第一章 1話
おはようございます、こんにちは、こんばんは!
作者です。
バトル好きという事で、バトル描写を書くために小説を書こうと思った口でございます。
初めて小説を書くということで、まだまだ分からないことが沢山あり、一人称だったり三人称だったりと文章を書くのがあまりにも下手で絶望していましたが、やっと1話目を書ききることができました。
グダグタなのですが、よろしければ見ていってください!
古来より、争いごとには必ずと言っていいほど異能力の存在が付きまとっていた。
人が生まれて持った才能、常人が対抗するには場合によっては数十人単位で相当な経験と訓練を済ませた軍人を集めるほどに恐ろしいものだ。
戦争では人を容易く殺傷できるほどの凄まじい異能。
政治面では情報を集める為の異能から、暗殺が容易になる異能。
世界史や日本史の教科書に載っているような歴史的な出来事には100%異能が関わっていると断言できる。
その異能、今では珍しいものではない。 もっとも、昔よりという意味であって、世界人口からすると異能を持っている人間など精々1%ほど、いや、もっと少ないのかもしれない、ただ1つ言えるのは世界人口が少なかった昔と比べたら断然現在の方が多いことだろう。
ここ静岡軍事教育学校は、そんな異能を持った特殊な人間や、それに対抗するために開発された魔法技能を持つ者、もしくはエリートと言われる軍隊の兵士を教育、そして国家戦力として育て上げる為の学校である。
四月の始め、季節は入学シーズン真っ盛り。
日本の南の方は桜が咲いているが、ここ、静岡には前線が到達していないらしい。
まだ朝は冬の空気が残っているのか結構な寒さである。この様子ではまだ少しかかりそうだ。
「寒っ……」
窓から冷たい風が入り意識を覚醒させた。
寝起きとは思えない速さで窓を閉めた。この瞬間だけ瞬発力では横綱にも負けないほどである。
「まったく……誰だこの季節に窓を開けたまま寝た野郎は」
いつも寝るときに着ている長袖のジャージはあまり体温を保ってはくれなかったようだ。
風呂上がりに涼むため一時的に開けているつもりだったのだが…火照った身体に少し冷たいくらいの緩やかな風は心地よく、どうやらパソコンの前で寝落ちしてしまったらしい。電気もつけたままだった。
今日は朝から風が強めのようだ。おかげで体が冷え込んでしまった。
手早く真新しい着慣れない制服に着替えて少しでも身体を温める。
身支度をしながらも今日の予定について考える。
「はぁ…」
朝から災難だ、今日は記念すべき高校の入学式だというのに。まぁ、軍事学校に通うのだからあまり変わらないのではあるが。
洗面器の鏡を見ながらため息をついた。カッコ良くも悪くもない、顔立ち。長身でもない176㎝の身長、背丈相応の肩幅、そして黒髪黒目の日本男児である。
今のため息は自分の外見の特徴の無さを嘆いたものか、それとも入学式の憂鬱を嘆いたものか。あるいはどちらも。
それでも時間は遠慮せずにどんどん過ぎていき家を出る時間となった。
日本の軍事教育学校は小中高三段階あり、小学から入っているのはエリート、もしくは相当な金をかけて通わせる子供のみだ。
中学、高校からは政府が目をつけた、身体能力が平均より飛び抜けて高い者や魔法技能を習得できた者。
自分から通うのを希望する者。
小学もしくは中学からのエスカレーター。
そして異能保持者。
この五パターンでしか入学は許可されない。
入学するにも、結構な審査があって入れるので人数は多くはない。
俺は中学から通っていたので軍事教育には慣れた者で入学するのに緊張することはない。
いつも通りに学校に行くのと変わるものでもないだろう…そう思っていた。
軍事教育学校の中学と高校は遠く離れた場所に位置する。
離れた場所にしないと、問題が起こりやすいのだ。ガラの悪い中学生が、軍事学校の高校生に喧嘩を売って手痛い反撃を受けた事件など、数え切れないほどあった。そんな理由もあってか今現在は県をまたいだところに中学が位置している。
高校は山の奥、しっかりと整備された道を登って1時間程歩くとそこに着く。しかし、それは学校の生徒以外が通る道だ。
今日は入学式なので登らなければいけないが、それも今日のみ。面倒であるが仕方なく山を登っていた。
一歩ずつ足を踏み出して、先の見えない道を行く。これが山の中でなかったとしたら…と想像するとやはり山で良かったと思えてきた。
春だと言っても寒いのは朝と夜のみ、動いていたら当然、汗を掻くだろう。
そんな中で歩くなど面倒だ。しかし、森の中。木々が照らす光を遮り、コンクリートを温めるのを防いでくれているため程よい涼しさで進めていた。
綺麗に整えられたコンクリートが足を支える。
時折急な上り坂や下り坂があって非常に歩きにくいが、それほど疲れていないのはこのコンクリートのおかげだろう。
特に考えることもなくひたすら足を動かし綺麗な景色を眺めながら歩いていく。
五十分ほど歩いただろうか…高く伸びた木々の間から四角い建物が見えた。
「寮かよ…」
どうやら目的地はまだ先にあるらしい。
学校に入学した生徒は朝早くから特訓などがあるため寮に入る事になっている。
寮は一般人の生徒が使うには困るほどに広々としたリビングと風呂、キッチン、寝室が備えられている。
国が動かしているだけあって滅茶苦茶に金がかかっているのだ。そのかわり二人部屋となるが、そんなこと、このアホほど広い部屋に住むのだから辛いことはないだろう。
少し歩くと校門が見えた、ちらほら生徒もいるようだ。少し足を早めて中に入る。
「君、新入生の子かい?」
「…はい、そうですが」
一瞬話しかけられているのが自分か分からないで、答えるのがワンテンポ遅れる時ってあるよね。
相手の顔を見て目が合ったので返事をする。爽やかなイケメン顔で合ったことも返事が遅れた原因かもしれない。
「じゃあ、ここからあそこの昇降口に入って目の前の階段から二階に行くといいよ。そこにまた案内の先輩がいるからね!」
忙しい様子で走り去って行ったイケメン。
ありがたいことに、行く場所がわからず辺りを見回していた俺に話しかけてくれたらしい。
階段を上りすぐの場所に何人かの生徒が立っていた。
女の先輩の一人がこちらに向かってくる。
「おはようございます。君、新入生だよね、名前を聞いてもいいかな?」
「おはようございます。はい、新入生の天野 空夜です。」
名簿か何かをつけているのだろう、紙を取り出しチェックをしている。
「はい、 強襲科の天野空夜くんね? 天野くんはここから真っ直ぐ行って一番奥の教室、出席番号は1番だからすぐ分かるはずだよ! 」
「分かりました、ありかとうございます」
お礼を言ってその教室へ。
途中六つほど教室があった。この教室はそれぞれの科に分かれている。
強襲科、後方支援科、情報科、魔術科。生徒はだいたいこの4つに分けられるが、強襲科の教室は2つある。
片方は表の顔である正面戦闘専門の軍隊
そして、潜入、工作、スパイ、暗殺など裏の仕事をする(シーカー)
この2つで強襲科が成っているため教室が2つに分かれているのだ。と言っても、どちらも死亡のリスクが高く人数が多いことはないので20人前後であるが。
教えられることが全く違うので同じ教室に纏めることができないのだ。
ガラガラと震えながら滑るドアを潜り、生徒が半数ほどしか集まっていない教室に入った。
まだ生徒が集まりきっていないようだ。昨日のAVハシゴのせいで寝不足、しかも寝落ちしたせいでかなり気怠いのでひとまず時間まで寝る事にした。
「よし! みんな揃っているな」
野太い野生のクマのような声で慌てて目を覚ます。目を向けて驚愕、教壇に上がっていたのはクマだった。
なんだ夢か、また寝るとしよう。しかし、頭を下げる寸前でまたクマが喋った。
「新しい生徒諸君、君たちはこの学校に入った。自分の希望、中学から持ち上がり、もしくは家の事情、色々な理由があれ、ここに来たのだ、逃げることはできない。
特にこのアサルト科は死亡率が高い。一瞬の判断ミスで捕虜になることもあれば、四肢を断たれギリギリ生きながらえさせられ、情報を吐くまで拷問される事など当然のようにある。
そうならないため、諸君には厳しい訓練が待っている。これをサボったクソッタレはみな、同じように死んでいった。そして代わりとなる誰かが、同じ任務をこなしていくだけだ。
大して貴重ではない命がゴミのように忘れ去られるだけだ。
死にたくなければ必死で、死に物狂いでやれ、努力した分生きることができると思え、もちろんどうしようもないことはある、だがそれだからやらない理由などないだろう、諸君らには生きてもらう。
生き残らせる為に俺が鍛える。
甘えを無くし、打たれても撃たれても、屈しない。例えどんなに細く、厳しい道だとしても、生きる方法を考え、それを実行できる強靭な肉体と精神を。
諸君、死にたくなければついてくるのだ。それだけが唯一、生き残る道だ」
クマが話し終わった後には教室の気温が数度下がっていると感じるほど、空気が張り詰めていた。
それほどまでに、先ほどの言葉には確かな死と、失われた命の軽さが感じられた。そして、あの巨体から感じる圧力と、歴戦を漂わせる皺がきざまれた顔の哀しみと怒りと、そして決意に溢れた眼力が生徒を撫でていた。
決して死ぬことがないように
自分から死に向かわないように
数秒後には張り詰めた空気がもどった。
クマが笑ったのだ。
「しかし、あまりやり過ぎるのもよくない。ほどほどに休み、しっかり体調を整えてから毎日を過ごすように!」
空気は緩んだ、だがしかし、先ほどまで緩んでいた生徒の表情は引き締まっていた。
『最後に、校長挨拶です』
面倒な入学式をぼうっとしながら聞き流していたら、とうとう最後のプログラムまで来たらしい。
やっと苦行が終わると期待して、視線を持ち上げた。
そのアナウンスとともに、初老の男が壇上に上がった。背筋は伸び、髭は綺麗に整えられ、顔つきは精悍で歳劣ってもなお老いを感じさせない。
マイクの前に立った校長は、腹に響くような、重低音の声で、いたって普通の挨拶を行った。
『おはようございます、まずは、君たちの入学を嬉しく思う。始めの十日ほどは浮かれた気分で学校の施設を記憶するなり、休むなりするのもいいだろう。
だが、いつまでも遊んでもいられない。
知っての通りこの学校は軍事教育を施す場所であり、戦闘訓練から何まで、色々なことをしなければならない。
他国との戦争は今のところないにしても、これから絶対に無いとは限らない。そんな時に、駆り出されるのは君たちだ。死にたくなければ訓練に励み、生きる術を学んでいってほしい。
幸い、今年も優秀な教師や生徒に恵まれた。様々な人から良い所を吸収し、輝かしい成長を遂げてくれることを期待しているよ』
軍事学校ならではの挨拶だったが、ここでも死ぬ可能性を考えさせられた。
中学の時はそんな事はなかったのだが……やはり高校からは実地で任務があるからだろうか。
たいした内容では無いものもあれば、複数人で銃弾と魔法の飛び交う戦場であったり、小規模組織の殲滅や、一人敵陣まで乗り込み、重要資料を確保し持って帰るものまで。任務の死亡率が3割を超える危険なものもあったりする。初任務の日にちは生徒に知らされず、担当の教師が許可した生徒からやらなければいけない。年に四回、どの季節になるか分からない。 失敗すると死亡から退学まで色々だ。絶対に失敗できない。
正直なところ、どうなるか分からない。まだ高校生になった実感すらないのだから。
今まで、かなりの研鑽を積んで戦闘技術を学んで来たつもりだ。それでも実戦は何があってもおかしくはない。考えれば考えるほど、口の中に苦味のようなものが広がっていく気がした。
入学式から十日経った。
なんでもクマによると、今日から厳しい訓練が始まると言う。今まで世界の情勢などを軽く教えられただけだったので、ついに、と言う感じだ。
ぼっちで飯を食いながらそんなことを考えていたとき。
「お前ら〜、午後からはグラウンドと体育館に分かれて戦闘訓練だぞ」
高校生活始まって十日でクラスの高い地位についた人気者のイケメンである神田がやや興奮気味に言った。
「うしっ! 」「きたきた! 」「やってやるぜ! 」など、血気盛んな男子達から声が上がる。
お前らそんなにうるさくして体力持つのかよ…
午後に起こる地獄を想像して嫌気がさしてきた。そう、汗と血の滲む…男臭い体育館で、ガタイの良いムキムキの兄ちゃんと組手…くっ!俺の純穴が守られるか心配になってきた。今日、生きて寮にたどり着けるだろうか……
と、そんなクソしょうもない想像をしていたが、実際は天国であった。
天使がいるのだ、俺たちの戦闘訓練の教師、須川 流は170㎝以上ある、キリッと整った顔立ちに、長く暗い茶髪のグラマスな身体をした女性だったのだ。
「お前らの戦闘技術教師となった、須川 流だ。特にこのクラスはアサルトだ。他のクラスより数倍厳しくいくから、よろしく」
神は…存在した……
グラマスでクールな年上キャラは、あっという間に男子の目を釘付けにした。
まずは筋トレや体幹を作るトレーニングをすませて、実戦的な、急所ありの組手をしていた。
相手は流のみ、一人一人相手をしているのにかなりのペースで生徒が投げ飛ばされていく。俺の番も近くなってきた。
しかし、こう見るとすごい光景である。
大人ほどあるムキムキマッチョが片手で床に叩きつけられているのだ。あの細身の流にだ。
しっかり腕を引いているから頭などを打ち付ける心配はない、とはいえ……
羨ましいッ!あの豊満な胸に手が当たっているッ!
この後マッチョは男子どもから裁判にかけられるだろう。
組手の内容は濃いものになった。なにせあの実力の教師に戦闘技術を学ぶのだ。とても有意義で楽しい時間はあっという間に過ぎた。眺めているだけなら楽しいのだ。自分の番が来るまでなら。
「次はお前か」
だいぶ身体が温まってきているのだろう、闘気とも呼べる感覚が流から伝わってくる。
これまでの流の組手は、基本的に投げ主体でフェイントで拳打などが飛んでくる戦い方だった。警戒すべきは、急所に飛んでくる拳打や蹴りをガードしようとした瞬間にこちらを掴もうと伸びてくる手だ。
投げ飛ばされるのは勿論悔しいが、それでも抗えないモノがあった。そう、おっぱいだ。
勝ち目があるかは分からないにしろ、投げ飛ばされたとき、あのたわわな胸に手が掠りでもする可能性を捨てきれない。
こればっかりは男のサガというものである。
脳内でさまざまな葛藤を繰り広げながらも、流の前に立った。
「よろしくお願いします! 」
「ああ、よろしく」
気合いを入れ、向き合う。数瞬の時を経て両者が構えた。
流の両手はゆったりと開かれたまま肩ほどの高さで構えられており、掴みか拳打か分からない。片足も体格相応に広げられ、そう簡単には崩れそうにない。
動かないか、じゃあ仕掛けてみよう。
大きく踏み込み、後ろの逆足を前に放り出す。
ギリギリ間合いの内側から放たれた前蹴りは流の鳩尾にまっすぐ飛んでいった。勿論、視線は流の顎あたりを見つめ、フェイントをかけていた。が、流は前に出していた足を切り替えると視線での誘導を見破り、身体を飛んできた蹴りに合わせて横に移動した。当然、掠りもしなかった。
簡単に躱され、次につながることもないので足を取られないよう素早く戻す。
足が地面についた瞬間、流がすり足で間合いを詰めてきた。丁度お互いに攻め辛い距離、あと半歩踏み込まれたら流れが攻めやすくなり、俺が半歩下がれば俺の有利な間合いとなる。だが、足を下ろした瞬間である為、俺が動くには一瞬遅れる。
苦しくも、間合いを開けるのを断念し次の手を打った。 流はその勢いのまま俺の不利な間合いまで詰め寄る。
咄嗟に半身になり、そのまま前に倒れるように前進した。
予想以上に相手の間合いの詰め方が上手かった。だから、相手にはないもので…単純な体格差と膂力のみでこの不利な間合いを突破することにした、が、できなかった。
流は脱力し身体を前進してくる俺に密着させていた。
今なら極楽浄土じゃなくても、地獄でもなんでもいいから死んでもいいわ。
なんて場違いなことを考えながら、勢いを落とし、さらに身体を密着させようと寝技に持ち込む。男というのは、こんな時でもよくを優先してしまうものだ。
俺が上で流が下という構図、しかも相当な体格差がある、これだけなら圧倒的に有利なのは俺だろう、だが流の技量らそれらを容易く上回った。
アカン、いつのまにか首をホールドされてやがる。動こうにも関節を決められて激痛が……あっ……
その後、綺麗に落とされた俺は気絶したまま流を押しつぶしたせいで目を覚ますと男子どもにこってり絞られた。
「ふふっ、天野 空夜か…なかなか筋が良いようだ。今年はなかなか豊作じゃないか。」
これからどう訓練をしていくのかじっくり考えながらも、新入生たちの筋の良さに、流は無表情ながら心を弾ませていた。。