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学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!  作者: 蒼原凉
学年一の美少女が僕に惚れてるなんて信じたくない!
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違わないけど台詞がおかしい!

 深草さんの弁当を食べ終わると、僕は食堂を出た。深草さんも僕の後ろをついてくる。深草さんのことを考えなければ図書室に行くところなのだが、流石に図書室が深草さんの取り巻きでうるさくなるのは嫌なので、どうしようかと悩んでいた。うーん、やっぱり普通に教室で本でも読んでいようか。特に趣味もないし、クラスメイトから嫉妬されてる身なので読書くらいしかやることがない。

 そう思っていると、深草さんに袖を引っ張られた。え、何だろう。そのまま空き教室に入っていく。それを取り巻きの人が恨めしそうな目で見ていた。

 深草さんは空き教室に入ると、僕の手を引っ張ったまま窓枠に足を掛け、そのまま飛び降りた。


 え?


 仕方なく僕も後に続く。いや、ここが一階だったからよかったものの、そうじゃなかったらどうするんですか。

「走って」

 深草さんに手を取られて走り出す、え、ちょっと!

「こっちこっち」

 びっくりした。いきなり走り出されたからちょっと蹴躓いた。でも深草さんはそんな僕の様子を知ってか知らずか、(たぶん知らないと思うけど)走り続けていた。いや、足速! 僕は決して速い方じゃないけど、女子にしてはすごく速い。


 そして深草さんは図書館の前で足を止めた。

「撒けた、みたいだね」

 深草さんが息を切らしながら言う。僕は息切れで何も言えなかった。

「なん、で、ここ、に」

 深呼吸をしながら言う。すると深草さんはいとも簡単に言った。

「え、だって図書館来たかったんでしょ? でも、私がいるとうるさくなる。だったら撒けばいいじゃん」

 そう言って笑った深草さんの笑顔に、不覚にもちょっとトキメいてしまったなんて、絶対に言えるはずがなかった。




 ショートホームルームが終わると放課後だ。今週は僕と深草さんは掃除当番である。2人ともかしらもじが『ふ』だからこういう名簿で決まるものはたいてい同じ班になる。教室後ろの掃除用具入れから箒を取り出して渡した。他の人が黒板をやっている間に、僕と深草さんで適当に床を掃く。

「ねえ、伏見君」

 深草さんが話しかけてくる。僕はあらかた集め終わったのを見てちりとりを取り出した。

「一緒に帰らない?」

「帰らないって言ってもついてくるでしょう」

 深草さんが声をかけた瞬間にクラスの視線が僕に向く。射殺すようね視線がつらいよ。

「それはそうなんだけど、さ」

 なぜか下を向いて深草さんが言う。何だろう、何か新鮮な気がした。恥ずかしがってる? いや、そんなわけないか。

「でも、ちょっと違うわけよ。その、気持ち的に、ね」

 そういうものなのか。僕にはよくわからない。何がどうあれ、好きな人と一緒というのはうれしいものなのではないのか。ってちがーう。彼女は僕に惚れてるわけじゃないんだからね! 大通り一本離れた向こう側に住んでるとか、そういう理由なんだから、たぶん!

 そうなのだ、高校に入って知ったのだが最寄り駅は同じですごく近所なのだ。大通りで学区が離れてるから中学までは別だったけど。

「そうなのか?」

「そういうものなのよ」

 深草さんが言う。本音を言えば断りたい。そうでなくても変な誤解を与えるし、僕が惚れてしまいそうだし。断りたい。断りたいんだけども。

「わかりました」

 ここで断ったらチョークと黒板消しと雑巾が飛んできそうだし。仕方ないよね。どうせ一緒になるんだし、痛い目合うことには変えられないし。せっかく掃除したのを汚されるのもかなわない。

「やった」

 それで深草さんが満足するなら、安いものである。


 ってちがーう! 違わないけど台詞がおかしい! それ、僕が惚れてるみたいじゃないか! 違うからね! 僕はまだ深草さんに惚れてるわけじゃないからね!




 まだって何だ!

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