っていたのに。


「それにしても、あの距離をすぐ泳いでくるなんて凪くんはすごいですね」


未来さんはわざと深い場所で水泳の練習をしていたらしい。とは言っても、あそこは深すぎたが………


「あの時は無我夢中だったので速くなったんですよ。あの人は絶対俺が助けなきゃって思って……」


俺がそういうと、彼女は頰を赤く染めて改めて「ありがとうございます」と言った。何故か小声で。


「凪くんは水泳とかやっていたんですか?」


「いえ、全然。授業でくらいしかやったことないですね」


「それにしては、去年もすごくなかったですか?クロールも速かったですし」


「あれ?見てくれてたんですか?」


「たまたまです!たまたま!」


「そうですか………」


てっきり去年の水泳の授業で見られていたのかと思った。


「俺自身はそんな得意意識はないんですけど、慣れると速くなってましたね」


「羨ましいです……」


「よかったら教えましょっか?」


その言葉を使った瞬間、俺は「しまった!」と思わず口に出してしまいそうになった。何をやっているんだ。未来さんに水泳のレッスンなんて、未来さんがまずそんなことするわけないし……第一に………ダメに決まってるじゃないか……


「え、いいんですか?」


「そうですよねダメで……え?いいんですか?」


「はい、あんなに速い人に教えてもらえるなんてそうそうないことですし……」


てっきりダメかと思っていたのだが、未来さんがまさかのオッケーだった。


「え?俺で本当にいいんですか?」


「凪くんとならきっと上達するのも早い気がします」


「そ、そうなんですね………」


「是非、教えてください!」


彼女がそう言った後、深々と頭を下げた。

こんなにされてしまったら、断るなんて逆に無理だ!


ということで俺はすんなり了承した。


いやぁ……でも、水泳のレッスンだろ。

水着だけど、未来さんはいいのだろうか……

しかも男女マンツーマンでのレッスンって。


まあ、未来さんがやる気になっているのだから、俺も精一杯教えられることは全て教えるつもりで頑張ろう。


「じゃあ、今度の休日の夜。プールが混んでないときに練習しましょうか」


「はい、よろしくお願いします。凪くん!」


そう笑顔で言ってくる未来さんがとても可愛いかった。それと同時に、絶対上達させなきゃいけないプレッシャーも重く俺にのしかかった。


ま、まあ、取り敢えず頑張ろう。

ブクマ、評価、よろしくお願いします!

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