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深草未悠 伏見君の第一印象

今回から第二章です

あとサブタイトルにエクスクラメーションマークつけるの疲れたのでやめます

 県立四宮(しのみや)高校入学式。そう書かれた看板の横を通っていく。今日から新しい高校生活が始まる。けれども私の心は晴れないでいた。どうせまた、中学のときと同じようなことになるんだろうなと思いながら。何か面白いことでも起きないかな。そう思ってはみるけれど、周囲の人の私を見る視線はいつも同じで、少し飽き飽きする。中学の時からそうだったから。

 私は美人だ。美少女だ。自分で言っても恥ずかしくないくらい。その上成績優秀、品行方正。まあ、完璧と言い換えても問題ない。そんな私に人が群がろうとするのは自然の摂理で、仕方ないと割り切れてはいるんだけれど。でも、やっぱり私を見る視線は歪んだ所有欲のような、不純なものにしか見えない。それに不快感を見せるのはしょうがないよね。変なやつらは大嫌いだし。

 本当のことを言うなら、私はもっと頭のいい進学校でも余裕で合格できた。でも、この四宮高校にしたのは、こっちのほうがカリキュラムが面白そうだったから。進学校特有の堅苦しさとかもないし、どっちにしろ勉強ができるなら、大差なんてないしね。それから修学旅行がボストンだっていうのもある。一応世界最高学府には少しは興味はあるので。でも、人間はどっちもどっちで、相変わらず私を見つめる視線から嫌悪感を感じる。

「深草未悠さん、一目惚れしました。付き合ってください」

 入学式が終わってすぐに告白してくるやつ。新入生代表の挨拶が終わったと思っていたらすぐこれだ。

 確かに私は美少女だけどさ、一目惚れするのもわからなくはないけどさ、でも、一目惚れってことは外見しか見てないじゃん。この勇気だけの男子君と出会ってまだ数時間だよ。内面も見ようともせず、外見さえよければそれでいいわけ? そんな人お断りだね。ていうか視線がいやらしいし。下手したら体目当てだって可能性だってある。

「お断りします。誰かと付き合う気はないので」

 愛想笑いを浮かべて言う。私の場合、これだから誤解されがちなんだよね。まあ、京香が楯になってくれるからいいんだけど、事情を知らなきゃ絡みたくもなるか。

 まあ私なら選び放題なんだろうけど、でも正直なところその人がどんな肩書を持っていたとしても1人としてとらえられない。興味を抱けない人と付き合うのは何かおかしい気がするし。それに、いろいろとあって人を好きになるっていう感覚がよくわからないんだ。

 勇気だけの男子君(名前は知らない)をそのままにして、私は教室へと向かった。




「それじゃあ自己紹介をします。まず僕はこの1年4組の担任になった鳥羽臣介(とばしんすけ)です。社会を担当します。よろしくお願いします。じゃあ、次、石山(いしやま)。自己紹介と、何でもいいから好きなものを頼む」

 そう言って自己紹介が始まる。でも別に、特に面白そうだな、と思う人はいないか。京香ちゃんは昔からの知り合いで結構助かってるし。

「深草未悠です。好きなものはフクロウです」

 そう言って座る。あちらこちらから歓声が上がった。わかってるよ、どうせ私のことを美少女だと思ってるんでしょう。

 ただ、冷たい目をしてるとも言われる。わかってる。興味の持てないものに暖かい目はできないから。

 私だって最初からそんな目をしていたわけじゃない。だけど、私の周りがプログラムのような対応をするようになって、興味を抱けなくなった。それでも人は集まってくる。高校に入れば何か変わるかもと思っていたけど、実際のところ何も変わりそうにない。

「伏見悠杜です。好きなものはタロット占いです。占ってみたい人は声かけてくれたらやります。よろしくお願いします」

 そう言って後ろの男子は座った。占いか、比較的変わった趣味だな。暇だったら頼んでもいいかもしれない。それだけ思って、私はその人のことを忘れた。

 容姿は中の上から上の下、だけどなんか冴えない人。それが伏見君の第一印象だった。

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