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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
どうして義妹(姉)ができるんだ!
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予定がどんどん増えていく

 あったこともない山科さんの母親を食卓の話題に持ち出したその翌日の昼休み、僕は生徒会室に呼び出されていた。どうやら生徒会の活動らしい。

「来週で授業は終わり、夏休みが始まるわけだが」

 開口一番小野先輩が切り出す。ちなみに石田先輩は小野先輩を後ろから抱きしめていた。リア充爆ぜろなんて言うほど僕は強硬派じゃないけど、人前でイチャイチャするのはやめて欲しいものだ。

「夏休みの生徒会の予定を説明する。まあ、大きく分けて2つだ」

 相談するのかと思っていたが、僕らの予定は決められているらしい。勝手に決めないでよ。予定がかぶってたらどうするのさ。

 そんな僕の問いは思い切り無視をされる。

「1つ目は、7月の末、この近くの児童館で夏祭りがある。毎年のことだが、そこで我々生徒会はお化け屋敷の制作を手伝うことになっている」

「初耳なんですけど」

「だろうな、今初めて言った」

 おい。この生徒会長、本当に使えるのか? 今のところ僕はイチャついている様子しか見てないんだが。

「でも、予定があるかもしれませんよ」

「それならばキャンセルしろ」

 横暴だ。酷い。僕はどうせ予定は入ってないからいいにしても、他の人はどうするんだ。

「私は大丈夫だよ」

「私もです」

「そういうわけだ。なのでしっかり頼むぞ」

「ちょっと! 僕まだ何も言ってないんですけど!」

 勝手に話を進めるな。

「なんだ、予定があったのか?」

「いえ、ないですけど」

「なら、問題ないな」

 この生徒会長、仕事できるのかな? 文化祭関連はまだいろいろといわれてはないけど、大丈夫なのか?

「それから、2つ目。これは1年は聞いておいた方がいい。こっちは8月末に研修旅行の下見に行く」

「確か、京都でしたっけ?」

 深草さんが言う。特に聞いてなかったな。

「そうだ。旅館に下見をして泊まる。2泊3日の予定だから、それまでに夏休みの宿題は済ませておけよ?」

「質問ですけど、2年生の修学旅行じゃないんですか?」

 そんな質問をした僕をやれやれといった表情で小野先輩は見つめる。あなたにそんな目をされるとイラっと来るんですけど。

「修学旅行で行くのはボストンだぞ。高すぎるし、パスポート持ってるのか?」

「持ってないです」

 勝ち誇った顔をする。ちょっと、生徒会長がむかつきます。

「あとは、文化祭とかがちょろちょろとあるが、まあ、それはすぐに終わる。夏休み中の活動予定はこの2つだ。何か質問はあるか?」

 いえ、特にないです。それにしても文化祭はすぐ終わるんですね。視察とかしなくていいんですか。それとも、そこまで仕事はないのか。

「それで、だ。もちろん我ら生徒会員が夏休みの宿題を最終日にやるなんてことはあってはならないわけで、さっさと終わらせること、いいな!」

 僕は結構ため込むタイプだったんですけど。それに。

「あの、まだ宿題のプリント配られてませんけど」

「とりあえず、読書感想文は書いておけ。原稿用紙5枚だ。それは毎年変わらんからな」

 僕の懸案事項を小野先輩は一笑に付す。

「それから、生徒会役員の作文は毎年感想文集に掲載されるから、そのつもりでな」

 え、そんなこと聞いてませんけど。

「そうらしいんだよね。去年は、私も載ったよ。だから、頑張ってね」

 いや、樟葉先輩、僕そこまで得意じゃない。

「というわけで、来週月曜日までに書いてこい。そこでチェックする」

「ちょっと待ってください! まだ本読んでないんですけど!」

 読書感想文があるとは思っていたが、本の選定するまだなんですけど!

「だったら、すでに読んだ本で書けばいい」

「僕基本的にミステリーしか読まないんですけど!」

「私も、そこまでたくさん読むわけじゃ」

 何、パンがなければブリオッシュを食べればいい、なんて乗りで言ってるんですか! あ、ちなみにケーキよりもブリオッシュと訳した方がいい、というのは樟葉先輩からだ。どうでもいいことが頭に出てくるなあ。

「なら、ミステリーでもいいだろう。人の愚かさとか、儚さとかを題材にして。ホワイダニット系のミステリーとか、倒叙ものなら、書きやすいだろう」

 ああ、もうなんとでも言えって感じになる。

「それじゃあ、緋色の研究でいいですか」

「ああ、それならいいんじゃないか。深草も、ほんのアイデアは浮かんだか?」

「あ、はい、一応」

「それじゃあ、月曜日には第一稿を持ってくるように、以上」

 予定がどんどん増えていく。まあ、別に、小野先輩は言ってることは正しいんだろうし、それにも従うつもりだけれど。でも、仕事中に所かまわずイチャイチャするのはやめて欲しい。

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