表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/181

僕だって、そう……?

遂に、茜さんが登場です!

「お兄ちゃんみっけ」

「うん。後、誰が残ってるかわかる?」

「加乃ちゃんがまだ見つかってない」

 父さんが再婚してだいぶ模様替えをした。なので、せっかくということで葵とかくれんぼをしている。生徒会の4人と、葵の5人だ。今日は茜さんも来ることになっているが、お昼ご飯は先に食べておいてと言われたから夕方になるみたいだけど。

 ダメだな。葵のことを変に意識しちゃってる。葵はずっと同じように接してくれてるんだけど、余計なことを言ってしまった負い目で、そのまま見られなくなってた。振られたなんて、自分の心の整理がつくまでは人に話したいことじゃないもんな。

「未悠さんも京香さんも見つかったのか」

「まあね。どこに隠れてたの?」

「押入れの奥」

 未悠さんとそんな会話を交わす。さて、加乃先輩はどこに隠れてることやら。

「私が見つけたんだからね」

 そう言って、葵が抱きついてくる。一応、恋人の前なんだけどな。まあ、振られたってのをバラしちゃった負い目もあるしなすがままにされてるけど。

「ほら、葵。ラスト加乃先輩探しに行くぞ」

「うん」

 手分けして探すべく、葵とあちこちをみて回る。未悠さんは京香さんとペアだ。

「どこまだ探してないかわかるか?」

「ほとんど全部探したよ? お兄ちゃん結構待ってたでしょ」

 確かに。かなり暇でスマホでネットサーフィンをしてたところ明かりが漏れてたなんていう間抜けなオチだったからな。そんなことを考えながら洗面所とお風呂をみて回る。加乃先輩だったらひょっとしてお風呂の底で身を沈めてるかとも思ったがそんなこともなかった。物置やら、外の車の下やら隠れていそうな場所を探す。加乃先輩のことだ。突飛な場所に隠れていてもおかしくない。そう思っていた。

 だけど、加乃先輩はどこにも見つからなかった。

「そっちは加乃先輩見つけた?」

「ううん。ほぼ全部探したと思うんだけど……」

「こっちもだ。見当たらない」

 家に帰ったなんてことはないはずだ。遊びのルールはしっかり守る人だしね。だからどこかにはいるはずなんだけど。

「仕方ない、最終手段にしますか」

「最終手段? それってどんな?」

「諦める」

「え!?」

 未悠さんが驚く。と言っても本当に諦めるわけじゃない。あくまでも振りだ。

「母さん、今日の昼ごはんは何か決めてる?」

「特に決めてないけど。おせちも食べ切っちゃったし」

「じゃあ、リゾットでも作っていいかな?」

「作ってくれるならお任せしていい」

「オッケー。それじゃあ買い物行ってくるよ」

 母さんとそんな会話を交わす。そして、未悠さんたちに大声で叫んだ。

「それじゃあ、昼ご飯の買い出し行ってくるから、ちょっと留守にするね」

「あ、私もついて行きます!」

 葵が元気よく手を挙げる。食いついた。

「それじゃあ、せっかくだからみんなで買い出し行こうか」

 作戦その一。ここまで探して見つからないなら、加乃先輩は普通に探しても見つからないところにいる可能性が高い。なら、僕たちが見つけるんじゃなくて、先輩の方から出てきてもらえばいい。

 そういうわけで、家を出てきたんだけど。加乃先輩は出てこなかった。仕方がない、次の作戦に移行するか。

「ところで、葵もうちょっと離れてくれない? くっつかれると流石に歩きづらい」

「えー、いいじゃん」

「よくないって。スーパーやってないから遠くまで行かないといけないんだし、未悠さんもいるんだしさ」

「ちぇっ」

 葵にも従兄離れして欲しいところだ。従姉のトラウマに苦しめられた僕が言うことでもないけどさ。



「いい香りだね」

 ローリエとかターメリックとか香辛料結構入れたからね。あと、トマトの香りも食欲をそそる。

 食い意地が張ってる加乃先輩のことだ。いい香りが漂って来たら諦めて出てくると思ったんだけどな。

「完成です! さ、暑いうちにみんなで食べちゃおう」

 そんなことを言いながら食卓へリゾットを運ぶ。洋風の米が食べたくって。まあでも、加乃先輩が出てこないなら、次の手段だ。

「あれ、加乃先輩は帰っちゃったのかな。じゃあ、仕方ないか。ちょっと量多いけどいないなら食べちゃいましょう」

「いるよ!」

 うわ、びっくりした!

 そりゃまあ出てくるだろうとは思ったけど。だけどいきなりリビングに現れるなんて!

「いったいどこに隠れてたんですか!」

「可動式本棚の裏だよ! というか、ちゃんと見つけてよ! 鳴らしてもいいように携帯持ってたのにさ。何時間待たされたと思ってるの」

「それは、すいません」

「諦めるって聞いた時は心折れそうになったんだからね」

 いや、それはそういう作戦なんだけど……。

「それにしても、よくこんなところに隠れられてましたね。私だったら思いつかない」

「まあね」

 加乃先輩が隠れていたのは40センチ四方くらいの小さなスペースだ。可動式本棚の一番手前のレーンで目張りしてたから全然わからなかった。

「それじゃあ、悠杜君の手料理、楽しみだなあ」

 そんなことを言いながら抱き着いてくる。寂しがって泣いてるふりしても無駄だからね。




 ピンポーン

「あ、茜さん来たみたい。僕行ってくるね」

 夕方、未悠さんと加乃先輩が帰った後ようやくインターフォンが鳴る。のんびりとプレイしていたトランプを置いて玄関へ出迎えに。

「ただいま」

「茜さんもお帰り。久しぶりだね」

 見たところ、茜さんは相当疲れてるみたいだった。仕事大変なのかな?

「遅くなったけど、茜もあけましておめでとう。これで、全員揃ったな」

「あけましておめでとう。宗介さん再婚したんだって? おめでとう」

 そう言うなり、茜さんはバックを投げ出した。

「お姉ちゃんおかえり。私はお兄ちゃんに構ってもらってたよ」

「そう、よかったじゃない」

 葵が後ろから飛びついてくる。もうちょっと、おとなしくなろうな。

「ごめん、ちょっと空き部屋で休んでいい?」

「まあ、疲れてるなら無理はしない方がいいんじゃないかな。夕飯の時になったら呼ぶから。今夜はすき焼きの予定にしてるからね」

「わかった」

 そういうなり、体を引きずるようにして2階へ向かう。

「今僕の部屋になってるから、ちょっと片付けるね」

「好きにして、私は寝るから」

 そう言うなり、茜さんは僕のベッドで寝転がる。特に意識してないみたいだ。僕もいろいろと見つかりたくないものを片付けようかな。

「仕事、そんなに大変?」

「まあね。だけど、そのせいだけじゃないけど」

 ふと何も考えずに尋ねるとそう返してくれた。寝ているわけではないらしい。

「何かあったの?」

「別に……。ただ元カレに会っただけ」

 ドクンと、心臓が跳ねる。茜さんの昔の彼氏。浮気した人で、つまり僕のトラウマの元凶。

 やばい。地雷踏んだかも。何か明るい話題明るい話題。そうだ。

「そうそう、実は、僕恋人ができたんだ。クリスマス前なんだけどね」

「それって、葵?」

 僕は、茜さんに背を向けていた。そのせいで、表情に気づかなかった。

「いや、深草未悠さんっていう、同じクラスの子」

「やっぱり、あんたもおんなじなんだ。男なんて、全員二股かけるやつばっか」

「え……!?」

 今なんて!?

「葵にデレデレしちゃってさ。あれ、葵が意識してないとでも思った? 辺に期待かけてなんて残酷なだけだから」

「あ……」

 そう言えば。葵は確かに僕にしか抱き着いてなかったような。それって、ひょっとして好きだから? 彼氏に振られて、フリーになったから?

 そう言えば、未悠さんと付き合ってるって葵には言ってないような気がする。

「どうしよう……」

 最低だ。未悠さんと付き合っておきながら、葵に気を持たせて。しかも、デレデレしてるなんて。

 茜姉を見やる。目が合った。はっとしたような顔をする。

「あ、悠杜ごめん。ちょっと言い過ぎた。いくら元カレと会ってやさぐれてたからって、八つ当たりしちゃった。さっきのは忘れて」

 そう言うなり、毛布にくるまってそっぽを向いてしまった。


 手を見つめる。何も考えてなかった。ただ、未悠さんと付き合えてうれしいとしか。だけど、それって、他の人から見たら? 茜姉の元カレと同じ、浮気者? 僕だって、そう……?

 そう考えると、手が止まった。そして、その考えが離れなくなった。



 その日から僕は笑えなくなった。

茜「この浮気者! ほかの作品に浮気しやがって!」

作者「ごめんなさいごめんなさい。ほんの出来心なんです!」

加乃「出来心で済んだら、警察は要らないの!」

未悠「最低ですね。もっと情熱を持ってください」

作者「今も同じようにみんな愛してるから!」

京香「余計な口を叩くのはこれですか。そんなもの、処分してくれます」

作者「ちょっと待って、助けて茜さん! 登場させたじゃない」

茜「そうね。さて、何か言い残すことはあるかしら?」

作者「そ、そんな! あ、新連載『先輩、それはズルいです』こと『先ズル』をよろしくおねがいしまうわああああ!」


悠杜「悪は滅びた」




新しい作品もよろしくね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ