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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
僕はそんなに神経太くない!
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気晴らししてもいいよね

 何事もなく、週末が開けて月曜日。

 今日から、『塔』の停学が解けるらしい。山科さんから聞いた。なので、できるだけ樟葉先輩と一緒にいるようにという話だった。でもあの人といるとペース狂わされるんだよな。深草さんも一緒でいいから、山科さんが一緒の方が気が楽かも。まあ、そんなことを本人の前で堂々と言えるほど僕は肝っ玉が太くないからその言葉に甘んじましたが。

 ただ唯一救いかもしれないのが、日課の占いの結果は、深草さんが正位置の『愚者』で僕が正位置の『魔術師』だった。深草さんの結果がいいのはいつものことだけど、僕は久しぶりにいいカードが出たよ。この人といると本当に確率論なんてものが存在するのか疑わしくなる。

 それはともかく、僕がほっとして机に寝そべっていると、僕の中学時代からの親友、『悪魔』こと竹田が話しかけてきた。こいつは深草さんにマジ惚れしてるらしく、僕を利用して近づこうとしているのだが、毎度のこと失敗している。それはともかく。

「伏見ー、聞いてくれよ。テスト勉強のせいで頭がぐるぐる回ってるんだよ」

 そういえばこいつは、中学時代から僕と同じくらい成績が良くなかったな。まあ、僕は生徒会のおかげで成績をあげつつあるわけだが。

「そっか、頑張れ」

「なあ、頼むよ。俺に勉強教えてくれよ」

 えー、面倒なんですけど。それに、僕だって深草さんに教えてもらってどうにか上位を維持できそうなだけで、気を抜くとすぐに落ちるし。

「とは言われても、平日は無理だし、土日はバイトあるし」

「じゃあ、バイト先教えてくれよ。そこに押し掛けるからさ」

 こいつまで大谷君とかと同じ発想してるんですけど。

「『シャルロット』って名前のフクロウカフェだよ。でも、日曜日は、大谷君たちと勉強会する約束してるし。土曜しか開いてないなあ」

 そう、僕は再び大谷君に勉強会のセッティングを頼まれたのであった。今回は、深草さんが来ないように日曜日に。なので、必然的に土曜日しか開かないことになるのだが、この時僕は忘れていた。この『悪魔』が、深草さんに惚れていたということを。

「それじゃあ、土曜日で決定な」

「いいけど、土曜日って深草さん来るよ」

「まじで!?」

 あ、しまった。

「深草さん来るのか!? だったら何をおいても行くからな! ひゃっほーい!」

 そう叫ぶと竹田は自分の席に戻っていってしまった。

 

 

 

 何か癪だ。

 そう思ってしまう。竹田が深草さんと何かしらかの接触を持つというのは、別に問題ないはずなのに。でも、道化師な竹田にと思うと何かもやもやする。

 って、違うからね! べ、別に僕が深草さんに惚れて嫉妬してるからそういうことを考えてるとか、そんなわけじゃないんだからね!

 それはともかく、何か癪だ。というか竹田をはめてやりたい。だって、はめても罪悪感が痛まない唯一の相手だし。それに、ここ最近ストレスが溜まってるから、気晴らしをしたい。してもいいよね。

 というわけで、いい案が思いついた僕は早速それを行動に移すべく、昼休みに坂本さんに話しかけるのだった。大谷君よりは、坂本さんの方が通用しやすいと見た。

「あの、坂本さん、ちょっといいかな?」

「あ、伏見君。何? 文化祭のこと?」

「そうじゃなくて、勉強会のことなんだけど、すごく言いにくいんだけど日曜日に用事が入っちゃって、その」

「あ、そうなの。大変だね。じゃあ、勉強会もなしかな?」

「あ、それなんだけど、土曜日は一応空いてるから、そっちにしてもらえないかな」

 そう、その名も、『大谷君たちと竹田を取り換えてしまえ作戦』である。我ながらネーミングセンスない……。

「あ、ごめんね。無理行って押しかけちゃって」

「ううん、僕の方こそ。それで、どうなりそう」

「あ、私は大丈夫だよ。彩里も大丈夫だと思う。坂本君はわからないけど、聞いてみるね」

「ありがとう、坂本さん」

 そう言って坂本さんのもとを去る。坂本さんが物分かりがいい性格でよかったよ。よし、それじゃあ竹田の失望の顔を拝むとしましょうかね。我ながら思考がひどいが許せ。

「竹田、朝の件なんだがな」

「ってことは勉強会か?」

「ああ、それなんだが、日付勘違いしてた。開いてたのは土曜じゃなくて日曜だったよ」

「は?」

 それを聞いた竹田の顔が固まる。

「なあ、それって、深草さんの日付も間違ってたってことだよな?」

「いや、そっちはあってる。間違ってたのは竹田の方だけだ」

「ちくしょう! ぬか喜びさせやがって!」

 涙目で竹田が机を叩く。ハハハ、スカッとしたよ。やっぱり気晴らしって大事だね。

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