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少年ヨルンと魔女の少女
「あなたが塔の魔女?」
救いを求めた少年が、問う。
「いかにも……僕が悪名高い塔の魔女だよ」
救われる事を諦めた少女は答える。
深い森の奥、ひっそりと建つ古びた塔の頂上で。
ふたりの止まってしまった運命の歯車は静かに、ゆっくりと回り始めた。
森の奥のもっと奥。
寂しげに建つ古びた塔。
塔には、人を食う恐ろしい魔女が住んでいると、村の人は恐れて近付きませんでした。
いま僕はそこを目指して森の中を歩いています。
自分でも理由は、わかりません。いや、本当は分かっています。
僕は、その塔を登ります。
螺旋状の石造りの階段を。
苔の生えてひんやりとした石造りの壁に手をかけながら。
ぐるぐる、ぐるぐる。
歩きながら、登りながら、ぐるぐる、ぐるぐる。
そうしてたどり着いた、塔のてっぺんには、よく手入れがされた、でも決して新しくはない木の扉。
一つ、唾を飲み込んで扉に手をかけました。
この先に、きっと僕が望んだものがある。
そう信じて。