とんでもない美少女がいた
僕のクラスにはとんでもない美少女がいる。深草未悠、僕の席の前に座る少女だ。初めて会ったのは入学式のときで、すごくかわいいなと思った。でも日陰者の僕には関係なんかあるはずがないし、別に後ろの席になったのも名簿順だったし。そもそも、僕は友達と普通に高校生活が送れたらいいなとしか思ってなかったから、深草さんの印象も、すごくかわいいということぐらいしかなかった。ああ、まあ、憧れはありますけどあんまり興味ない。
竹田は鼻の下を伸ばしてるけど、僕は色事に巻き込まれたくはないし、前の席だってことで話しかけてもあざといだけだって思われるくらいだし。別に、関わろうとしなくてもいいよね。
あ、あともう一人、山科京香さんもすごくかわいい。まあ、山科さんは深草さんにぞっこんだから、誰も入り込む余地ないと思うし。
そんなこんなで、何かと話題の僕のクラスだけど、僕自身は平穏無事に、まあ、竹田をたしなめながら過ごしているのだった。
「竹田、弁当食べよう」
昼休みになって声をかける。すると竹田はにやけきった顔でこう言った。
「いや~、深草さんが食堂行くって言うし、俺も行こうかな~なんて。そんじゃ」
そう言って弁当箱を持ってふらふらっと教室を出て行った。仕方ないやつ。せっかく一日目なんだから頑張って弁当作って持ってきたのに。どうしよう、これ。
「伏見君、ひょっとして一人?」
同じ中学だった坂本さんから声をかけられる。坂本さんもそこそこかわいいよね。面倒見もよくて今朝のホームルームで学級委員に選ばれていた。孤立しないようにこうやって呼んでくれるのってすごくうれしい。
「男子ほとんど行っちゃったから、女子のほうが多いけどごめんね」
坂本さんはそう言ったけど、実際そうでもなく、男女比3:7位だった」
「伏見君って部どの部活はいるか決めてる?」
「俺はバスケに入るぜ。伏見も入らないか?」
大谷君はバスケに入るのか。僕は運動神経あんまりよくないしな。
「僕はバイトも決めたし、運動部は、ちょっと、ね」
そう言う。中学校でも特に何もしてなかったし。特に考えてない。
「ねえ、それじゃあ写真部に入ってくれない? 部員割れそうなの。名前貸すだけでもいいから」
木野さんが言う。え、マジですか。
「じゃあ、私も園芸部作るから籍貸してよ。あと3人必要なんだ」
坂本さんも僕を誘う。
「え、兼部ってできるんですか?」
「うん、できるよ。運動部だとできないところもあるけど」
そう言った坂本さんの台詞に大谷君もうなずく。
「え、じゃあ、入ろうかな」
「やった」
木野さんのかわいらしい声と共に、僕の平穏な日常は過ぎていくのだった。
翌日に地雷を踏むとも知らずに。
加速度的にブクマが増えてます! みなさんありがとうございます!
坂本さん、大谷君、木野さんの三人は特に本編に関係する予定はありません。あしからず
17/10/13:席の位置を訂正しました




