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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
僕はそんなに神経太くない!
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いつの間に僕はそんな重要な役職に!

 今日はすっきり寝られた。

 すっきり寝て寝坊した。父親が深草さんが来てるよとたたき起こしに来るまでぐっすり眠ってた。やばい。

 幸いにして、今日は痴漢に絡まれなかったおかげで遅刻だけは免れたんだけど、山科さんに思いっきり足を踏まれた。痛い。でも、深草さんが昨日までとは見違えたくらいに楽しそうで、それは少し、いやとてもうれしかった。

 

 

 

 そして、事件は一時間目、授業が始まってノートを開いたとたんに起こった。

 

 ……ノートがまっさらだ。

 

 完全に忘れてた!徹夜したせいで眠くてノート取ってなかったんだ! やばい、やばい。

「深草さん、あの、ちょっといいですか」

「え、授業中に何、伏見君?」

 ちょっとうれしそうに見えたのは恐らく気のせいだということにして、それよりノートだ。隣の席に座ってるし、事情も知ってるから、一番借りやすい。

「あの、ノートがね、火曜日の分から全くとってなくて、お願い! 貸してください」

「あ、うん。ぬいぐるみ、ありがとうね。全然いいよ、使って使って」

 こうして僕は深草さんからノートを借り受けることに成功したのだが、ノートだけだとさっぱり頭に入ってこない。期末試験は点数落としそうだな。

 って、そんな蠱惑的な笑顔を僕に向けるのはやめて! 惚れてるんじゃないかと錯覚しそうになるからさ! 最近自己暗示かけないと認めてしまいそうになっちゃうよ。僕に惚れてるなんて信じないんだからね!

 一応、五時間目までの授業で授業のあった教科はノートを写せたし、昼休みにも頑張って(この時は山科さんに口に突っ込んでもらうのが役に立った)、一教科写せた。ただ、まだまだあるよ。まじで、大変なんですけど。終わったと思ったらまだ終わってなかったよ。

 けれど、徹夜したことの一番の弊害はそのあと、六時間目のホームルームに訪れたのだった。

 

 

 

「というわけで、文化祭の出し物は1年4組はペットカフェに決まりました」

 前で坂本さんが黒板にペットカフェと書く。そしてその横に文化祭実行委員長と書いた。

「それから、決まってなかった文化祭実行委員長ですが、伏見君がやってくれることになりました、拍手」

「ふえぇぇぇ!?」

 え、何!? 何が起こったの!? というかなんで僕に決まってるのさ! いつの間に僕はそんな重要な役職に!

「悠杜君、とりあえず座って」

 深草さんに言われたけど、僕全く覚えがないんですけど!

「いつの間にそんなことに」

「火曜日に、いいよねって言われた時、いいよって返してたじゃない」

「まじかよ!」

 力なく席に着く。全然覚えてなかったし。というか、そんな意識ないうちに何をしてくれたんだよ、僕は。こんなところでぬいぐるみ作りの弊害が出たなんて思わなかったよ。

「えっと、伏見君、大丈夫? 一応確認しとくけど、引き受けてくれるよね」

「あ、はい、まあ、言ったことですし……」

「よかった! というわけで、委員長は伏見君に決まりました、それじゃあみんな拍手」

 ため息交じりの拍手が聞こえる。それはあれですか、深草さんに絡まれてるのがうらやましいけど委員長はやりたくないとか、そういうやつですか。どうもそうっぽい。

「それじゃあ、前で所信表明をお願いします」

「あ、えーと、この度文化祭実行委員長になりました伏見悠杜です。精一杯頑張るので協力お願いします」

 乾いた拍手が教室内に響いた。

「で、具体的にペットカフェってどんな形でやるの? 伏見君の経験参考にさせてよ」

「え、考えてなかったんですか?」

 耳打ちしてくる坂本さんにこたえる。というか、そこから僕がやるの。

「うん、よろしく」

 まじですか。というかどいつもこいつもはにかめばいいと思ってない? 思ってないよね。

「えーと、今考えてる形としては、ペットカフェと言いつつも、カフェ部分と、動物たちと触れ合う部分と分けようと思ってます。理由はいくつかありますが、一つは、たぶんペットたちはそういうのに慣れてないと思うことと、あとペットたちと触れ合いながら何かを食べることに抵抗がある人もいると思われるからです」

 そう言いながら僕は大きな箱を書いて、それを半分に分けた。そこにカフェスペースとペットスペースと書き分ける。

「あと、飲み物を蓋をつけて持ち運べるタイプの入れ物に入れて、食事はカフェスペースで取ってもらえたらなと。こんな感じで考えてます」

「ということなんだけど、誰かもっといい意見はないかな? ないみたいだね。じゃあこういう方針で決定で」

 坂本さんの一言で方針は決定した。案結構適当に出したけど、それでよかったの? あ、そんな適当でいいのね。はい。

 その後は誰がどんな動物たちを持ってくるかっていう話になった。ペットを飼ってるのが全体の4分の1、つまり10人くらいで、そのうち連れてきても問題なさそうなのが15匹くらいだから、結構様になったのができるかもしれないな。

 

 

 

「でも、なんで僕なんですか!」

 放課後、人のまばらになった教室で坂本さんに問いただす。

「え、だっていいっていったから」

「そっちじゃなくて! どうして僕を推薦したんですか!」

「え、だって」

 そう言ってはにかむ。やめて、坂本さんも深草さんに負けず劣らず素敵だからやめて。無自覚にそうするのはやめてください、お願いしますから。

「伏見君、カフェでバイトしてるでしょ。マニュアル作りとか、そういうこと頑張ってくれるかなって思って」

「でも、僕以外にもカフェでバイトしてる人はいるでしょう?」

「そうなんだけどね、フクロウカフェでバイトしてるのは伏見君だけじゃん。それに、伏見君だったら安心して任せられるなって。未悠ちゃんもいるしね」

 そう言って坂本さんは笑う。やっぱり深草さんが関係してるのか!

 僕の学校生活は、どうやらまだまだ前途多難らしい。そう考えさせられた。

当作品はハーレムものではありません。坂本さんには大谷君というパートナー(?)がいるので。

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