表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/181

深草未悠 悠杜君がおかしい

こっちも更新しますよ(頻度は落ちるけど)

 悠杜君がおかしい。

 そう確信したのは、3学期の初登校の日だった。

 冬休みの間に遊びに行こうねって話してたのが行けませんってメールが来たから風邪でも引いたのかなって思ってた。だから、その日に大丈夫なのか聞いておこうと思って。

 だけど、いつものように待ち合わせ場所に現れたのは、京香だけだった。


「あれ、悠杜君は寝坊?」

「それが、早起きしてお弁当を作って先に行ってしまいました。用事でもあったのかと。何か聞いてますか?」

「ううん、聞いてない」

 そんな会話を交わしたのを覚えてる。

 でもまあ、教室で会える。そう思っていたけれど、鞄はあっても悠杜君の姿は影も形もなかった。図書室とか生徒会室も探しても全然いない。朝のホームルームギリギリになって帰って来たけど、占ってもらってる時間もなかった。

 それだけじゃない。移動教室とかも一番最初に教室を飛び出していっちゃうし、お昼ご飯を一緒に食べようと誘っても、ごめん用事があるからと断られた。英語のペアワークも竹田君と組んでる。前までは私か京香と組むことが多かったのに。

 それが、何日もだ。当然気づかないわけがない。避けられてるんだって。

 生徒会とか、シャルロットで事務的な話ならする。仕事は頼まれたこときちんとやってるみたいだし、注文もきちんと取りに来てくれる。だけど、それ以上のことを話したくないみたいに、それだけ済ませると逃げるようにしてその場を去って行ってしまう。

 デートに誘っても、なしのつぶてだ。


 せっかく、恋人関係になったのに。私が恥ずかしがり屋だから、千秋さんの作戦に乗って悠杜君から告白してくれるように仕向けたのに。まあ、途中じれったくて私からというのもよく考えたけど、それでもずっと待ってたのに。

 なのに、せっかく恋人になって1カ月もたたないうちに避けられてる。なんで? どうして?


 私何かまずいことやったのかな? そう思ってその前後の行動を思い出してみるけど、特に何か変なことをした覚えがない。そりゃ、葵ちゃんにちょっとは嫉妬したけど。だけど、それくらい彼女として普通だと思うんだけど。

 何か変なことしたのか尋ねようにも、本人には避けられてるし。

「ねえ、京香? 何か思い当たることってある?」

「そうですね、決定的におかしくなったのは確か3日だったと思うんですけど……」

 3日か。その日は私お昼で帰ったんだよね。だけど、その時は何かあったわけじゃなさそうだし。駅伝で応援してたチームが負けたとか、そんな理由とも思えないし。あとは従姉のお姉さんが帰ってくるらしかったけど、まさかそれ?

 う~ん、分かんない。


 本人に直接問い詰めたいんだけど、逃げられたらショックだし。どうしよう。

 そんなことを悩んでいる間にも、どんどん日が近づいてくる。節分はもうすぐだし、デパートにもチョコレートが並び出したし。バレンタインまでには解決したいけど。




「というわけなんですが、どうしたらいいんでしょうか?」

 そういうわけで、千秋さんに相談に来たんだけど。

「それは、私には聞かない方がいいと思うよ」

 困ったような顔をしながらそう言われる。最後の頼みだったのに。

「私は、その問題においてはなんの助言をすることもできないんだ。ごめんね」

 私はほとんど千秋さんに指示を仰いできたと言うのに。はあとため息が漏れる。それを見た千秋さんが取り成すように言った。

「まあ、私は未悠ちゃんより前から悠杜君のことを知ってるからね。現状わかることだけを伝えておくよ」

 黒い笑みを見せながら。

「悠杜くんが避けるようになった理由は簡単。過去のトラウマだよ」

「トラウマ……、ですか」

「そう。それに関しては私の口からは言えない。それから続きだね。今現在、未悠ちゃんにできるのはなんだと思う?」

 それは……。問い詰めることだろうか。でも、もし逃げられてしまったら。私はきっと立ち直れない。

「未悠ちゃんは悠杜君が入学した当初のことを覚えてる? 中学時代の悠杜君はもっと酷かった。誰にも心を開かないような、そんな感じだったよ」

 ゴクリと唾を飲み込む。それは。確かに、ちょっと怖くはあったかもしれない。

「多分、一年生の間。それまでに解決できなかったら、悠杜君は再び心を閉ざすよ。そして、もう二度と心を開いたりしない。恋人を作ることも、誰かを好きになることもない」

 そんな。それは、嫌だ。

「嫌われたくないなんて言ってる暇はないよ。行動しなければ、離れていくだけだ。それが嫌なら、押し倒せ」

 ……押し倒す!?

 そう思ってると、千秋さんは笑った。遠い目でどこかを見つめる。

「まあ、これは私の意見だよ。何もできずにただ事態を悪化させた馬鹿の戯言と思ってくれて構わない」

「千秋さんは、どうして?」

 あっと口をふさぐ。そんな疑問にも、律儀に答えてくれた。

「簡単だよ。私がサイコロを投げたからだよ」

 その意味はわからなかった。


 だけど、これだけは言える。私はきっちり、悠杜君と話をしなければならない。

加乃「ねえ、作者?」

作者「なに?」

加乃「どうして、未悠ちゃんは私に聞いてくれないの?」

作者「そりゃ、全部知ってるから話が終わっちゃうからね。ラブコメにはすごく使いやすいキャラだけど陰謀が絡むと全部ぶち壊しちゃうから登場させにくい」

加乃「酷い! 私お気に入りキャラだって言ってたじゃん!」

作者「そうだよ。そう言うわけで分身が別のところで活躍してるから許して」


加乃「許さん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ