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一難去ってまた一難

 金曜日から日曜日は、特に何事もなかった。久しぶりにのんびりできた気がする。ああ、そういえば文化祭の企画決めでフクロウカフェなんて言う意見が出てたな。多分却下されるだろうけど。

 土曜日に深草さんが店に来たのもいつも通りで、久しぶりにフクロウたちとのんびりした休日を過ごせた気がする。

 

 

 

 そして今日月曜日。いつものように深草さんや山科さんと合流して、いつものように痴漢を撃退して、いつものように学校に向かう。学校へ着くと、廊下に結果が張り出されていた。すごい、当たり前のように深草さんと山科さんが1位と2位にいる。なんか、感覚麻痺するなあ。

 それで、僕はというと。あった、よかった、11位だ。806点。まあまあ頑張ったほうじゃないでしょうか。とりあえず三十傑に入れてよかった。92位から11位までジャンプアップだよ。すごくない? その分鬼の教官たちが付いてたわけだけどさ。

 にもかかわらず、今日の運勢も悪かった。なんでだ。

 それから深草さんは相変わらずいい運勢しか出さない。これもなんでだ。

 

 

 

 授業でテストの答案を返されたわけだけれど、それに関してとやかく言いたくはない。もうさっぱり忘れたい。まあでも、昼休みに生徒会室に呼び出されて結果を言わないといけないわけだから嫌でも忘れられないんだけどさ。

 そしてやってきた生徒会室。

「よくやったぞFFコンビ」

「その呼び名で決定なんですね」

 小野先輩の台詞に思わず呟く。

「まあ、生徒会役員の6名が全員とも名を残してくれたことをうれしく思う。これで、生徒会の面子を保てたからな。期末テストは文化祭の準備で忙しくなるから、ここで結果を残せてよかった」

 そう言って、小野先輩は一人で満足したように頷く。……訂正、石田先輩もでした。

「そろそろ生徒会は文化祭の準備にかからないといけないのよ。それで、期末テストはどうしても成績が落ちちゃうからね」

 樟葉先輩が言う。そんな不穏なこと言わないでくださいよ。

「まあともかく、今はいい成績が取れておめでとう。打ち上げもやるから、明日の放課後時間空いてるか確認しといてね」

「打ち上げですか?」

「そ、はっちゃけるわよ。ノンアルコールで!」

 樟葉先輩の台詞に深草さんが反応する。って、アルコール入れることがあるんですか! 普段から酔ってるあの二人は別として。

 まあ、でも、打ち上げってなんだか楽しそうだね。

 

 

 

「伏見悠杜、ちょっといいですか」

 帰りしな、深草さんと帰ろうとした僕を山科さんが呼び止めた。

「あ、じゃあ私も」

「すいません、私と伏見悠杜の二人だけでいいですか」

 割って入ろうとした深草さんを山科さんがきつめの声で止める。

「あ、はい」

「それじゃあちょっと来てください」

 そう言って僕は校舎裏へと連れていかれる。何!? 僕カツアゲされるの!?

「10日後、何が待っているか覚えていますか」

 到着するなり深草さんがいきなり問いただす。え、10日後も何も僕何も知らないんですけど。何も聞かされてませんけれども。

 僕が戸惑っていると深草さんが溜息交じりに言う。

「はあ、これだから。いいですか、10日後はお姉さまの誕生日です」

 え、深草さんの誕生日って10日後だったんだ。でも、それがどうかしたんだろうか。

「本当に何もわかってないようですね。いいですか、10日後が誕生日です。そして誕生日といえばプレゼントです。お姉さまは何も言わないかもしれないでしょうが、本心では必ず伏見悠杜からのプレゼントを欲しがります。必ず。だからそれを用意しなさいということです。その用意を手伝うということです」

 一気に言う。ちょっと待って、僕がプレゼント買うこと前提なの!? まあ、別に友達にプレゼント送るくらいは普通かもしれないけどさ。

「は、はあ。それで、僕は何を買えばいいんでしょう?」

「買うわけじゃありません。作ります」

「へ?」

 思わず間抜けな声が出る。作るって言わなかった、今作るって!

「はい、作ります。きっと深草さんは手作りのプレゼントを欲しがるでしょうからね。それを私が手伝うということになります」

 ちょっと待って、いろいろ決定済みなの!? 僕が何かを作ることが!?

「で、肝心のものになりますが、お姉さまはフクロウが大のお好きです。なので、そのフクロウのぬいぐるみを作ることにしましょう。たしか、アカスズメフクロウの番がいるそうなので、それの片方を私が作ります。もう片方を作ってください」

 そこまで決まってるんですか!? 僕に何をやらせるつもりなんですか!? それにぬいぐるみだって!? そんなの僕ができるわけがないよ!

「どうかしましたか」

「いや、あの、僕裁縫無理なんですけど」

 そのせいで家庭科3しか付いたことないんだからね! 料理は得意なのにさ!

「安心してください。私が教えます。なので、これから毎日、放課後私の家に来なさい」

 そう山科さんは言い放った。中間テストが終わってのんびりできると思ってたのに! 一難去ってまた一難だよ……。

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