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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
僕はそんなに神経太くない!
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いたいいたいいたいいたい!

 昨日は大変だった……。

 木野さんが暴走するところまでは読めてた。それでも、竹田に意地悪したいなと思って深草さんと引き合わせたのだから。ただし、樟葉先輩が長居するところまでは読んでなかったよ。あの人、フッ素か何かでできてやしないだろうか。よく化学反応起こして爆発するし。

 そのおかげで深草さんと木野さんが調子に乗るし、僕も巻き込まれてテンションがおかしくなっちゃったし。保健体育を大谷君と頑張ってたところに樟葉先輩がちょっかいをかけてきて……。いや、待って、思い出したくない。

 ともかく大谷君と坂本さん、ごめん。かなり迷惑かけた。僕もおかしくなっちゃった。後フクロウたちもごめん。ストレスかけたかもしれない。はあ、このお店はフクロウ第一で迷惑をかけるお客さんには十条さんの説得という名の腕力で退店願ってるのに……。

 しかしだ、一番の戦犯は、樟葉先輩をあおった十条さんだと思う。青春だね、なんて言いながらいいよいいよって、あなたは止めるべき人でしょうが! 店長として、店員が困ってたらフォローに入るべきでしょうが! なんで煽っていくんですか! ひょっとしてあなたが黒幕なんですか!

 まあ、それはともかく。

 昨日の喧騒とはうって変わって、今日のお昼は静かだった。お客はいない。

「俺も深草さんと一緒に勉強したかったよ~」

 竹田以外。

「そうも言わずに、ほら、こことこことここと、後その辺、間違ってるよ」

「多すぎるわ!」

 うるさいなあ。そんな時刻は13時。お昼時である。竹田が頼んだカレーができるまでの間、僕が勉強を見る羽目になっていた。赤ペンで間違ったところに印をつけていく。真っ赤だ。赤点は取るなよ。後で勉強に付き合わされたくない。

「本当だったら深草さんに優しく教えてもらって、うおぉぉってなるはずだったのに! なんで日付勘違いしてたんだよ伏見!」

「いや、勘違いじゃないよ」

「は?」

 明らかにしちゃおっかな。竹田の間抜けな顔も見てみたいし。

「もともと、土曜日は空いてたけど、そこに後から予定いれたの。ごめんね?」

「コノヤロー!」

 ハハハ。ってやめろー! 脳をシェイクするなー!

 

 

 

 竹田に軽い悪戯をして、僕がひどい悪酔いを味わったその後。

 いや、悪戯ってした方もされた方も傷を負うんだね。知らなかったよ。した方だけど。うん、反省はしてます。でも、二度とやらないという保証はできないなあ。

「はい、おまたせ。カフェ『シャルロット』特製カレーだよ」

 そんなことを思いながら出来上がったカレーを竹田のもとへと運ぶ。辛そうなにおいが漂ってるよ。フクロウたちは非難させたけど。そのまま僕は竹田の前の席へと座る。

「ようやく来たよ。だいぶ待ったんですけど」

「悪い悪い、手間取っちゃってさ」

「にしてもすごく赤くないか」

 そう、これはとても赤い。辛いよ。

「うん、辛いから気をつけてね」

 一応十条さんから水を差し出す。氷入りの冷水でしかもコップ一杯というのが十条さんの悪意というか茶目っ気を感じさせるね。

「まったく。いただきますと。ん、あんま辛くな……」

 一口、二口と口に含むうちに、竹田の表情がゆがむ。主に唇が。

「って痛い! ちょ、これ、まじで、や、やめ」

 よし、悪戯成功。竹田は氷ごと水を飲み干して荒い息を吐いた。おい、水こぼれて服濡れてるぞ。

「ぐは、し、死ぬかと思ったぜ……」

「だから言ったでしょ、辛いって」

「ちょっと、これメニューで出すの?」

 まあ、普通は出さないよね。あるいは普通のカレーと別メニューにするとか。でも、フクロウカフェでやることではない。

「いや、今日のは竹田用の特製カレーだよ。注文受けてから激辛にした」

 僕が親友の竹田だから悪戯で激辛にしてみたらどうかって話をしたら、十条さんが乗り気になっちゃって。そのせいで、さっきまで大きなデパートに香辛料買いに行ってました。そのせいで遅れた。

「お、ま、え、か」

「え、何? なんなの、そのスプーンは? う、嘘だよね? ってぎゃぁぁぁぁ!」

 いたいいたいいたいいたい! 何これ、めちゃくちゃ辛いんですけど! 竹田に突っ込まれたカレーで舌が燃えてる気がするんですけど! な、なに、これ!

 椅子から転げ落ちて床を転げまわる! 僕は辛いのあんまり得意じゃないんだってば! というか、飲み物、早くください! 十条さんも笑いながら悪魔の笑みで見ないで! 誰か助けてくれ!

 

 

 

 さ、散々な目に遭った。

 いや、原因の一端は自分にもあるんだけど……。ともかく、因果応報という言葉の意味をよく理解した一日だったよ。まだ舌の感覚がおかしい……。というか、今日はゼリー飲料しか食べられないかも。ごめんね、お父さん。

 それにしても……。

「それにしても、なんであなたがここにきてるんですか、山科さん?」

 なぜ、ここにいるんだろう。護衛役が付くとは聞いたけど、十条さんがここにいるのに。

「あの後何のコンタクトがないのも変です。一度、メールをハッキングして潰しましたが、その後も動きがありません。今日あたり何かしかけてくるはずです」

 ああ、なるほど……ってハッキング!?

「で、でも、諦めたってことはないんじゃ……」

「いえ、あの手の輩は諦めが悪いので」

「私も、その意見には賛成かな。ストーカーはすごくしつこい」

 個人的には諦めていてほしいんだけど……。でも、この二人の言うことだ。かなり実体験が含まれてるんだろうなあ。

「でも、今日ってテスト前だし」

「だからこそです。そこで怪我をさせ、成績を落とさせる。被害としてはかなり大きくなりますから」

「まあ、安心してなよ。何人いても、私たちで片づけるからさ」

 はあ、そうですか。そうなんですね。もう、いいや。それより、下のヒリヒリをどうにかしてほしいかも。

「と、言ってる間についちゃったね」

「どうやら、私の読みが間違っていたようですね。失礼しました」

「あはは、じゃあ、またね」

 そう挨拶をかわして家に入った。さて、明日からテストだ。最後の一仕上げといきますか。

 

 晩御飯カレーだった……。いたいよ……。

あけましておめでとうございます。今更ですが

今年も蒼原凉と『学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!』をよろしくお願いします。では

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