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13 翌朝



またまた朝の通学路。

何回もこの道を歩いているため少々飽きて他の通学路を使ってみたいこの頃なのだが、この道が最短ルートなのでそうもいかない。


気付いたら、もう木曜日である。


いつもなら一週間経つのおせぇなぁ……早くしろよぉ〜。

とボヤいているはずなのに、もう木曜日。


色々なことがあってきっと時間のことなんて忘れていたのだろう。


そして、今日も多分、早く時が過ぎるそんな気がする。


そんなことを思いながらボケ〜っと通学路を歩いて入ると背後からなんだが寒気がするようなオーラが漂ってきた。


誰だかは確認しなくてもわかる。


「お、おはよう」


「ああ、おはよう」


なんだが元気がない様子で淡々と挨拶を返す、海知くんがそこにはいた。


「ど、どうしたんだよ?」


なんだが、元気がなさそうなので明るい態度でそう振る舞って見せると、


「凪が昨日いっしょに帰ってくれなかった」


とまぁ、気持ちの悪いことを言う。


「おい、それ以上はやめろ。流石の俺でも引くぞ。」


「だって、流石に一人で帰らせるはなくないか?」


と海知くんは抗議するが、


「嶋崎さんが一緒でもいいなら別に構わないけど」


「一人で帰ります」


「うん、そちらの方が君のためだ」


もうこれ以上、化石になったりゲルになったりされても困るから俺的にこっちの方が都合がいい。

海知くんも納得してくれたようでなによりだ。


ガンガン照りつける太陽の下、風邪で木々が少し揺れる。まだ夏も本格化していないのに、この暑さ。最新の地球はなんかおかしい。


そう思い、少し汗をかきながらも学校の正門までついた。

最近、正門で嶋崎さんと遭遇する確率が高い。待ち伏せるなんてことはしてないのだろうけど、不自然で疑ってしまうほどよく遭遇していた。


「海知………そんなに掴まれたら、周りから変な目で見られるぞ」


海知はよほど嶋崎さんが怖いのか俺の腕をしっかり掴む。これが嶋崎さんだったら良かったのだが、相手は海知だし………しかも男だし……


「凪とだったら注目されてもいい」


その言葉を聞いた瞬間、一気に背中が寒くなり、背筋が凍った。いやぁ……新手の暑さ対策ですねぇ……


「お前、自分で何言ってるかわかってる?」


若干、「お前気持ち悪いぞ?」と言う目を向けならがら海知にそう問いた。


「いや、俺だって望んでいるわけじゃないけど、仕方ないじゃん。俺だってしょうがなくだよ、しょうがなく」


ハハッと鼻で笑いながら言う海知。なんかこれはこれでムカつくなぁ……


と思いながら、歩いていると、


「小鳥遊さん」


とまたまた背後から聞き覚えのある声がした。


「あ、おはようございます嶋崎さん」


俺は笑顔でそう挨拶した。


「おはようございます。」


彼女は俺が挨拶すると、鋭い目つきながらも深々と挨拶をしてくれた。生徒がいる中では立ち止まって挨拶など邪魔でしかないのだが、嶋崎さんはそれをわかって丁寧に挨拶してくれた。


これが嶋崎さんなりの気持ちなのだろうか?


冷淡をやめられないのなら、態度で示す。やっぱり嶋崎さんはいい人だ。


「あら、小鳥遊さん。後ろに背後霊が付いてませんか?」


挨拶してから数秒後、やっと気づいたような目をして俺に尋ねてきた。


「もう、人間じゃないっ!!???」


海知がまた溶け始めてきたので必死にフォロー。


「背後霊じゃないですよ?守護霊です」


「そ、そうなんですね……すみません。どんよりとしたオーラを放っていたので悪霊の類かと思いました」


「うっ……」


やべえ!また海知さんが、まだ逝くのは早い!早く蘇生を!


「どんよりオーラの守護霊も稀にいるかもしれないじゃないですか!」


「た、たしかに……否定はできませんね」


「そ、そうですよ」


「すみません、私の勉強不足でした。小鳥遊さんは詳しいんですね」


いやいや、フォローしただけで全く知りませんでした!!


とは言えないよなぁ………


と言うことで、苦笑いでハハッと笑っておいた。(気持ち悪いとか言うな)


「そうだ、小鳥遊さん。昨日、チョコを作り過ぎてしまったのでよかったら食べてください」


そう言って彼女は、チョコを渡してきた。


「この時期にチョコですか?」


「チョコに時期ってありますか?」


「いえ、溶けてしまわないかなぁ……と」


「そ、そうでした。盲点です。折角作ってきたのに……」


「い、今、食べましょうか?」


「え、」


「どうせなら美味しく食べたいですし」


と言って袋からチョコを取り出して、口の中に投げ入れた。


「うん……美味しいです」


「あ、ありがとうございます」


俺が彼女に感想を言うと、彼女は一度俯いてから、いつもと変わらぬ表情でお礼を述べた。やっぱり、表情一つ変えないなんて嶋崎さんは流石だ………


そう思っていると、


「で、では、私はもう行きますので……放課後……」


「はい、今日こそは早く行きます」


「わぁっ、わかりました。私もそうします」


彼女は足早になりながら玄関に向かっていった。それを見届けると、海知が言う。


「なぁ、お前ら会話してる時、俺空気じゃね?」


「守護霊だからだろ?」


「おい!お前もそうだけど、俺を人間として扱えよ、なんだよ守護霊って!」


海知さんの猛抗議、しかし、


「悪霊か背後霊でよかったのか?」


「守護霊でいいです。守護霊ばんざい」


海知さんは、守護霊を選択した。


「おいおい、お前が守護霊なのは、嶋崎さんの前だけで他は人間だからな」


「ああ、わかってるよ。俺も守護霊頑張るわ」


「守護霊だから嶋崎さんから俺を守ったりするのか?」


「おい、待て、凪。やっぱり再検討!」


海知さんは嶋崎さんがトラウマ並みに怖いらしい。

放課後はあんなに可愛い人なのに、海知にもそれを見せたら………


いや、無理か……だって、嶋崎さんは俺にしか、あの態度は取ってくれないから。

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