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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
僕はそんなに神経太くない!
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僕の受難はまだまだ続くらしかった

 それからのことを少しだけ話そうと思う。

 実のところ、恥ずかしながら僕はその後、再び崩れこむようにして倒れ、病院に運ばれたらしい。らしい、というのはその辺りの記憶があいまいだからだ。そこまでは集中力があったのか、覚えているのだけれど、そこから先はとぎれとぎれでしかない。おかげで、最後に来た少女が誰なのか、結局わからなかった。でも、仕方ないとは思う。それに、深草さんを守ることができたのは、すごくうれしかった。

 記憶がはっきりするまでにあった中で、覚えている映像は二つ。検査のため、深夜にもかかわらずMRIを撮られたという無機質な記憶と、明るい昼間、恐らく学校を休んだのであろう深草さんが僕のベッドの横で笑っていたこと。何となく、温かかった覚えがある。

 そして、検査の結果だが、一時的な脳震盪と後は疲労だろうということだった。幸いにして、骨が骨折してたりだとか、あるいは脳出血があったりだとか、そんなことはなかった。その翌日の午後、僕は退院した。樟葉先輩も念のため検査は受けたけど、こっちは元気で金曜日の朝にはファッション包帯だ、なんて言いながら学校に向かって行ったらしい。でも、みんな怪我がなくてよかった。

 そうそう、その樟葉先輩からの情報なのだが、『塔』一味は退学、そして少年院に送られるらしい。やけに体格がよかった男も逮捕されたとか。まあ、当然かもしれない。実際僕は殴られて一回意識を失ったわけだし、深草さんもトラウマになりかけた。樟葉先輩だって結構なけがをしたはずだ。それに、再三にわたる警告を無視して個人的な逆恨みで犯行に及んだのだから、同情する余地もないだろう。僕だって別に聖人君子じゃない。嫌いな人間がいたら、堕ちればいいと思う。

 あとは、気になるのはテストの結果くらいか。深草さんと山科さんは毎度のことながら、1位と2位。そして僕はと言えば、1つ順位を上げることができて、900点ジャストで10位だった。頑張ったかいがあったと思う。まあ、これは月曜日の話なんだけれど。

 そして、通常の授業があった金曜日の6時間目に、2度目の席替えが行われたらしい。山科さんによれば、2人の欠席者、つまり僕と深草さんはそれぞれ、窓際の後ろから2番目と1番後ろになったらしい。これから後ろからの悪戯に怯える日々になるのかな、なんてことを考えてしまう。

 まあ、それはともかく、もうすぐ夏休みだ。正直、高校に入ってからの3か月間忙しすぎた。夏休みくらいは、ゆっくりしたいなあと思っている。

「伏見悠杜、あなたに、言わないといけないことがあります」

 そんな中で、僕の退院に付き添ってくれた山科さんが言う。家から着替えだったりの荷物を取ってきてくれたのも山科さんらしい。

「申し訳ありません。来るななんて、言うべきではありませんでした」

 そう言って、突然頭を下げられて、僕は困惑した。

「お姉さまが安心してくださるのなら、あなたにいてもらった方がよかったです」

「え、えっと、それは結果論だし。それに、山科さんの言った気持ちも、わからなくはないからさ」

 そうだよ。心配になるのはお互い様。それが、友達ってやつだよね。決して恋人なんかじゃないよ!

「たぶん、自分が同じ立場でも、大事な人には安全でいてほしいって思ってたと思うから」

「そうですか。でも、そういうところはいいことだと思いますよ。それに、私が謝るべきことはもう一つあるんです」

 帰り道に、そんな話を聞かされた僕だった。

「あなたを見くびっていました。あなたは確かに、お姉さまの横に立てる人間です。私が保証しますよ」

 その声に、僕はギクッとした。いや、そもそも、深草さんが僕に惚れてるなんて信じてないからね!

 そんな僕の心情を無視してだかどうかは知らないが、山科さんは僕の方を振り返って、珍しくも笑顔で微笑む。

「なので、これから親衛隊として、バックアップしますから。覚えていてください。それから、別の計画もありますから」

 どうやら、一件落着と思いきや、僕の受難はまだまだ続くらしかった。

これにて第3章は完結となります。ここまで読んでくださって、ありがとうございます。蒼原凉です。

さて、次章の予定ですが、夏休みということで私の書きたいシーンを目いっぱい詰め込んでみようかな、なんてことを考えています。あんまり案はないですがw

ぜひ生暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。それでは、これからもぜひよろしくお願いします。

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