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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
僕はそんなに神経太くない!
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閑話 大谷拓都の野望 6

 どうやら、今回も勉強会の成果はあったらしい。いや、あったのかどうかはわからないが、俺が上位三十傑に入れたのだから、それなりに頑張ったというのは言ってもいいことだろう。それに、だ。坂本さんと距離を縮めるという当初の目的は、順当に果たされているといっても過言ではない。

 そう思いながら俺は掲示された表を見上げたのだ。坂本三希、6位、932点。そのはるか下の方には、俺の名前も記されている。大谷拓都、29位、814点。

 毎度のことながらギリギリであと1点のところで載っている俺だが、それでも、結果は結果だ。坂本さんを超えるには、才能という壁があるんだろう。でも、俺は俺のすべきことをして成績を高く保つ。それに、だ。

 きっと、スポーツ系の部活に入って、1年生のエースと呼ばれて、それでも、ここに名を残している奴なんて俺程度のものだろう。きっと、自分をほめてもいいはずだ。

「大谷君、すごいね、2回連続で三十傑だよ」

 昼休み、部活の昼練の方を休んだ俺は、坂本さんと2人でグリーンカーテンに水を撒いていた。しかも、これらはウリ科らしく、身がなるものもあるらしい。最初は坂本さん目当てで始めた園芸部だったけれど、最近は何となく、こうして植物を育てるのも楽しいな、と思えるようになった。

「まあ、坂本さんもすごいですけどね。6位なんて俺には取れません」

「それでも、頑張ったじゃない」

 うれしいことを言ってくれる。最初は、かわいい子だからちょうどいいかな、ってそんな気持ちに思っていた。でも、今は違う。俺は、坂本さんがかわいいから好きなんじゃなくて、坂本さん自身が好きなんだ。そう、自信を持って言える。いつまでたっても煮え切らない伏見と違って、な。

「努力のおかげだよ」

「それも、人任せな部分はありますけどね」

 そう言って俺は笑う。きっと、俺が今こうして坂本さんの横で水を撒いていられるのは幸運だったんだろう。例えば、伏見。いろいろあったらしく金曜は休んでいたが、あいつがいなければこんなに接点は持てなかっただろう。好奇心というのはすごいものだ。それに、勉強に関しては、あいつのおかげでどうにかなっているということもある。あいつ、あれで教えるの上手いみたいだし、それに、勉強会の時に深草さんや変な先輩、カフェの店長にもお世話になったし。

 その思いをしみじみとかみしめる。もっとも、今日俺が大事にしている部活を昼練とはいえ休んだのには理由があるのだが。

 正式な梅雨明け宣言はまだだが、というか梅雨入りしたのかどうか聞いてないが、今日は日差しが強く熱い。時折飛び散る水しぶきが気持ちいいくらいだ。こうしていると、夏だなあと思う。

 そう、夏と言えば夏休みだ。みんなでプールに遊びに行ったり、合宿したり。そんな夏休みに、俺は、坂本さんをデートに誘おうと思ってる。

「坂本さん、俺、夏休みも部活でほとんど忙しいし、水やりだってちゃんと来れるかわかりません」

 普段部活で忙しい俺は、土日もテスト前くらいしか開かない。夏休みといっても、お盆くらいしか空いている日がない。でも、それでも、思い出くらい残したいじゃないか。一夏のアバンチュールを期待しているわけではないが、いや、期待もうっすらとはしているが、俺だって、たまには坂本さんと出かけたいと思う。それに、俺は伏見とは違ってヘタレじゃない。

「でも、お盆くらいだったら空きそうなんです。なので、その日にでも」

 じっと、こっちを見る顔がかわいらしい。そう思う。

「一緒にどこかに出かけませんか? 例えば海にでも」

 さりげなく言うとかは無理だ。どうしても、緊張してしまうし、手に力が入りすぎてホースから水が勢いよく飛び出して俺と坂本さんにかかってしまう。

 けれど、その俺の質問に、坂本さんは笑顔で答えた。

「ええ、ぜひ! また四人で!」

「……あ、はいそうですね」

 ……伏見、どうやら俺もヘタレだったらしい。

本編とは何の関係もない話です。頑張れ大谷君。私は君の恋路は応援するぞ(おい作者、主人公はどうなる……)

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