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クリスマスは騒がしくなりそうだ……

最終章です。

え!?

 顔がにやけてしまう。

 ベッドに寝転がっても、いつの間にかにへらって顔が笑っている。

 まあ、そりゃそうか。だって、僕は昨日未悠さんと恋人同士になったのだ。あの、美少女の未悠さんと。散々時間がかかったけど、それでも告白して、結ばれたのだ。にやけずしてどうしろと言うのだろう。

 これから、どうしようか。いろんなことしたいけど。デート行ったり、また旅行したり、みんなで遊びに行ったり。想像が膨らんで笑みを抑えきれない。

「気持ち悪いです。早くその顔をなんとかしてください、兄さん」

「酷くない!?」

 部屋に入ってきた京香さんに辛辣な台詞を投げかけられる。

「ついに、未悠さんと恋人関係になったんだよ!」

「知ってます」

「あの未悠さんだよ! 学校内にもファンが何人もいる!」

「それも知ってます。というか私がそこの№2です」

「そんなすごい人と付き合ったんだよ? これでにやけずにいられるかって話だよ!」

「にやけずにいてください。同じ屋根の下にいると思うと不愉快です」

「そんな殺生な!」

 あれ、僕ちゃんと順序立てて説明したよね?

「あなた以外にお姉さまにふさわしい人がいるとは思えませんが、だからと言って、これは予想外でした」

 だけど、京香さんはやれやれとかぶりを振る。

「あれ、なんか疲れてる?」

「有体に言えば後悔しています。こんな人間にお姉さまを任せて果たして本当によかったものなのかとも」

「大丈夫だよ! そんな変なことはしないから!」

 デートでどこ行こうかとか、そういうことを考えてただけだって。でも未悠さんかわいいし、話も合うから飽きないだろうし。


 ……なんか忘れてる気がするけど、まあいっか。


 やばい、顔のにやけが止まらない。今なら少しだけ小野先輩と石田先輩の気持ちがわかる気がする。恋人がいる、それだけでこんなに気分がウキウキするなんて。

「ですが、くれぐれも調子に乗らないように……」

「わかってる、わかってるって」

 にやける顔を押さえつける。うん、ダメだ。

「その様子では、私のちゅ……」


「ドーン!」


「ふぇっ!? あれ!? はあぁぁぁあ!?」


「やっほーゆーくん! そしてただいまー!」


 ドアが吹き飛んで。

 え、何であなたこんなところにいるの。というか、鍵はどうしたのとか、何でハイテンションなのとか、というか、まだクリスマス終わってないし。

「加乃先輩!? バンクーバーにいるはずじゃなかったんですか!?」

 加乃先輩が両手を挙げてそこに立ってた。いつも通り元気そうで目がらんらんと光ってる。

 帰ってくるのは年末って聞いてたのに。なんで、そんなに早く帰ってくるの!? 僕の安息の日々が。

 というか、やばいじゃん。未悠さんと付き合ったなんてしれたら、絶対にからかわれる。

 顔が青ざめるのが分かった。

「いや、思ってたより簡単に免許が取れたからさ、早く帰って来たの。やっぱり日本はいいなあ。空港でまず親子丼と天ぷらそばとカキフライ食べたよ。おいしかった」

「食べすぎだろ」

 いや、この人はバカなんだ。それ故に胃袋が無尽蔵なんだった。よく知ってるじゃないか。

「まあ、そういうわけで帰ってきました。これで、悠杜君は私の彼氏だね」

「は……?」


 思考が停止した。

 えっと、ちょっと待って。それって一体どういうこと? あの、そんな話全くしてなかったと思うんだけど……。

「私が帰ってくるまでに告白しなかったら私の彼氏にするって言ってたでしょ? そういうこと」

「ちょっと待って! 年末までって話だったはず!」

 そういう話は合ったけど、期限が違うじゃないか!

「たった今変更しました。元々私が帰ってくるまでってつもりで年末って言ってたし。早めに帰って来たから期限早くしてもいいよね」

「よくない」

 そんな風に締め切りを前倒ししないでよ! 混乱する! というか、自分で言ったことくらい守って。

「まあ、まあ。それにクリスマス独り身も寂しいでしょ? というわけで、加乃おねーさんが彼女になってあげる」

「いやです」

「そんな、告白しなかったらって話だったじゃん!」

 いや、告白しなかったらも何も、ねえ。

「いや、僕ちゃんと未悠さんに言いましたから。付き合ってくださいって。オーケーもらいましたから」

「またまた、そんな嘘ついて。ツンデレさんなんだから~」

 そう言って、加乃先輩は僕の頬をツンツンする。あれ、これ完全に信用されてない?

「本当ですからね?」

「嘘ついてもお姉さんにはお見通しだよ?」

 なんてことを言いながら、僕を見つめてくる。僕も無言で見つめ返した。

 加乃先輩の様子がおかしくなる。あれッというように。ちょっと混乱しているようだ。僕が嘘をついてないんじゃないかと思いだしたらしい。堂々としてやる。

「え、あれ、京香ちゃん? 悠杜君が言ってるのって、嘘だよね? そんなこと、まだやってないよね?」

 縋るように京香さんに目をやる。それを、かぶりを振って否定した。

「マジで……」

「残念ながら。昨日、京都で告白してきたらしいですよ」

「んな……!?」

 加乃先輩が言葉を失う。

 やったぜ、久しぶりにやり込めて……

「だったら、バンクーバーでアランの告白受けてくればよかった!」

 そっちかよ!

「ちょっと、悠杜君どうしてくれるの! 初めての告白だったのに振っちゃったじゃない!」

「知りませんよ! というか、いつものことでしょう!」

「そんなぁ……」

 ガクッと、加乃先輩が肩を落とす。どうやら相当ショックだったらしい。床にのの字を書いている。

「悠杜はヘタレだから、最後の最後まで告白しないと思ってたのに。だから、いま帰国すれば悠杜を彼氏にできると思ってたのに。ようやく彼氏ができると思ってたのに。というか、同時に2人と付き合うとか不義理だからアラン振っちゃったし。今更付き合ってなんて恥知らずなまねできないし。彼氏欲しいのに……、私も青春でイチャイチャしたいのに……」

 なんか、すいません。




「そうだ、クリスマスパーティーをやろう!」

「復活はや!」

 一時間もたってないぞ!?

「私は未来に生きる女だからね! そういうわけで、いろいろよろしく!」

 ……ぶん投げられた。加乃先輩が帰ってきて、クリスマスは騒がしくなりそうだ……。

加乃「というわけで帰って来たよー、はいお土産」

作者「ありがと、さあ飲んでいき飲んでいき」※未成年の飲酒はやめましょう

加乃「いやー、染み渡るわー」※未成年の飲酒はやめましょう

作者「しかし、加乃ちゃん帰ってきてくれたおかげで、ラブがコメる話が書きやすくなったよ!」

加乃「はっはっは。もっとほめたたえろ!」


作者「とかいいつつ、最終章なので事件は起こるんですが……」

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