1 溺れている美女を助けた
タイトル調整中です。
高校二年生の五月下旬の日曜日。
今日は朝から快晴で、とても蒸し暑かった。
俺――小鳥遊凪は、近所のスーパーに、アイスクリームを買いに行こうと家を出た。
歩いてスーパーまで行く途中に橋があった。
その橋を歩きながら、下に広がる青い水を眺めながら歩く。
夏が近づいていることもあり、全体的に水位は下がっているが、深いところは深い。
夏ならば近所の小・中学生が楽しく川遊びをしているのだが、今日は不思議と殆どいなかった。
今日は蒸し暑いからいると思った。
珍しいなぁ……と思いながら、川を眺めていると、若干水位の深いところで、水飛沫がたっている。
あれ?なんだろう……
まさか?人か?それならマズくね?
そう思った俺は、橋を渡り、橋下にまわった。
岸から数十メートル。
そこで、水飛沫が上がっている。
「た、たすけぇ……たすけてくださぁぁぁい……」
女性の声が聞こえる。
人が溺れている。助けないと死ぬ!
俺は、無我夢中で川に飛び込んだ。
水泳なんて、一年ぶりで去年の水泳の授業からやっていないがとにかく必死にクロールをして、そこに向かった。
あと数メートルのところで突然水飛沫が止んだ。
ヤバい、あれ沈むぞ!!
俺は、必死に泳いで、そこに辿り着き、潜った。
水深は二メートルほどだった。
俺は、沈みそうになっている女性を引き上げて岸に上がった。
「大丈夫ですか!!」
と身体を揺さぶりながら問い掛けるが返事はない。
ヤバい……早く心臓マッサージを………
相手は女性だからとか、そんなこと考えている暇などない。
俺は、彼女を仰向けにして、すぐに心臓マッサージをする。
だが、状況は変わらない。
ホントにマズイこのままじゃ………
そう思った俺は、この前みたマンガを思い出す。
正規の方法なんて知るか!携帯は家に置いてきているし、ここら辺を通りかかる人もいなければ公衆電話もない。ということは、救急車が呼べない。
なら、人が通りかかるまで、もたせなければ……
俺は、そう思い、思い切り息を吸って彼女の口に自分口を付けた。
人工呼吸………
やり方なんてわからない。これが正規なのかなんて知らない……漫画の知識を元にやった………
何度も繰り返すと、彼女の指がピクリと動く。
そして、瞳がうっすら開いた。
「ん!!ゴホッゴホッゴホッ………」
彼女は噎せ出す。俺は、直ぐに人工呼吸をやめて離れた。
「んぅ……うぅ………!ここ……って……」
「……目覚めましたか?」
「はい……大丈夫です……」
よかった……取り敢えず、大丈夫らしい。
「私は…………」
「溺れてましたよ……」
「………え?本当ですか?」
「はい………何してたんですか?」
涼んでいた。そう言われればそうなのかもしれないが、彼女が付けているのはゴーグルひとつ。
浮き輪なんてなかった。
「えっと……練習をしてたんです。カナヅチなので……」
「すみません………」
「謝らないでください!命の恩人です………心臓マッサージしてくれたんですか?」
「はい、それと人工呼吸も………これって意外に助かるもんなんですね………」
「えっ………人工呼吸?」
「……心臓マッサージじゃ、目が覚めなかったので……」
「そそそそ、それって、つまり………私に………きききき、キッスを…………」
「まあ、言い換えるとそうなりますね…………」
そう言った瞬間彼女の顔が真っ赤になった。
正直俺も冷静になって考えるとヤバいことをしたなと思ったが、命を助けるためだ。後悔はない。
そうすると、彼女は直ぐに立ち上がり、
「ああああ、あり、ありがとうございます……お陰で助かりました……」
そう言って直ぐに走り去っていく。
「病院に行った方が………」
と声を掛けたが彼女は全く聞いていなかった。
そのまま、ずぶ濡れの姿で振り返らずに走っていく。
あの女性見覚えがあったんだよなあ………
そんなことを考えていたが、
俺もずぶ濡れになったので家に帰ることにした。
その後、彼女がちゃんと病院に行ったのかは知らない。
どうだったでしょうか?
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作者の執筆に影響します。