深草未悠 フクロウカフェだよっ!
今日の私は気分がいい。
なんてったって今日は週末。土曜日である。一日中自由の身である。いや~、ゆとり教育最高!
今日は念願のフクロウカフェに行くのだ! だからテンションもいつもより高いのだ。
いや~、なんてったってフクロウだよ、フクロウ。あの愛くるしい瞳に鋭いくちばし、すごくかっこいいじゃん! そしてどこか少し抜けてそうなあの表情、かわいいじゃん! フクロウかわいい! 最高!
実際私の部屋には大量のフクロウがあるからね。ぬいぐるみとか、クッションとか、抱き枕とか! シャーペンもフクロウ柄のを使ってるし、スマホの中にはフクロウの写真が大量に入ってるよ!
でも私はフクロウに触ったことは無いのです。飼いたいってお母さんに言ったら、世話が大変って断られた。むう、私はフクロウが大好きなのに!
あ、でも今年の誕生日に買ってもらう予定だ。
というわけでやってきましたフクロウカフェ、その名も『シャルロット』。事前に情報は調べといたからばっちりだよ。営業時間は午前11時から午後6時。お金は1時間ワンドリンクつき1000円、3時間なら2500円。その他軽食も諸々出してもらえるけど、そっちは別料金だそうだ。
そしてフクロウたち。アカスズメフクロウのアルフレッドに、シロフクロウのソフィア。他にもメンフクロウだったり、モリフクロウだったりいろいろ。挙げだしたらきりがないよ! そしてもちろん店名の由来になったシャルロット。なんと左の翼に桜色のハートマークの羽が見えるのです。なんかすごいかわいい!
にしても知らなかったな、こんなところにフクロウカフェがあったなんて。近くにあったんなら、もっと早くこればよかったよ。中学校と真反対にあるから仕方ないんだけどさ。まあ、気にしても仕方ない。今日、ようやくフクロウに生で触れられるのだ。これでにわかファンと呼ばせずに済む!
今は午後の三時前。お昼ごはんは済ませてきたよ。さあ、『シャルロット』へレッツゴーだ。
「いらっしゃいませ」
店員さんが微笑む。って、クラスメイトの占い君じゃん。
「い、一名さまでしょうか」
ぎくりとしたみたいだけど営業スマイルに戻る。バイト先で私みたいな美少女のクラスメイトと出会ったらびっくりするよね。しかも、普段とテンションが全然違うし。
「はい」
「当店のご利用は初めてでしょうか」
「はい」
「では、まずシステムを説明します」
「あ、調べて来たし大丈夫。3時間コースで」
説明しようとする占い君――もとい伏見君をさえぎって言う。システムは知ってるし。
「……わかりました。では最後に、フクロウに関しての注意です。まず、フクロウに食べ物は基本的に与えないでください。料理の中には食べられないものもありますので。それから、基本的におとなしいですが、大声で騒がれるとフクロウは興奮しますのでなるべくトーンを落としてください。フクロウをなでるときは、手の甲で、こんな感じで首筋の後ろをなでてあげるようにしてください。慣れていない人だと、フクロウは嫌がります。理解していただけましたか」
「はい」
そうか、そうやって触るんだ。知らなかった。
「それでは中へどうぞ」
そう言って伏見君はカーテンを開けた。
さあ、念願のフクロウカフェだよっ!




